実力差が大きいといわれている団体統一戦ですが、圧倒的有利と見られるWBC©︎中谷潤人に、IBF©︎西田凌佑が序盤からギャンブルを仕掛けることはないでしょう。

西田の言動を見ていると「自分は格下。普通にやっていては勝てない」という意識はありません。

両者とも、いつも通りに立ち上がるはずです。

早い段階から中谷がプレッシャーをかけ、西田が下がって迎撃の機会を窺う。ここで、プレッシャーがかかるのか?

中谷の前進と、西田の後退。中谷の思い通りの方向、スペースに西田が下がってしまうと、試合は大方の予想取りに展開し、後半に入る前に結末を迎えるはずです。



中谷の死角を無理矢理でも探すと、西田の長身とサウスポースタイル。そして「打たれ弱いのか?」(六島ジムの枝川孝会長)。

長身ということでは、自身よりも1㎝高いダビ・クエジャルを前戦で破壊済み。サウスポーとの対戦経験は少ないものの、昨年10月にペッチ・ソー・チッパタナをストップ。

打たれ強さでは、6回戦時代にカンバスにグローブをタッチするダウンを喫したことがある中谷ですが、枝川会長も「(30戦も戦ってきて)打たれ弱ければ倒れているでしょうしね。すでに何回か」と、現実を理解しています。

やはり、西田は絶望的に不利なのかというと、試合開始ゴングから攻め込んできたクエジャルや、世界基準の実力から離れたペッチとはスタイルも実力も違います。

また、奈良のブラックホールはわずか10戦のキャリアながらデビュー3戦目で大森将平、続く4戦目で比嘉大吾、そして世界を獲ったエマヌエル・ロドリゲスを相手に3度も番狂せを起こしてきました。

とはいえ、大森は歴戦の強者でしたが、あのマーロン・タパレスに2度ストップされる(2度目は相手が体重超過)〝世界未満〟。

さらに、調子の波が激しい比嘉。

そして、ロドリゲスとはオッズも接近しており、SDで落としたレイマート・ガバリョ戦は中継したショータイムの解説席が「(被弾したり劣勢になると泣き顔になるロドリゲスは)有効打と見なされてポイントが流れるのは仕方がない」というハートにも問題を抱える欠陥品。

これは、日本での解説陣も「ロドリゲスは顔が…」と同じことを指摘していました。

中谷も最上級の意味では対戦相手の質は高いとはけしていえませんが、西田は4団体17階級時代の薄すぎる世界しか体験していません。

奈良のパックマンの番狂せは、本家パックマンとは違い、相手が大森だったから、比嘉だったから、ロドリゲスだったから引き起こせたもの。

米国CBSスポーツの「西田は早い段階で中谷を警戒させる強打を見せなければならない。中谷が青信号だと感じたら勝ち目はない。中谷が、来年予定されている井上尚弥とのビッグファイトへ気持ちが飛んでいるなら危ないが、おそらくそれはない。中谷が前半で試合を終わらせるだろう」というのが、大方の予想です。

西田もまた、「研究を重ねて自信をもっていたが、いつの間にかロープに追い詰められていた」と嘆いたクエジャルと同じ言葉を吐いてしまうのか?

六島ジムの空気や西田の負けじ魂には、好感と敬意しかありません。

しかし、両者の経験、スタイル、総合力を見据えて予想すると、一方的な展開しか思い浮かびません。