グローブの話もいつのまにやら、第9回。

英国ボクシングニューズ(BN)誌の2020年2月13日号からーーー6年近くも前の古い記事ですが、あしからず。

Inside the word GLOVE, meanwhile, you will find the word  LOVE.

よく見てご覧。GLOVE という言葉の中にLOVEが見つかるでしょう。

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グローブは近代ボクシングと切っても切り離せない存在でした。

ベアナックルの時代、ボクシングは顔の皮膚を切り裂き血だるまになりながら戦う残酷なショーでした。

しかし、グローブによって裂傷は劇的に減り、残酷なショーは多くの人(といっても女性や子供は除きます)が見るに絶えられるスポーツになりました。

そして、馬の毛をクッションにしたグローブはベアナックル(素手ではなく多くのケースで包帯を巻きつけた拳)と同じように、対戦相手の頭部を強く殴ることの代償は拳の骨が折れるということでした。

しかし、時代は進み、1980年代も後半になると多くのグローブの詰め物が一新されます。

手に入りにくい馬の毛から発泡スチロールの材料になるポリエステルに、中身が変わるのです。

ファンはもちろん、それをはめているファイターにも中身は見えませんでしたが、目に見える変化が二つ起きます。

一つ目は、対戦相手の頭部を思い切り殴っても拳の骨は折れにくくなったこと。

二つ目は、リングの中で事故が多くなったこと、です。

この二つに相関関係があるのかどうか、科学的に証明するのは非常に難しく〝馬の毛時代〟に事故の統計がないことからも、難しいというよりも不可能なのかもしれません。

ただ「試合で拳を骨折することは減り、リング禍が増えた」というのが、長くこの世界に関わって来た人々の肌感です。

現在、国内の試合を統括するJBCではジュニアウエルター級までが8オンス(227g)、ウエルター級から10オンスのグローブを装着するのか一応の決め事。

昨年、ウエルター級タイトルに挑んだ佐々木尽が8オンスを選だことからもわかるように絶対のルールではありません。

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1990年代まではストロー級からジュニアバンタム級までは6オンスのグローブを付けており、具志堅用高らは「(現在の)8オンスよりも小さいから拳を立てて相手のブロックを通すなど、小さなグローブならではの技術があった」と語っています。

リング禍については、グローブの大型化と中身のポリエステルなどの素材変更によって、思い切り殴って相手の頭に当たっても拳を骨折する可能性が低くなり、広い打撃面積は脳を軽く揺らすことを繰り返すことがわかっています。

このグローブの変化と、前日計量によってより過酷な減量をすることになったことが、現代のリング禍につながっているだろうという仮説はおそらく間違いありません。