井上尚弥は突然変異。

亀田三兄弟の敗北や被弾を極端に恐れるスタイルは、井上拓真にも相似しますが、尚弥は全くおかしい、間違いなく頭のネジが1本外れています。

尚弥の世界的な評価は、すでに中谷潤人というチェイサーが出現、リング誌と契約した堤麗斗もこの堕ちたメディアから高い評価を受けやすい環境が整っています。

中谷も麗斗も10年に一度の才能がたまたま同じ時代に出現したのではなく、これからも生まれるでしょう。中谷は最後のネクスト・モンスターではありません。麗斗も最後のリング誌と契約した最後の日本人ではありません。拳四朗も最後にPFP入りした日本人ではありません。

そして、そもそも井上尚弥も。

リング誌の日本人PFPファイターは現在3人(2位:尚弥/7位:中谷潤人/9位:寺地拳四朗)。国別では最大勢力(6位:バム・ロドリゲスと10位:デビッド・ベナビデスを米国とカウントすると3位:テレンス・クロフォードと合わせて3人ですが、バムとベナビデスはメキシコ臭を撒き散らしているので、カネロ・アルバレスと合わせてメキシコが3人ともカウントできますが、極東の島国だけで3人の日本を最大勢力と表現するのが正解)このあともゾロゾロ出てくる気配が漂っています。

のちの時代に振り返ったとき、尚弥は傑出した存在ではなくなく、2020年代のフロントランナー的な位置付けになっているかもしれません。

「不世出の度合い」という視点では、村田諒太の方が尚弥よりも遥かに上でしょう。アルファベットタイトルとはいえ、ミドル級で防衛する、返り咲くというのは、日本人にとって軽量級でPFPに入るよりもはるかに難易度が高い離れ業です。

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ただし、あのKOへの執着は、この危険で苛烈なスポーツではありえないレベルです、アホです。

逆境に追い込まれても冷静にBプランを発動してかわすのではなく、Aプランを無理やり押し切ってKOする…合理的・効率的に勝利を求めるのがスポーツだとすると、尚弥が貫いているのは相手のトドメを刺すこと以外は勝利ではないという〝殺し合い〟の理屈です。

あれは、本人が言っている「ファンのために面白い試合を見せたい」というエンターテイナー精神などではなく、野蛮なKO中毒です。彼はKOを至上とする恐るべき原理主義者です。

ファイターの戦力要素に、全盛期のシュガー・レイ・レナードやマニー・パッキャオがまざまざと見せつけた殺傷本能(Killer Instinct)という要素がありますが、尚弥のそれも歴史的に飛び抜けています。

もちろん、それはファンにとってはたまらないアホであり、中毒者であり、原理主義者なのですが。

勉強でもスポーツでも、絶対に教えられないことがあります。

もっと賢くなりたい、もっと上手くなりたいという飽くなき欲求です。「そんなの誰にでもある」と反論するかもしれませんが、その次元の話ではありません。

昨夜もまた不完全燃焼で終わった亀田和毅は、それがわかっていても同じことを繰り返してきました。彼に完全燃焼しろというのは不可能なのです。

彼には「いつもサンドバッグを叩いてるときのように思い切り体重を乗せてパンチを打て」と言っても、試合になると彼にはそれが出来ない、完全に相手が弱りきって反撃能力がゼロであることを確信しなければ打てない、不治のイップスです。

現役続行を宣言した和毅ですが、これからも不完全燃焼の試合を積み重ねていくのでしょう。

尚弥は逆イップスにも見える、純度100%の戦士です。効率的に勝つことなど最初から頭にありません。相手の生き死にに関係なく打撃戦をを繰り広げてKOする、それだけを最優先させます。

ポール・バトラーのような相手を必死に追いかけ回して仕留める…そんなことをするのはあのアホだけです。彼以外のボクサーなら「楽に勝ててラッキー」と、あそこまで深追いはしないでしょう。

しかし、アホはまるでポイントで大量リードを許したファイターが大逆転を狙うように襲いかかるのです(大量リードを許しているのを分かりながら襲いかからないのもいますが)。

話が逸脱しましたが、亀田家と井上家を並べて語るとき、あの大きな異物は無いものとして考えなければなりません。

あれは、井上真吾が育てたのではありません。勝手に生まれてきたのです。