米国をはじめ多くの先進国で没落の一途を辿っているプロボクシング。

他のプロ格闘技と一線を画す最後の拠り所、オリンピック種目から追放されそうな土俵際が続いています。

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しかし、英国ではほんの少しだけ事情が違います。

近代ボクシング発祥の地であり、アマチュアにも注目が注がれ、ボクシングの象徴であるヘビー級への愛着は、日本のボクシングファンには想像しにくいことかもしれません。

ヘビー級の覇権を奪われた米国への思いもまた、日本とは全く別の種類の愛憎が渦巻いています。

米国からLIneal Champion のタイトルを取り戻す夢は、世紀を跨いで阻まれ続けてきました。

ジャック・デンプシー、ジョー・ルイス、ロッキー・マルシアノ、モハメド・アリ、マイク・タイソン…彼らの拳に英国の希望はいつも打ち砕かれ続けてきたのです。

フランク・ブルーノの強打はボクシングファンを熱狂させましたが、取り柄はそれだけで、打たれ弱さと勝負弱さは英国のファンも苦笑いするしかありませんでした。

五輪金のレノックス・ルイスはイベンダー・ホリフィールドを退け、タイソンを破壊しましたが、彼はカナダ国旗も肩にかけ、何よりもホリフィールドやタイソンは米国人ではあったものの「難攻不落のヘビー級王者」ではありませんでした。

アンソニー・ジョシュアは希望の星でした。

ボクシング史上最高の身体能力を誇り、ロンドン五輪でスーパーヘビー級の金メダルを獲得、ウラジミール・クリチコとの激闘を制したときの英国メディアの熱狂に、この国がジョシュアをどれほど愛しているのかを思い知らされました。

Even people who are indifferent about boxing, those who are blessed not to have the sport dominate their lives, remember April 29, 2017: When Anthony Joshua beat Wladimir Klitschko.

ボクシングに興味がない人、ボクシングにハマらなかった幸運な人ですら、2017年4月29日に起きた歓喜を忘れていないだろう。アンソニー・ジョシュアがウラジミル・クリチコを破ったあの日のことだ。〜ESPN


そんなジョシュアが茶番劇のリングに上がってしまうのです。

おちゃらけた人気者、タイソン・フューリーではありません、あのジョシュアが…。

フューリーのフランシス・ガヌーの方がまだ救いがあったかもしれません。相手はUFCの歴史的な強豪でした。

英国のファンは「こんな恥ずかしい試合のことはすぐに忘れ去られる」と、自分たちに言い聞かせています。

Do you remember when Muhammad Ali fought a mixed rules exhibition fight against professional wrestler Antonio Inoki in 1976??You probably don't.

あのモハメド・アリでさえ、1976年にミックスルールのエキシビションをアントニオ猪木と戦っているが、そんなことを覚えている人はほとんどいない。


…日本のスポーツファンは死ぬまで忘れませんが。


アンソニー・ジョシュアが、もうすぐ禁断のリングに上がります。