リング誌が廃刊してしまい、米国のボクシングメディアはネットニュースだけになってしまいました。

その中で、最も情報豊富なサイトの一つが、BOXINGSCENE .comです。

どのメディアも「これからのヘビー級」と「今週末のガーボンタ・デービスとデビッド・ベナビデスの2大世界戦」の話題で持ちきりですが、井上尚弥の記事「Weighty Matters::Should Naoya Inoue, Tank Davis Make a Move?」(問題はウエイト:井上尚弥vsタンク・デービスは実現するか?)を発見。

トトト、トン!と内容をまとめてみます。

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今週月曜日、ProBox TVの “Deep Waters” コーナーで〝パッキャオにしか負けなかった男〟ティモシー・ブラッドリーは「WBCバンタム級王者・中谷潤人との対戦が現実味を帯びてきて、井上は急いで階級を上げる必要が以前よりもさらに小さくなっている」。

〝ハットンに破壊された男〟ポール・マリナッジも「メキシコ人のネリとの試合で5万5000人(本文ママ)も集めたのなら、中谷との日本人対決はどれほどの規模になるんだ?」。

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トップランクの幹部は「井上の米国での試合は全く未定」としており、マリナッジは「In these smaller weight classes, it’s tough. (井上のような小さな階級が米国で大きな興行を打てるかとなると、非常に厳しいとしか言いようがない)」と、需要の低さを指摘。

No one knows who he is. Nobody cared to be next to him. No pictures.

さらに、ブラッドリーは「土曜日のマディソン・スクエア・ガーデンのシアターで行われた興行に、井上が姿を見せたが、ベルトも持たないエドガー・ベルランガの方がはるかに注目を集めていた。井上にはメディアが気を使うだけで、誰も彼を知らないんだ。彼の隣に来て写真を撮ろうとする観客は誰一人いなかった」と、井上信者が聞いたら発狂しそうな発言。



ブラッドリーは「彼が階級を上げるなら、米国で大金を稼ぐチャンスもある。人気のある階級で活躍したら、米国で井上も知られるようになる」。

その発言にマリナッジは「井上には(ライト級=軽量級から一つ上の)140ポンド(ジュニアウエルター級)で戦う必要がない。日本ではバンタム級やジュニアフェザー級でもカネが稼げるんだから。そんな冒険は必要ないんだ」。



このときの話題の中心はもちろん、井上ではなく週末の「タンクvsフランク・マーティン」。

ブラッドリーは「まともな相手と一度も戦っていないタンクにとってテストになる試合。彼はこのテストを満点でクリアするだろう」。

アルジェリも「マーティンは一定の水準にある。タンクがどう戦うのか見物だ」。

ブラッドリーは「もしタンクが快勝したら、ワシル・ロマチェンコとの決戦が今年にも見れるかもしれない。これはものすごい試合になる」。

inoue-vs-nergy22.jpgのコピー




井上の場合は軽量級というのが最大のネック、そして軽量級だから仕方がないにしても対戦相手の名前があまりにも小さい、しょぼい。

例えば、日本の後楽園ホールにオレクサンデル・ウシクが現れたら、ボクシングファンの観客が大騒ぎするのは間違いなしです。

しかし、井上がMSGに現れても、関係者以外は誰も知らない。

井上信者ら、日本のメディアに騙されている人は「PFPファイターなのにそんなわけがない」「米国のニュースでも取り上げられてると、日本語のニュースで読んだ」と反論するかもしれません。

逆に考えてみれば良いのです。

もし、あなたがウエルター級やヘビー級が活況の国でボクシングファンなら、バンタム級やジュニアフェザー級を注目しますか?あるいは、米国を主戦場として2年もPFP1位に君臨したローマン・ゴンサレスを注目しますか?

日本のボクシングファンがウシクを知っているのは、世界の人気階級、それもヘビー級のスター選手だから。

米国のボクシングファンが井上やロマゴンを全く知らないのは、米国では光の当たらない階級で、誰も興味がないから、です。

大きなイベントでの軽量級は世界戦でもPFPファイターでも、人気階級の試合までの繋ぎでしかありません。オリジナル8の時代なら、軽量級でもまだ権威があったでしょうが、ビッグファイトしか見ないカジュアルなボクシングファンからすると、軽量級はいつも前座で安っぽいイメージが蓄積・増幅されるのは仕方がありません。

そんなファンは「軽量級の世界戦は要らないから、アンダーカードも人気階級のホープを出してほしい」とプロモーターに不平をぶつけますが、興行側から見ると人気階級の選手は安売りしたくありませんし、そもそも軽量級の世界王者よりも報酬が高いケースが珍しくありません。

「世界タイトルマッチ」というイクスキューズでイベントに盛り込み、「アンダーカードがひどいと文句を言ってもカネロやメイウェザー、パッキャオのPPVは買ってもらえる」のです。



ただ、このブログでは一貫して書いていますが、軽量級の面白さに触れる機会のない欧米のボクシングファンは不幸です。

弱い相手にスペクタクルなKOを量産、ちょっとだけ相手が強くなると退屈なファイターに成り下がったベルランガと比べても、井上の注目度はずっと下…ベルランガは人気階級の米国人で、普通に考えると当たり前です。