ポール・バトラーは消極的なファイトスタイルを非難されて「軽量級ボクサーなんて誰も興味を持っていない。重量級と比べたら関心も報酬も全く違う。それにもかかわらず、私はメインベンターとして東京の巨大アリーナをフルハウスにして、50万ドル以上のファイトマネーを手にした。ここまで成功した軽量級はいない」と反駁しました。

軽量級のボクサーにとってプライドとカネの両方を同時に満たしてくれる唯一の方法は「「日本のスター選手と日本で戦うこと」です。

現状の日本ボクシング界を踏まえて、その最上級を具体的にいうと「井上尚弥と帝拳か大橋秀行のプロモートで日本で戦う」こと。

この最上級に手が届く場所に、非常にユニークな選手が現れました。

このブログでも何度か紹介したKatsuma Akitsugi(秋次克真)。


和歌山生まれ、カリフォルニア州ハリウッド在住の28歳。ジュニアフェザー級を主戦場に米国のリングに上がり続けて、ここまで14戦全勝4KO、無敗をキープしてきました。

バンタム級では主要4団体全てで15位以内の〝タイトル射程圏内〟に突入、あとはプロモーターがどこまで本腰を上げてプッシュしてくれるかの段階まで自力で這い上がってきました。

無敗のホープやヘスス・エドワルド・ラミレス、アストン・パリクテ、ジョナス・スルタン、ビンセント・アストロラビオと、日本ではお馴染みのトップ選手を軍門に降した秋次が8年14試合で稼いだファイトマネーは約2万ドル(350万円)。

そんな全く無名のEl Cuete Japonecito(童顔の日本人)が4月11日に両国国技館のリングに上がるのです。

軽量級の桃源郷、日本で生まれながら米国でキャリアを続けた反骨のサウスポーが故郷のリングに初めて立つ。

4月11日、両国国技館ーーーそうです、帝拳がプロモートする那須川天心(vsファン・フランシスコ・エストラーダ)のビッグファイトのアンダーにセットされました。

秋次は「帝拳プロモートのイベントに自分が出場するなんて夢にも思っていなかった。人生最大の喜びだ。チャンピオンへの道が一気に広がった」と意気込みを語り、プロモーターのゲイリー・ジョナスは「世界の軽量級をリードする帝拳と手を組めたことに興奮している」と喜んでいます。

本田明彦も「秋次は激戦のバンタム級の世界ランカーに上昇してきた日本人だ。秋次をここまで成長させたジョナスとプラットホームのプロボックスTVに敬意を表したい」。

ジャパニーズドリームをつかんだ秋次は当初、フィリンピンの新星ケネス・ラバーか、IBFタイトル挑戦権をかけてホセ・レイエスと交渉を進めていましたが、日本開催が実現したこともありホセ・ミゲル・カルデロンが選ばれました。

22歳のカルデロンは14勝6KO3敗のメキシカン。WBCラテンのバンタム級タイトルなど地域タイトルを獲得しています。直近の試合は昨年11月24日にやはり天心(vs井上拓真)のアンダーで増田陸と対戦、右目上をカットして負傷判定負け。

増田は今週末の15日にWBAバンタム級王者・堤聖也への挑戦権をかけてノニト・ドネアと戦います。


帝拳はバンタム級にも充実したタレントを擁しているだけでなく、堤聖也やWBC王者・拓真ら他のジム所属の118パウンダーのマッチメイクをサポートしているだけに、秋次にとってこの試合はタイトルまでの〝準々決勝〟になりそうです。