
ウシクがFighter Of The Yearを獲得したのは2018年(2017年実績が反映)。ロシアのウクライナ侵攻の前。当時はロシア語表記の「Аleksandr」でしたが、今は「Oleksandr」とウクライナ表記になっています。
階級を無視して誰が最高かを考えるのがPFPだとすると、そこにノミネートされるファイターは当たり前の話、彼らの階級を強力に支配していることが求められるはずです。
オレクサンデル・ウシクはヘビー級での世界戦4試合を全勝しているとはいえ3試合が判定で、KOは一つだけ。そのうち2試合がスプリットデジションというのでは、階級を強力に支配しているとは口が裂けても言えません。
ウシクは直近4試合で45ラウンド(×3人のジャッジ=135)を戦い、そのうち51ラウンドを失っています。喪失栗は38%。
スタイルの違いがあるとはいえ、テレンス・クロフォードは直近4試合で29ラウンド(×3=87)を消化、失ったのは19、喪失率は22%。
井上尚弥に至っては直近4試合の33ラウンド(×3=99)で失ったのは13で喪失率13%。12ラウンド戦っても、二つのラウンドを失わない計算です。
クラスを無視して階級支配度だけを物差しにするなら、ウシクはPFP10位もあり得ない存在です。
主観を廃してポイント性でランキングしているBoxRecでは、1位は井上、2位がクロフォード。
ヘビー級を完全統一したウシクは、中谷潤人(6位)にも大きく水を開けられた12位。
13位にはアンソニー・ジョシュアが付けています。
ウシクが文句なしのPFPキングなら、37歳のウクライナ人と大接戦を繰り広げたジョシュアやタイソン・フューリーの評価が低すぎます。
ヘビー級での支配度がウシクよりも強烈だったフューリーやジョシュアがPFP評価から敬遠され、ウシクだけが歓迎される背景には、階級支配度以外の最優先の評価基準が発動されたからです。
「体重同一時」、つまり「階級を無視して当該階級でどれだけ支配的か」という妄想PFPを根底から破壊したのがウシクです。
ボクシング17階級は人間が勝手に捏造した境界線に過ぎず、ウシクとフューリーの間にある本来なら絶望的な体格と体重の差が、4階級制覇だ、5階級制覇だと騒いでる減量階級を笑い飛ばすものだったからです。
さらに、そこには「ウシクはクルーザー級」上がりという残像もプラスに作用しているでしょう。
階級支配度は決して強力ではなかったウエルター級バージョンのマニー・パッキャオが「この小さなアジア人は112ポンドからやって来たんだぞ!」と驚かれ、満場一致のPFPキングに君臨したのと同じロジックですが、ウシクはそれ以上です。
さらに、日本ではあまり理解されていませんが傑出したアマチュア実績の残像も無視できません。
An Olympic gold medalist. An undisputed cruiserweight champion. And now, the one and only heavyweight champion of the world.
(4年に1度しかなく王者はたった一人だけの)五輪で金メダル、クルーザー級で議論する余地のない王者。そして今、唯一無二の世界ヘビー級チャンピオンになった。
ウシクを世界最高のファイターと認めるのに、これ以上、何か必要なものはあるのか?
PFPの基本は「階級支配度」なんて主流の意見も飲み込んで全くの自由。
「井上家と亀田家はどちらが上か?」なんて議題も、PFPに乗せちゃうといろんな解釈が可能です。あしからず。
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