黒人アスリートは優れている。

プロボクシングにおいては、とくに最近、説得力を失っている〝元〟常識です。

さらに、米国の黒人アスリートが優れているのは、彼らが遠く大西洋の彼方、アフリカ大陸から劣悪な環境の中での長い航海で生き残り、さらにより労働力の高い奴隷を産むようにと頑健な男女がかけあわされた〝サラブレッド〟の血統を持つからーーーという仮説があります。

米国よりもさらに遠く、過酷で長い航海を耐えることが求められるジャマイカで、より優れた黒人アスリートが生まれていることも、この仮説の裏付けです。

そして、この仮説は「そもそもの人類の身体能力には大きな差はない」という大前提の上に成立しています。

そう思いたいのはやまやまですが、大谷翔平を見ても「アジア人のパワー恐るべし!」とはならないし、長距離走を駆ける黒人のスピードと体型を見ると、大きな差を感じるしかありません。

今夜は黒人の故郷、アフリカを代表するボクシングの二大国ガーナと南アフリカの階級別の競技人口です。

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まずは、ガーナ。全体337人、最大ボリュームはライトヘビー級。

重量級の層が分厚いのは、少し意外。

〝プロフェッサー〟アズマー・ネルソンの印象が強いからなのかも。サルバドル・サンチェス、ウィルフレド・ゴメス、パーネル・ウイテカー、ジェフ・フェネック…PFPを飛び越えて一発殿堂の伝説と上質なファイトを見せたネルソン。対戦相手のクオリティーがとんでもない怪物でした。

小粒ながらナナ・コナドゥやヴィシ・マリンガ、ジョセフ・アグベコ…日本でもお馴染みの118パウンダーもガーナの産物です。

そして、ウエルター級でオスカー・デラホーヤと対戦した〝バズーカ砲〟アイク・クォーティや、マニー・パッキャオの波状攻撃に亀になった〝グランド・マスター〟ジョシュア・クロッティもガーナ人。

密度の濃いラインナップです。



続いて、南アフリカ。全体492人。重量級のイメージもありますが、最大ボリュームはフェザー級と、こちらはずいぶん軽量です。

この国を語るとき、1948年から1990年代初めまで実施されていたアパルトヘイトを避けて通ることは出来ません。

南アは国際的に孤立、ボクサーたちも海外での活動が著しく制限されてしまいました。

彼らにはなんの罪も責任もないというのに、ブライアン・ミッチェルやゲリー・コーツィーは〝南アフリカ人〟という色眼鏡で見られ続けたのです。

しかし、熱狂的ボクシングファンのネルソン・マンデラが大統領になり、アパルトヘイトは1994年に完全撤廃。

フランソワ・ボタやマイク・ベルナルドまで下ると、彼らに影を感じることは少なくなります。

そして、才能豊かな黒人たちが続々と世界のリングをサーキットします。

史上最大のフロッグジャンプ、5階級飛ばしのディンガン・トベラ、ジュニアフェザー級で活躍したブヤニ・ブング、マニー・パッキャオのラスベガスデビューを見事に演出したリーロ・レジャバ。

井上尚弥とニアミス、ジョンリエル・カシメロに破壊されたゾラニ・テテ。

田口良一、京口紘人、寺地拳四朗と激闘を繰り広げたヘッキー・ブドラー、田中恒成を引退に追い込んだプメレレ・カフ。

いやぁ、個性的なファイターが溢れとんなぁ。