イスライル・マドリモフをプロモートするエディ・ハーンが、テレンス・クロフォードを絶賛しています。

日本時間の明日、8月4日にマドリモフが保持するWBAジュニアミドル級タイトルに挑戦するクロフォードはライト級、ジュニアウエルター級、ウエルター級に続いてジュニアミドル級と、人気階級を貫く4階級制覇を目論んでいます。



先ほど終わった前日計量は王者マドリモフがリミットいっぱいの154ポンド、挑戦者クロフォードは153.4ポンド。


ライト級からジュニアミドル級までの人気クラス4階級制覇を成功したのはオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオの3人だけ。


クロフォードがマドリモフを攻略すると「史上4人目」とはいえ…ジュニア階級のない時代にフェザー級、ライト級、ウエルター級でUndisputed championになったヘンリー・アームストロングは、この先達の3人をはるかに上回る評価を得ています。

また、史上最強と謳われたライト級からジュニアウエルター級をスキップしてウエルター級、ジュニアミドル級、ミドル級を掌握したロベルト・デュランも、この3人より上かもしれません。

そして「誰に勝ったのか?」と聞かれて「エロール・スペンス」と答えると後が全く続かないクロフォードでは、この3人に表面上は並んでもオールタイム・グレートの俎上にあげる人はクロフォードのファン(そんな人がいるとしたら)以外は皆無でしょう。

それでも、クロフォードはゴールデンボーイもマネーもパックマンも一度も達成できなかった(興味を示さなかった)Undisputed championにジュニアウエルター級とウエルター級の2階級で就いているのです。

「クロフォードの評価は歴代最高クラスなのに強い相手とのマッチメイクができなかったために低迷している。人気に至っては可哀想になるくらい」(ハーン)という見方はあながち間違っていません。

シュガー・レイ・レナードの時代とは次元が違います。そして、メイウェザーとパッキャオのつい最近の時代と比べても、HBOとSHOWTIMEが撤退した現在のボクシングシーンはより一層のマニア化が進み、スターが生まれにくい土壌が出来上がっています。

そんな、ボクシング低迷の谷底の時代に生まれたのがクロフォード。

クロフォードは技術的に優れているだけでなく、ウエルター級でもKO能力を向上させているように、退屈な試合が多いわけではありません。

しかし、クロフォードの人気が笑うほどない原因は、レナードやメイウェザー、パッキャオが放っていたオーラを全く感じることが出来ないからです。

とにかく、絶望的に華がないのです。

もちろん、華というのは持って生まれたモノという側面もありますが、強豪とのスペクタクルな試合を勝ち抜いて身にまとう後天的な資質でもありますから、クロフォードの華の無さと〝スペンスだけ〟の貧弱なキャリアは合わせ鏡です。

さらに、度重なる頭の悪さが滲み出る言動も、稀代のスイッチヒッターの評価や人気に大きなマイナス作用をもたらしています。

Terence Crawford is not being promoted in the right way .

ハーンの「クロフォードが人気のない原因はプロモートの問題」という言葉も、全くのデタラメではありません。

まず、米欧で重視されるアマチュア実績が弱すぎました。五輪や世界選手権の出場を目指しましたが叶わず。米国内ではベスト8レベルでしたが、プロ転向のクロフォードを歓迎してくれる大手プロモーターは存在しませんでした。

2008年、北京五輪の年の3月にクロフォードはひっそりとデビュー。故郷のネブラスカ州オマハに住居を構えながら、小さなイベントの前座に出場し続けました。

プロデビューから13連勝した2011年にようやくトップランクから声がかかりますが、もちろん大きな期待をかけられたわけではありません。

やっとのことで地域タイトル、空位のNABOライト級への出場機会が許されたのはデビューから5年、21試合目のことでした。

トップランクとの契約が決して満足できるものでなかったことは、何度も裁判沙汰になっていることからも明らかです、

それでも、スペンス以外は取るに足らない相手ばかりとはいえ、層が厚い、つまりレベルが高いゾーンで3階級制覇を果たしたのです。

36歳のクロフォードに残された時間は十分ではありません。

しかし、ようやく風向きが変わろうとしています。

サウジアラビアが招聘を狙う最後にして最大の大物、カネロ・アルバレスの対戦相手としてクロフォードほどの適役はいません。

「クロフォードのPPVよりカネロの観客の方が多い」というピエロっぷりを笑われたクロフォードにとっては、自分に欠落している人気と華を持つカネロとの試合は願ってもないメガファイトです。

明日、マドリモフを誰もが納得する形で倒せば、カネロ戦は現実になりそうです。