5pivotal wins〜Five victories that lifted Naoya Inoue from raw talent to Greatness.

一人の才能あるファイターがグレートに昇華する節目となった5つの勝利。


⑤ルイス・ネリ 
6ラウンド1分22秒TKO(2024年5月6日:東京ドーム)


Undisputed Jr.feather weight championship

IMG_1976

井上は「ネリに個人的な思いはない」と発言したが、井上にはなくとも日本のボクシングファンにとってネリは、山中慎介との2試合で体重超過とドーピングを重ねた天誅を下すべき怨敵。

井上は初回にキャリア初のダウンを奪われるも、2、5、6ラウンドにダウンを奪い返す一方的な展開の末に第6ラウンドで痛烈にストップ。



④オマール・ナルバエス 
2ラウンド3分1秒KO(2014年12月30日:東京体育館)


WBO Jr.bantam weight championship

WBOのストラップをフライ級で16連続防衛、ジュニアバンタム級で11度防衛、敗れたのはバンタム級のノニト・ドネアだけというPFP上位にリストアップされていてもおかしくないナルバエスだが、現実はその俎上に上がることは一切なかった典型的なcream puff(雑魚狩り王者)。

また、ナルバエスはドネア戦で晒した全く勝つ気がない戦い振りから世界中のボクシングメディアから軽蔑を集めていたことから、軽量級にも興味を示すコアなマニアは井上の勝利に大喜びした。

日本ではこの勝利を番狂せと受け止めてしまいかねない報道もあったが、リング誌などの戦前予想では井上が明白に有利。

また、ナルバエスは当時39歳、直近の試合でダウン寸前の衰えを見せるなど下り坂。それでも、リング誌のマイケル・ローゼンタール編集長らは「KOシーンは中盤から後半」と見立てていたが、一気の攻勢でチキンを王座から引きずり下ろした。




③田口良一
12ラウンド判定(2013年8月25日:スカイアリーナ座間)

日本ジュニアフライ級タイトルマッチ。

王者の田口が圧倒的不利と見られていた一戦。

日本王者ながらESPNやリング誌のジュニアフライ級でランキングされていた田口は世界的強豪の一人であるだけでなく、この敗北の後にWBAとIBFの団体統一王者、リング誌王者に就き、PFP10傑にも激しくチャージすることになる。

KO負け必至と見られた田口は大健闘、そして井上にとっても破った相手が大出世するという最も評価が上がる勝利だった。




②スティーブン・フルトン
6ラウンド1分14秒TKO(2023年3月6日:有明アリーナ)

IMG_0351

WBC /WBOジュニアフェザー級王者フルトンに挑戦する形であったが、戦前予想は「フルトンが判定まで逃げ切れるか?」。

結果は、第8ラウンドで攻め落とされる。

マイナーメディアではPFP10位に評価されることもあったフルトンだが、非力極まる攻撃力はもちろん、ディフェンス面でも欠陥を抱えていた。

それでも、悲観的な見方もあったWBC フェザー級王者となっていたブランドン・フィゲロアとの再戦に見事完勝。

井上の評価に上積みが加えられた。




①ノニト・ドネア
初戦 12ラウンド判定(2019年11月7日:さいたまスーパーアリーナ)
再戦 2ラウンドTKO(2022年3月30日:さいたまスーパーアリーナ)


初戦は杜撰な運営で悪名高きWorld Boxing Super Series、バンタム級の決勝。

36歳バージョンのドネアに対して圧倒的有利と見られていたが、第2ラウンドと第9ラウンドにフィリピーノ・フラッシュを直撃される大ピンチ。

それでも試合全般を支配し、11ラウンドにはダウンも奪ったが一人のジャッジは114−113と、ダウンがなければドローのスコア。あの内容でドローはありえない。

再戦は39歳バージョンのドネア。初戦では泰然自若としていたフィリピン人は厳格なドーピング検査で思い通りに行かなかったことでもあったのか、「日本でやるのはフェアではないが、私たちには米国で需要がないから仕方がない」「(使用グローブを対戦相手の監視を離れて)勝手に開封した井上はルール違反、これだから嫌なんだ。井上や日本のボクサーは何をしても許されるのか!」と大荒れ。

初回に井上が不思議なタイミングの右でドネアを痛烈に沈めた時点で勝敗は決していた。

井上は「ワンツーだけで世界は獲れる」と嘯くが、「ワンを出さないワンツー」(井上)まで武器庫に抱えるファイターは稀有。

基本中の基本、ワンツーをPFPファイターになったいまでも繰り返し練習している井上もまた、ブルース・リーの「1万通りの蹴りを1度ずつ練習した者を、私は恐れない。私が恐れるのは同じ蹴りを1万回練習してきた者だ」のステージに立つグレートに違いない。