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ESPNのお薦めベット「4−6ラウンドでの井上のKO・TKO」から、結果としては2ラウンド遅延しただけ。

しかし、第2ラウンドのダウンがなければ、全て予定通りだったと考える人は少数派でしょう。

「特に上体が硬かった」「足が動いていなかった」「反応が鈍かった」「これまで見たことがない空振りを繰り返した」…いつもと違う井上尚弥を多くの人が指摘していますが、それが全て当たってるわけではありません。

ただ「明らかに劣化の兆候を見せている」というのは間違いないでしょう。

ラモン・カルデナスが一世一代の大勝負と勇猛果敢に挑んできたのも間違いありません。

しかし「いつも以上に練習して気合もはいってるから2倍も3倍も強くなっていた」(西岡)というのは大間違いで、そんな数ヶ月で何倍も強くなれるなら西岡さんもドネアを大苦戦に陥れてます。

所詮はカルデナスです。

「ビデオで見たのより全然強かった」(井上)というのも間違いです。

ボクシングで最も早く劣化の毒が回るのは反射。動体視力やスピードはある程度鍛えてキープできても、反射はどうすることも出来ません。そして、最後に残るのはビッグ・ジョージに訊くまでもなく、パワー。

そして、経験と技術も、対戦相手から劣化を隠す最高の目眩しです。

階級を上げたから、ではなく、井上も加齢に伴う劣化の綻びをカバーするためにスタイルチェンジを図る時期に差し掛かっているのかもしれません。

井上は、歴史的なグレートに匹敵するような強豪との対戦は一つもありません。現役PFPファイターとの対決も、順調にいって33歳になる来年の中谷潤人が初めて。

それでも、劣化を補ってあまりあるスタイルチェンジが出来る経験と技術はあると思います。

ただ、これまでのキャリアで数少ない逆境、ドネア1での眼窩底骨折とダウン寸前のピンチ、ルイス・ネリとカルデナスの左に食ったダウン、そこからいずれも「殴り合いが大好き」という激しい逆襲で危地を潜り抜けて見せました。

個人的には、そういう喧嘩ファイトは大好きです。殴られたら殴り返す、メキシカンスタイル。

また「誰と比べてるんだ」と言われるかもしれませんが、最近ならマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーは背筋がゾッとするようなやり方で大ピンチをクリアしました。

パッキャオは2010年11月13日、アントニオ・マルガリート戦の第6ラウンド、ボディをえぐられてダウン寸前に。しかし、激しく追撃するマルガリートを軽いフットワークと右ジャブで翻弄、2人のジャッジがこのラウンドをパッキャオの10−9とスコア。

視察に訪れたシェーン・モズリーのトレーナー、ナジーム・リチャードソンは「パッキャオとは真正面からのファイトを期待している。逃げないで欲しい」と、初めて見たパッキャオのアウトボクシングに戦慄しました。

のちに、リチャードソンは「パッキャオに足を使われたら勝ち目がないと思った」と、当時の発言を振り返っています。

そして2010年5月1日(シンコです)、メイウェザーは第2ラウンドにシェーン・モズリーの強烈な右ストレートをクリーンヒットされ、腰から砕け落ちそうになりましたが、スクワットするように態勢を戻してダウンを拒みました。

それだけでも「こいつどんだけ足腰きたえとんねん」と驚きでしたが、モズリーが仕留めにかかってくるはずの第3ラウンドに、メイウェザーがまさかの総攻撃、その気迫に押されたモズリーは電池が切れたようにズルズルとポイントを失っていくのでした。

パッキャオもメイウェザーも緊急事態になるとプランBをスムースに発動して見せましたが、井上はAプランでとにかく押し切るだけ。

満票一致のPFPキングに君臨した2人は井上とは次元の違う途轍もない実力者だったことを差し引いても、井上の画一的な戦い方ではいつかピンチのダムが決壊してしまいそうです。