【啐啄の機】

「ひな鳥が卵からかえるときには、『啐(ひな鳥が内側から出ようとすること)』と『啄(母鳥が卵を外からつついて殻を割ってやること)』が同時に行われる。

プロボクシングの世界でもファンが渇望がピークに達したときに、プロモーターがその試合を成立させなければならないタイミングがある。

そのタイミングを逸してしまうとーーーひなは死んでしまう。



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今から6年前の2019年、4年前に行われた「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」を凌駕するメガファイトへの期待が大きく膨らんでいました。


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デオンティ・ワイルダーが今年4月に、10ヶ月ぶりの復帰戦に挑みます。

舞台はワイルダー自身も2試合連続でリングに上がっている〝ヘビー級の聖地〟サウジアラビアではなく、ジョージア州アトランタ、BLKプライムがPPVで配信します。

20歳でボクシングを始め、23歳でプロ転向したワイルダーも39歳。とはいえヘビー級の39歳。

オレクサンデル・ウシクを語るとき、その年齢(37歳)に焦点が当てられることはまずありません。


しかし…。

21世紀最強のビッグパンチャーが、すでに峠をとっくに越えてしまい「もうリングに上がるべきではない」と、ほほ全てのファンとメディアから憐憫されているのが現実です。

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いまから6年も前になる、2018年12月1日のヘビー級タイトルマッチ。

WBC王者ワイルダーは、フットワークでさばく戦術を選択したLineal(正統)王者タイソン・フューリーを追い詰め、9ラウンドと最終12ラウンドにダウンを奪います。

特に、最終ラウンドのダウンは誰もが「これで終わった」と確信した痛烈なものでした。

もし、あの瞬間、ジャック・レイスが試合をストップしていたら…?

ーーーKOの神話は死ぬことなく、今もサウジアラビアで猛威を振るっていたかもしれません、あるいはそうではなかったかもしれません。

いずれにしても、ワイルダーはフューリーとの再戦をTKO負けで落としてから5戦して1勝4敗。


4月の相手に選ばれたのはステファン・ショー。22戦20勝15KO2敗の32歳。

二つの黒星はエジェ・アジャグバとジョセフ・グッダールに敗れたもの。かつて「明日の世界王者」の期待が寄せられたショーもヘビー級の二番手グループの中で埋もれてしまっていうます。



ワイルダーがショーに負けるーーーそんなことがありえるでしょうか?