フォーブス誌が毎年5月恒例のWorld’s Highest-Paid Athletes(世界スポーツ長者番付)を発表しました。

日本のアスリートは長らく無縁でしたが、大坂なおみや錦織圭のテニス選手が上位を賑わし、大谷翔平が大きな話題を集めています。

このブログでも「この種の番付はあくまで推定」と書いてきました。フォーブス誌の場合もアスリートの納税額や口座をすみずみまで確認して発表しているのではなく、あくまで推測です。

スクリーンショット 2026-04-13 9.01.07


大谷の競技収入はドジャースが詳らかにしていますが、競技外収入はスポンサードが確認できている日本の有力企業25社の契約額を「日本のタレントのトップクラスはCM出演で1億円以上だが、大谷はトップクラスのさらに上の次元」という推測から計算されています。

一方、日本のプロ野球選手の年俸は記者会見でのやり取りで、実態とずれていることもあります。この原因の一つは同じ実力、成績でも球団によって支払う金額が違うことを選手も球団もうやむやにしたいから。同じ10勝投手でもソフトバンクか、広島か、所属球団によって口座に振り込まれる金額は大きく異なってしまうのです。

そして、プロボクサーの場合はファイトマネーの3%前後をJBCに「試合認定料」として支払わなければなりません。WBAなどの認定団体のタイトルがかかる場合は、さらに3%。井上尚弥のような4団体統一となると、JBCと4つの団体あわせて15%も引かれることになります。WBOは統一戦割引があり、他団体も交渉次第で減額されるのはテレンス・クロフォードらの証言から事実と確認されていますから実際には14%以下ですが、4団体だと普通に10%を超えてきます。

JBCは仕方がないにせよ、21世紀に入ってデタラメランキングとデタラメタイトルマッチが目も当てられない惨状を作った認定団体はボクシングを貶めていると、サウジアラビア総合娯楽庁がズッファ・ボクシングを作ったのは4団体のどこも「すぐに撤退して混乱させるだけ」としか反論できない、ど正論です。

クロフォードやアンドレ・ウォードら選手たちも、認定団体の高額すぎる認定料(ベルト代は別途)に避難の声をあげてきました。

そのファイトマネーの源泉は放映権、ゲート収入、スポンサー収入の3本柱から成り立ちます。

スポンサー収入というのは企業人気を意味します。大谷翔平やテニス、ゴルフのスターはスポンサー収入が最も大きくなっています。比較してはいけませんが、井上尚弥のスポンサーはボクシングビジネス絡みがほとんどで、そうではない企業とは前述のトップクラスから大きく落ちる契約になっています。

前置きが長くなりました。

選手にとって最も誇らしいのは、スポンサー収入が傑出して大きいことではありません。おそらく「この選手の試合を生で見たい」と自分の財布からお金を払ってくれるゲート収入の大きさが、アスリートのプライドを最も満足させてくれるものでしょう。

また、PPVは「マニア化を底なし沼にしてそのスポーツを衰退させる」という事実もありますが、やはり「マニアとはいえ自分の財布からお金を出してくれる」のです。

もちろん、大谷翔平はゲート収入も放映権も超高額だからスポンサー収入も莫大という相関性がありますが、最近のサウジがらみでは明らかにビジネスとして成立していないリヤドでの試合でカネロ・アルバレスが8000万ドル(120億円:ウィリアム・スカル戦)を稼ぐなど、採算度外視のスポンサー収入=つまりアスリートとしては心の底からは嬉しくない収入でしょう。ビジネスマンとしては満足でしょうが。

井上に当てはめると、昨年のT -モバイル・アリーナ、観客はキャパの半分も埋まらない、普段のTモバと比べると全く盛り上がっていない観客、もちろんPPVはつかない、それで「ファイトマネーは過去最高」と言われても、彼を傷つけるだけです。

しかし、今月2日の東京ドームは「ゲート収入」「PPV」という多くのファンが自分の財布からお金を出したという意味で、まさに理想的でした。

理想的、じゃあ最高の理想は?というともちろん、野球WBCのように政府が「ボクシングの大きな試合が地上波で見ることが出来ないのは、国民の権利を侵害していると考えるべきかもしれない」と、検討委員会を設置するようになることで、そうなるとボクサーのアスリートのプライドも満たされると思います。

井上尚弥も亀田興毅も、具体的に〝そこ〟を口にはしていませんが、道のりは遠くても理想がそこにあるのはわかっているはずです。



わかっていないのは、「最高のものにお金をかけるのは当たり前、時代遅れの見たくない人は見なくていい」とうそぶく一部の無知蒙昧な…。