米国ボクシングの大きなイベントは5月のシンコ・デ・マヨ(1862年5月5日にメキシコ軍がフランス軍を撃退したことを記念した祝日週間)と、9月の独立戦争開戦(1810年9月16日のスペインに対する独立戦争の開戦を記念する祝日週間)の二つに行われます。

その舞台はメキシコ人が多く住む西海岸、ラスベガスです。

21世紀になって米国ボクシングシーンはビバ・メヒコの色彩がますます濃厚になり、メキシカンではないフロイド・メイウェザーもマネー(銭ゲバ)となってからはこの期間を意識して試合を行なっていました。

20世紀はヒルトン、シーザースパレスなどのカジノ&リゾーツがボクシングのメガイベントを積極的に招致してきましたが、21世紀はMGMリゾーツが展開するMGMグランドガーデン・アリーナと、キャパの大きいT モバイル・アリーナがラスベガスの中心となっています。

そして、昨年9月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・カンパニーがなり物入りでオープンしたのがThe Sphere 。




Tモバ(2万人)よりも小さく、MGMグランド(1万6000人)よりもお大きなキャパ1万7000人というサイズにインパクトはありません。

斬新な球形の内外両側の壁面を完全に覆う、最新の高精細LEDパネル。15万7000のウルトラ・ダイレクショナル・スピーカー(超指向性スピーカー)とビーム・フォーミング技術は、個々の席ごとに計算された最高の音質と音量を届けます。
インフラサウンド・ハプティック(触覚・超低周波音)と称される、音を深みのある振動として体感できるシステムも配備。

Tモバの建設費用が3億7500万ドルであったのに対して、The Sphereはなんと21億7500万ドル。破格の資金を投じて、現代科学の水を結集させたエンタテインメント空間を作り上げたのです。

The Sphereが他のカジノ&リゾーツのように莫大なサイトフィーを支払ってメガファイトを呼び込むのか?には否定的な意見が多く、竣工から1年が経とうとしているというのにボクシングの試合はまだ1試合も行われていません。

サイトフィーどころか、高額の使用料がネックになっていると見られています。

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前置きが長くなりました。

このThe Sphereに、ボクシング興行で「いつ」「だれ(プロモーター・選手)」が乗り込むのかが注目されていますが、今年9月14日の独立記念ウイークの皮切りでボクシングに先駆けてイベントをぶち上げたのはUFC。

ボクシングのアルファベット団体よりもはるかにスポーツライクで、比較にならない資金を持つUFCでもThe Sphereの高額な使用料を支払うと選手報酬を抑えざるを得なく、それでも興行的に厳しいと見られていました。

サウジの出番です。泣きついてきたダナ・ホワイトにサウジ娯楽庁長官トルキ・アル=シャイフは「よっしゃ、よっしゃ」と資金提供を快諾。

ホワイトは「 The guys at MGM have done nothing but f---ing disrespect me and the UFC for 20 years.(MGMとアル・ヘイモンはこの20年間も俺を侮辱し続けてきた。ざまあみろヘイモン、ざまあみろボクシング)」と、人のカネでThe Sphereへコンバットスポーツ一番乗りしたくせに、いきがりまくっています。

そして、同じ日には、スーパーミドル級の3団体統一王者カネロ・アルバレスがTモバでエドガー・ベルランガと防衛戦を行います。

2019年11月2日のセルゲイ・コバレフ戦では、同日開催のUFCの試合終了を待って開始ゴングを大幅に遅らせるなど、カネロ人気ですらUFCには太刀打ちできない現状を目の当たりにしたボクシングファンにとって、UFCに先を越されてしまったことは、もう悔しくもなんともないかもしれません。

今回は、UFCは軽量級と女子のタイトルマッチ。人気階級では選手報酬をめぐって難しいという事情があったのかもしれません。

それでも、UFCの試合結果を待ってTモバのカネロはロッカールームで待機する憂き目にあいそうです。可哀想なカネロ。



本題からはずれますが、いつか必ず現れる日本人初のUFC王者はどんな熱狂を持って迎えられるのでしょうか?