2023年8月3日現在のジュニアフェザー級ボクサーの数は一昨日と変わらず全世界で1252人(BoxRec)。

この1252人にはルイス・ネリ、ムロジョン・アフマダリエフ、亀田和毅、ジョンリール・カシメロ…〝タパレス後〟に対戦が期待されている4人も含まれています。

さてさて、この4人のうちの誰かが井上に勝てるのか?

あるいは、残りの1248人の中に、モンスターを倒す才能が隠れているのか…?

4+1248=1252。2504の拳の中に、井上尚弥の脅威を探してゆきます。



まずは、ルイス・ネリ、Luis Esteban Neri Hernandezから。

日本ボクシング史上、最も凶悪なヒールといえばこの小さなパンテラ、気の荒い子猫で誰も異論はないでしょう。

体重超過にドーピングという〝犯罪行為〟に、立て続けに手を染めたことは許されることではありません。

しかし、日本のボクシングファンの憎悪を必要以上に膨張させたのは、キャリアの有終を飾るはずの山中慎介に圧勝した事実です。

ネリとは〝成敗されなかった鬼〟であるがゆえに、より強烈な反感を集めているのです。もし、現実とは真逆に山中がネリを破壊していたら、ネリはここまで憎まれていなかったでしょう。

そして、ブランドン・フィゲロアが、ネリのボディをえぐって悶絶KOしたとき、多くの日本人ファンが「ざまあみろ」と溜飲を下げました。



しかし、ネリを成敗すべきは、メキシコ系の色男の拳ではありません。山中の仇を打てる、ネリを〝成敗〟できる、もっと正確にいうなら「ネリを成敗すべき」なのは日本人ファイターです。

そして成敗に相応しい、フィゲロアがやった以上の惨めな敗北をネリに突きつけられるのは井上尚弥をおいて他にいません。

米国では大きな需要を持たないジュニアフェザー級。ネリが井上戦を熱望するのも、破格の報酬と素晴らしい観客(さすがにネリには入場からブーイング?それでも閑散とした米国で試合するより100倍アドレナリンが出るでしょう)が約束される日本開催を見越してのこと。

日本開催がまずありき、となると、JBCがネリに下した永久追放を特例解除しなければないませんが、これはJBCの一存で、どうとでもなる問題です。

一般的にはほとんど忘れられている、あるいはそもそも記憶されていないルイス・ネリですが、山中との2試合で増幅された因縁は、再来日によってさらに燃え盛るはず。興業規模だけで考えると、122ポンドで起こりうる最も大きな試合かもしれません。



さて、そのネリの戦力分析です。

小さなパンサーは、自らのボクシングスタイルに悩み、トレーナーをコロコロ変えてきましたが、結局は多くの欠点がほとんど修正できないまま。

まともなジャブが打てない、パンチが大回りする、緩急がないから慣れられる…まだ28歳とはいえ、もはや何の伸び代もないのは誰の目にも明らかです。

攻撃力とスピードはジュニアフェザー級の世界基準を上回っていますが…。

ブランドン・フィゲロアのようなBクラスの世界王者でも、ネリの序盤の攻撃と五分で渡り合って、中盤以降の失速待ちで十分正気が掴めます。

ボクシングに三段論法は禁物ですが、井上はフィゲロアとは同じリーグに所属しているファイターではありません。メジャーとシングルAと言っても大袈裟ではないでしょう。

団体と階級が膨れ上がって、タイトルの価値が軽薄化、安易な複数階級が横行して、レベルのタイトルマッチや決定戦があちこちで催される4Belt -Eraでなければ 2階級制覇はもちろん、世界王者にもなれていたかどうか極めて怪しいのが卑しい小猫、それがネリです。

ネリにとって山中がオーダーメイドだったのは、〝神の左〟の「引き」の遅さでした。強打の左だけでなく、右リードの引きまで遅い山中にとって、ネリの唯一の取り柄であるスピードは完全なジョーカーでした。

一方で、井上は超攻撃型ファイターにも関わらず、パンチの「引き」が非常に速い。大砲をぶっ放すというよりも、タイミング抜群のコンパクトな一撃を射抜くモンスターは、技術が乏しく集中力が散漫な子猫にとってはヤケクソで向かっていくか、守り一辺倒で亀になるしかないでしょう。

脆いアゴとペーパーストマックのネリが亀にならない限り、サンドバッグにすらなれないまま、早いラウンドで井上の強打に朽ち倒れるでしょう。

独断と偏見のポテンシャル・オッズは、43−1で井上。 

ネリでは善戦するのも難しいと見ます。

というわけで、まずネリが脱落。残り1251人。



次は、MJにスポットライトを当ててみましょうか。