プロレスラーを目指す若者の多くが、その夢の実態を知らないように、プロボクサーを目指す若者もこのスポーツの夢の現実を知りません。

プロレスの場合は強いやつがスターになれる、年間何百試合間こなすのですべてが真剣勝負ではなくても、スターは強い…最近は世界的にもプロレスはショーに大きく偏重しましたが、かつてはそう信じる少年少女も少なからずいました。

UWFはこの幻想に乗っかったプロレスで、リングスは詐欺でしたが、プロレスには今では考えられない幻想が確かに存在していました。

アントニオ猪木と前田日明は何が違うのか?

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プロボクシングの場合は、軽量級でも頑張ればラスベガスやニューヨーク、ロンドンの大会場・巨大スタジアムで、カネロ・アルバレスやアンソニー・ジョシュアのように華やかなメガファイトのメインをつとめ、巨額のファイトマネーを稼いでフォーブスのアスリート長者番付で上位にリストアップされる…そんな幻想があります。

そんな軽量級のビッグファイトなど歴史上一度も行われていたいというのに。



プロレスラーはすぐに幻想から覚めます。

プロボクサーで、その幻想から覚めるとしたら、マニアックに世界のボクシングを見ていない限り、軽量級の地平線までたどり着いて〝最高峰〟などなかったとその目で見た者だけ。



1990年代の途中まで〝ラスベガス幻想〟など誰も見ていなかったのに、井上信治に連なる幻覚症状を起こした唯一最大の原因は〝野茂英雄〟です。

野茂が切り拓いた「世界で戦うということは、世界が騒いでいるということ」とはっきり示した定義は、そうではなかったボクシングの世界を歪な方向に誘導してしまいます。

帝拳や大橋秀行は、世界が認知しない軽量級で世界が認めるメジャーな舞台が存在するという虚飾と嘘を必死で塗り固め続けてきました。

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現実は、フェザー級でフォーブスのアスリート長者番付に食い込んだファイターはいません。

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あれから約30年。

軽量級の地平線までたどり着いて〝最高峰〟などなかったと、その目で見た者がついに現れました。

初めての米国、カリフォルニアのスタハブセンター(当時の名称)で戦ったとき、彼は刺激を受けたでしょう。実際に、ザ・フォーラムやスタバブには軽量級の面白さを識るファンがいます。

しかし、最も大きな試合が行われるラスベガスの大会場のビッグイベントでの軽量級はほとんど全てが客席まばらなアンダーカード。

高額のチケットを無料で送られたカジノの上客たちは、前座の軽量級から席につくことはまずありません。



かつてラスベガスに恋焦がれた彼は、もうその夢を熱く語ることはありません。

幻想の果てにあるのは、やはり虚飾なのか?それとも、幻想だとわかったからこそ見せる真実があるのか?