スピード、パワー、テクニック、経験…あらゆる戦力で絶望的な差がある試合で、どうして心を揺さぶられるのか?

最高だよ、西田凌佑。

ボクシングファンはみんなそう思ってるはずです。本人は悔しさに今も号泣しているかもしれませんが、胸を張っていい威風堂々の戦いぶりでした。

海外のボクシングファンには理解できないかもしれないけど、これがボクシングじゃ。

誤解を恐れずに言うと、ボクシングには面白いミスマッチがある、あり得るのです。アンダードッグが勇気の牙を剥けば、見てる人は席を立ちません。

結果がわかりきってても、こいつの最後を見届ける!

見る人をそんな気持ちにさせた時点で、西田凌佑は単なる敗者ではなくなっていました。

中谷を研究して作り上げた右のリードが全く通用しない、中谷が公言していた「いきなりの総攻撃」と「縦アッパー」は、想定を上回る迫力で西田を飲み込んで行きました。

それでも右肩を脱臼するまで、絶対に諦めなかった。まさに、斃れてのち止む。




【R1】中谷潤人の強さは、井上尚弥を脅かす。

…井上がアンダードッグになってもなんの驚きもありません。中谷もクロスレンジは得意ではありませんが、頭を動かせない井上よりははるかに優ってます。

井上はクロスレンジを徹底的に嫌うでしょうが、そうなると、中谷の距離に引き込まれてしまいます。



【R2】中谷vs井上 どんな駆け引きがあろうが開始ゴングからスパークする。

…静かな立ち上がりは50−50のビッグファイトのお約束です。

しかし、モンスターとビッグバンの対決に様子見はないでしょう。

私たちは来春、もう2度と見れないと諦めていた〝ハグラーvsハーンズ〟を目の当たりにするはずです。




【R3】いろんな意味で井上尚弥は大丈夫か?

…井上尚弥が常人の理解を超えた〝KO中毒患者〟であることは、海外メディアから長年指摘されていたようにディフェンスに欠陥を抱え、その穴は1発の強打を持たないルイス・ネリや、そもそも世界基準の実力もないラモン・カルデナスにもワンパンチで転がらされるほど大きく広がっています。

ネリやカルデナスというパンチャーでもない、当て勘も乏しい相手だから良かったものの、あれが井上の細い顎の先端に当たっていたら?

そして、公の場で常にサングラスをかけていることも気になります。

スパーリングで打たれて青あざが出来たくらいなら良いのですが…。




【R4】ビッグバンは逃げる井上をスルーしてフェザーでエスピノサ?

リングサイドに陣取った井上尚弥が試合が決まると、席を立った意味がわかりません。もしかしたら、ニック・ボールに続いて、中谷からも逃げたのかもしれません。もちろん、眼疾の可能性も残ってますが。

かつて1階級上のエマヌエル・ナバレッテからのオファーを「縁がない」と逃げながら、下の階級の井岡一翔や中谷との対戦は前のめり…それが井上の正体なのでしょうか?

逃げるなら、そもそもリングサイドに来ないでしょうが、不細工な試合になると期待押していたのかもしれません。井上は「(私と戦う前に)拓真は曲者」と、中谷をそこまで評価していませんでした。

そして、勝利者インタビューで井上との試合について質問が及ぶと「ちょっとだけ待って下さい」。あれほど饒舌に語っていたビッグファイトなのに。




【R5】西田凌佑が引退しても驚かない。

…西田の右肩と左目の状態が心配です。

しかし、あのまま続けていたら、西田の決死の覚悟を考えると、失神するまで戦って、選手生命に関わる結末になっていただけ。

ゆっくり休んでカムバックして欲しいと期待するのは、ボクシングファン共通の思いです。

それでも、乾坤一擲、全身全霊を賭けて挑んだ一戦で絶望的な実力差を見せつけられました。

ここから立ち上がるには、心の問題になります。



【R6】中谷潤人は荒野をゆく。

中谷は自分が勝った選手に、次の試合のチケットを送っていました。

「俺と戦ってくれてありがとう。お前が負けた相手が弱いやつじゃないことを、これから絶対に証明していくから、見に来てくれ」。そんな想いを込めて。

彼の渾名「愛の拳士」の所以です。

いまはもう、そんなことをしていないでしょう。

そして、西田凌佑に次戦のチケットを送ることもないでしょう。

もう、青の時代は過ぎました。

あの西田に、そんなことをするのは、もしかしたら失礼にあたるかもしれません。

そして、中谷は、もう後ろを振り返る余裕も、もっと正確に言うと、彼らを慮る優しさも必要のない、修羅の道に足を踏み入れています。