「優勝以外は失敗」と自分たちを追い込み、母国でWBCを応援するファンも「必ず優勝する」と信じ切っていた。

ーーーこれは、日本のことではありません。米国のことです。

世界で最も鋭角にメジャースポーツを斬り込むThe Athletic の記事「Did the Americans enjoy themselves at WBC?(米国代表はWBCというお祭りをちゃんと楽しめていなかった)」も交えて…。

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日本でもお馴染みとなった試合前の声かけ。多くのチームがロッカールームやベンチ前で、これから始まる戦いに気勢をあげました。

米国代表でこの役回りを演じたのがロバート・J・オニール、熱狂的な愛国主義者で元ネイビーシールズ・対テロ特殊部隊の隊員で、数々の暗殺工作に関わってきた人物で、トランプ政権を支持するなど右寄りのFOX(今回のWBCも放送)が2011年に制作したドキュメンタリー「The Man Who Killed Usama Bin Laden(俺がウサマ・ビン・ラディンを殺した)」に出演、有名人となりました。

こんな下劣な男が、ロッカールームに入り浸っているのです。

Mark DeRosa has been open about how he views his team as a way to pay tribute to the American military.

マーク・デローサ監督も「アメリカ代表はアメリカ軍に敬意を表する軍団だ」と公言。

大会期間中には、選手同士が敬礼しあうポーズが何度もテレビに映し出され、 ユニフォームを脱ぐと“Front Toward Enemy(敵に向かって前進せよ)” とプリントされたTシャツを着ていました。

そこには、WBCとカーニバルを完全に勘違いして、このお祭りを楽しんでいるドミニカやベネズエラ、あるいはベンチにエスプレッソマシンを置いたイタリア代表のような遊び心もありません。

「米国代表は暗い」という批判に対して、ピート・クロウ=アームストロングは「それは個性だろう。私たちがソトやタティスJr.のように振る舞えば滑稽にしか映らない」と反論する一幕もありました。

マドゥロ大統領を生捕りにしたベネズエラとの決勝戦にまでこの空気を持ち込んだ米国代表の品性は、日本人には理解できません。

ただ、今回のサムライは米国と同じように〝楽しめてなかった感〟は、いつも以上に伝わってきました。もちろん、韓国や台湾にも悲壮感は感じられ、それはPCAが言うように「個性の問題」もあるのでしょう。

決勝戦も紙一重の戦いでした。

ジャッジが活躍して米国が勝っていたなら、あるいは大方の予想通りに日本と米国の決勝戦であったなら、「ラテンの選手ははしゃぎすぎだから負けた。勝負はお祭りじゃない」と言われていたかもしれません。

しかし、大谷翔平を見れば瞭然、高い次元で楽しめるかどうかは、勝負に関わってくると感じています。