ラスベガスでは有効打のない突進は、攻勢と認められないどころか、マイナスの印象を持たれかねません。

左ジャブで相手を牽制しながら、後退するボクサーにポイントが流れるのは、砂漠の中のシン・シティでは当たり前。

ところが、リードパンチ大好きのラスベガスでも、ドミトリー・ビボルのジャブは評価しないのです。

完勝に見えたカネロ・アルバレス戦をジャッジ3人がわずか1ラウンド差の試合だったと判定。3人とも可哀想に重篤な眼疾を患っているに違いないと、世界中のボクシングファンを心配させました。

正確に言うと、ラスベガスはビボルのジャブを評価しないのではありません。カネロに対する左ジャブを評価しないのです。

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ジャッジ席は、主審が邪魔になって2人のボクサーの攻防が見えないことが普通にありますが、そんな問題を超越してしまう不可解な判定を目にすることも珍しくありません。

ラスベガスが、後退しても左ジャブを突く科学的なボクサーが好きで、原始的な喧嘩ファイターを嫌うのなら、それはそれで良いのです。

ゲンナジー・ゴロフキンとカネロの最初の2試合。初戦はGGGがカネロを攻めまくりましたが、なぜかドロー。

ラスベガスは下がるボクサーが好きだから…百歩譲るとしても、第2戦でGGGがジス・イズ・ラスベガスなジャバーとして戦い抜くと、今度はカネロの勝ち。

ファンが一番苛立つのは、一貫性がないことです。


ここからは、活字情報だけから、あたかも試合を見たかのように書きます。

▶︎昨夜の寺地拳四朗とユーリ阿久井政悟の判定について、海外メディアやファンの間で疑問が投げかけられています。

拳四朗は特に終盤、科学に徹して戦った。アルテム・ダラキアンも冷静に科学的に戦った…しかし、前者はタイトルを守り、後者は失いました。

2試合とも接戦、しかし日本のリングには一貫性がなさ過ぎるのではないか?

「日本は地元判定がひどい」。

まあ、これはどこの国でも大なり小なりあり得ることです。

ラスベガスでカネロと戦うと、米国人のフロイド・メイウェザーですら奇怪な判定に悩まされてしまうのは、そこがカネロのホームだからです。

ラスベガスはジャブが好きで、突進が嫌いなのではなく、カネロが大好きなのです。

もちろん、ホームタウン・デジションとはそういうことです。

誤解を恐れずにいうと、ラスベガスでカネロと戦いながら、公正なジャッジを期待する方がおかしいのです。

ゴロフキンは倒さなければいけなかった。ビボルも結果は良かったものの、ダメ押しの決定的な場面を作るべきでした。

ダラキアンとカルロス・カニザレスが素直に判定を受け入れられないのは理解できますが、彼らは、攻勢を評価しがちな日本に呼ばれて、どこにでも起きる地元判定を突きつけられたのです。

もし、キーウやカラカスでやってたら、勝敗はひっくり返っていたかもしれませんが、それがプロボクシングです。