ダイレクト・リマッチ。
決着の戦いか?それとも、タイトルのたらい回しか?
その類型を「①哀しい返り討ち型」「②ファンが喜ぶ激闘型」「③プライド証明型」に分けます。
今夜は「③プライド証明型」。
初戦でその実力に批判的な目を向けたDoubterや、Haterらを黙らせる、ダイレクトリマッチの型式です。
記憶に新しいところでは、アッサン・エンダムとロブ・ブラントに初戦を落としながら、ダイレクト・リマッチで文句なしのKO勝利を収めた村田諒太が代表がでしょうか。
ジュニアバンタム級のUndisputed titleを賭けた、WBC王者パヤオ・プーンタラトとの初戦(1984年7月5日)を僅差でものにしたWBA王者・渡辺二郎は、4ヶ月と24日後のダイレクト・リマッチ(1984年11月29日)ではボクシングIQの高さを見せつけて、11ラウンドTKO勝利。
前回記事のコメントで落日さんが挙げてくれた、アズマー・ネルソンとジェフ・フェネック。
90年代の怪物2人のリマッチは、実際にはフェネックが1試合を挟んでおりダイレクトではありませんでしたが、非常に興味深い再戦でした。
初戦は1991年6月28日、マイク・タイソンvsレーザー・ラドックのダイレクト・リマッチのセミファイナル。WBCジュニアライト級王者ネルソンが6度目の防衛戦で迎え撃つのは、バンタム級からスタートした4階級制覇を狙うフェネック。
試合はフェネックのボリューム満点の攻撃が、ガーナのプロフェッサーを押し切ったように見えましたが、オフィシャルはフェネックから見て115−113/114-114/112−116の三者三様のドロー。
スコアカードが読み上げるのを聞いたフェネックは、愛娘を抱き上げ、人目を憚らず悔しさに咽び泣きました。「こんな判定があるか?どうしたら勝てるんだ?」。
ダイレクト・リマッチがセットされたのは翌年3月1日、フェネックの地元・豪州メルボルンのプリンセスパーク・スタジアム。初戦の試合内容、そして地元に用意された舞台。オッズは5−1で大きく27歳のフェネックを支持していました。
しかし、33歳のネルソンも自信満々。初戦は10日前までマラリアを発症、高熱で練習ができなかったこと、左肘を負傷していたままリングに上がっていたのでした。
試合は3度のダウンを奪われ8ラウンドTKOに散ったフェネックは、プロ初黒星を喫してしまいます。

グローブだけでなく、手錠も似合う男、メイウェザー。
旬の強豪を避けると批判されることが多かったフロイド・メイウェザーがダイレクト・リマッチを選択したのはファンやメディアから「負けていた」といわれるホセ・ルイス・カスティージョ(2002年4月20日→2002年12月7日)と、マジョリティ・デジションで辛くも逃げ切ったマルコス・マイダナ(2014年5月3日→2014年9月13日)。
いずれも、ボクシングスキルの明白な違いを見せて勝利したメイウェザーのプライドが輝いたダイレクト・リマッチでした。
スーパーミドル級最強トーナメント〝スーパー6〟で優勝、PFPキングにも君臨したアンドレ・ウォードですが、ボクシングファンの多くは彼のことを忘れてしまっています。もしかしたら、最初から記憶していなかったのかもしれませんが…。
2016年11月19日、ウォードが挑んだのは、階級最強と目されたWBA /IBF /WBO王者のセルゲイ・コバレフ。
このときウォードは32歳、30戦全勝15KO無敗。コバレフは33歳、31戦30勝27KO無敗、唯一勝てなかった引き分けは8回戦時代のものでした。
多くのメディアがPFPでウォードを2位、コバレフを3位(1位はローマン・ゴンサレス)に推す大勝負。
第2ラウンドにウォードがダウン。拮抗した試合は12ラウンド36分間続きました。ウォードがユナニマスデジションをモノにしましたが、スコアは3者とも114−113というミクロの勝利。
迎えた2017年6月17日、ダイレクト・リマッチ。ボディブローを有効に使ったウォードは第8ラウンド、ボディを嫌がるロシア人の顔面に左右のパンチをヒットさせると、フィニッシュはボディへ押し込んだローブロー。
モヤモヤの残る試合ではありましたが、ダウンしてからが強かったウォード、劣勢になると崩れるのが早かったコバレフ、その差が出た勝負でした。

カネロ・アルバレスは、熱望されたゲンナジー・ゴロフキンとの試合を引き延ばし、劣化の兆候を見極めた2017年9月16日に初戦をセットしました。
試合は35歳のGGGのプレッシャーに、27歳のカネロが押される展開。決定的な場面こそ作れなかったものの、GGGの勝利は間違いないと思われましたが、公式採点は三者三様のドロー。カネロの118−110とスコアしたアダレイド・バードは激しく非難されますが、その後もジャッジを続けています。
ダイレクト・リマッチは1年後の2018年9月15日。またもや12ラウンドにもつれ込んだ判定は2−0のマジョリティデジションでカネロの勝利。
この試合は初戦から一転、カネロが攻めてGGGが捌く展開。どちらが科学的に戦ったかという視点なら、左ジャブからボクシングを組み立てたGGGですが、メキシカンスタイルで攻め込んだカネロの成長も感じられた一戦でした。
かつて、ヘビー級最強と見られていたアンソニー・ジョシュアは二つの顔を見せてしまいます。
2019年6月1日、米国初上陸はアンディ・ルイスJr.を豪快に粉砕するはずでしたが…身長とリーチではるかに劣るルイスの接近戦に簡単に巻き込まれて第7ラウンドでTKO負け。
12月7日のダイレクト・リマッチではアウトボクシングに徹して、メキシカンの接近を最後まで許さず完勝。スタイルをガラリと変えてのリベンジでした。
2021年9月25日、やはり圧倒的有利の予想で迎えたオレクサンデル・ウシクとの初戦は、ウクライナ人のテクニックに翻弄されて判定を落としてしまいます。
2022年8月20日のダイレクト・リマッチでは攻撃によりアクセントをつけて臨んだものの、ウシクの機動力を止めることも狂わせることもできずにスプリットデジションで惜敗。
▶︎▶︎▶︎私はその時代を共にしていませんがダイレクト・リマッチのドラマに、絶対に欠かせないのが炎の男・輪島功一です。
オスカー・アルバラードには初戦(1974年6月4日)で15ラウンドKO負けでジュニアミドル級のUndisputed Championの座を転がり落ちるも、ダイレクト・リマッチ(1月21日)では15ラウンド判定勝ちで見事に奪冠。
柳済斗との初戦(6月7日)は7ラウンドKO負け、ダイレクト・リマッチでは15ラウンドKOでベルトを取り返しました。
…さて。
井岡一翔は明日、土曜日の夜に、どんなプライドを見せてくれるのでしょうか?
決着の戦いか?それとも、タイトルのたらい回しか?
その類型を「①哀しい返り討ち型」「②ファンが喜ぶ激闘型」「③プライド証明型」に分けます。
今夜は「③プライド証明型」。
初戦でその実力に批判的な目を向けたDoubterや、Haterらを黙らせる、ダイレクトリマッチの型式です。
記憶に新しいところでは、アッサン・エンダムとロブ・ブラントに初戦を落としながら、ダイレクト・リマッチで文句なしのKO勝利を収めた村田諒太が代表がでしょうか。
ジュニアバンタム級のUndisputed titleを賭けた、WBC王者パヤオ・プーンタラトとの初戦(1984年7月5日)を僅差でものにしたWBA王者・渡辺二郎は、4ヶ月と24日後のダイレクト・リマッチ(1984年11月29日)ではボクシングIQの高さを見せつけて、11ラウンドTKO勝利。
前回記事のコメントで落日さんが挙げてくれた、アズマー・ネルソンとジェフ・フェネック。
90年代の怪物2人のリマッチは、実際にはフェネックが1試合を挟んでおりダイレクトではありませんでしたが、非常に興味深い再戦でした。
初戦は1991年6月28日、マイク・タイソンvsレーザー・ラドックのダイレクト・リマッチのセミファイナル。WBCジュニアライト級王者ネルソンが6度目の防衛戦で迎え撃つのは、バンタム級からスタートした4階級制覇を狙うフェネック。
試合はフェネックのボリューム満点の攻撃が、ガーナのプロフェッサーを押し切ったように見えましたが、オフィシャルはフェネックから見て115−113/114-114/112−116の三者三様のドロー。
スコアカードが読み上げるのを聞いたフェネックは、愛娘を抱き上げ、人目を憚らず悔しさに咽び泣きました。「こんな判定があるか?どうしたら勝てるんだ?」。
ダイレクト・リマッチがセットされたのは翌年3月1日、フェネックの地元・豪州メルボルンのプリンセスパーク・スタジアム。初戦の試合内容、そして地元に用意された舞台。オッズは5−1で大きく27歳のフェネックを支持していました。
しかし、33歳のネルソンも自信満々。初戦は10日前までマラリアを発症、高熱で練習ができなかったこと、左肘を負傷していたままリングに上がっていたのでした。
試合は3度のダウンを奪われ8ラウンドTKOに散ったフェネックは、プロ初黒星を喫してしまいます。

グローブだけでなく、手錠も似合う男、メイウェザー。
旬の強豪を避けると批判されることが多かったフロイド・メイウェザーがダイレクト・リマッチを選択したのはファンやメディアから「負けていた」といわれるホセ・ルイス・カスティージョ(2002年4月20日→2002年12月7日)と、マジョリティ・デジションで辛くも逃げ切ったマルコス・マイダナ(2014年5月3日→2014年9月13日)。
いずれも、ボクシングスキルの明白な違いを見せて勝利したメイウェザーのプライドが輝いたダイレクト・リマッチでした。
スーパーミドル級最強トーナメント〝スーパー6〟で優勝、PFPキングにも君臨したアンドレ・ウォードですが、ボクシングファンの多くは彼のことを忘れてしまっています。もしかしたら、最初から記憶していなかったのかもしれませんが…。
2016年11月19日、ウォードが挑んだのは、階級最強と目されたWBA /IBF /WBO王者のセルゲイ・コバレフ。
このときウォードは32歳、30戦全勝15KO無敗。コバレフは33歳、31戦30勝27KO無敗、唯一勝てなかった引き分けは8回戦時代のものでした。
多くのメディアがPFPでウォードを2位、コバレフを3位(1位はローマン・ゴンサレス)に推す大勝負。
第2ラウンドにウォードがダウン。拮抗した試合は12ラウンド36分間続きました。ウォードがユナニマスデジションをモノにしましたが、スコアは3者とも114−113というミクロの勝利。
迎えた2017年6月17日、ダイレクト・リマッチ。ボディブローを有効に使ったウォードは第8ラウンド、ボディを嫌がるロシア人の顔面に左右のパンチをヒットさせると、フィニッシュはボディへ押し込んだローブロー。
モヤモヤの残る試合ではありましたが、ダウンしてからが強かったウォード、劣勢になると崩れるのが早かったコバレフ、その差が出た勝負でした。

カネロ・アルバレスは、熱望されたゲンナジー・ゴロフキンとの試合を引き延ばし、劣化の兆候を見極めた2017年9月16日に初戦をセットしました。
試合は35歳のGGGのプレッシャーに、27歳のカネロが押される展開。決定的な場面こそ作れなかったものの、GGGの勝利は間違いないと思われましたが、公式採点は三者三様のドロー。カネロの118−110とスコアしたアダレイド・バードは激しく非難されますが、その後もジャッジを続けています。
ダイレクト・リマッチは1年後の2018年9月15日。またもや12ラウンドにもつれ込んだ判定は2−0のマジョリティデジションでカネロの勝利。
この試合は初戦から一転、カネロが攻めてGGGが捌く展開。どちらが科学的に戦ったかという視点なら、左ジャブからボクシングを組み立てたGGGですが、メキシカンスタイルで攻め込んだカネロの成長も感じられた一戦でした。
かつて、ヘビー級最強と見られていたアンソニー・ジョシュアは二つの顔を見せてしまいます。
2019年6月1日、米国初上陸はアンディ・ルイスJr.を豪快に粉砕するはずでしたが…身長とリーチではるかに劣るルイスの接近戦に簡単に巻き込まれて第7ラウンドでTKO負け。
12月7日のダイレクト・リマッチではアウトボクシングに徹して、メキシカンの接近を最後まで許さず完勝。スタイルをガラリと変えてのリベンジでした。
2021年9月25日、やはり圧倒的有利の予想で迎えたオレクサンデル・ウシクとの初戦は、ウクライナ人のテクニックに翻弄されて判定を落としてしまいます。
2022年8月20日のダイレクト・リマッチでは攻撃によりアクセントをつけて臨んだものの、ウシクの機動力を止めることも狂わせることもできずにスプリットデジションで惜敗。
▶︎▶︎▶︎私はその時代を共にしていませんがダイレクト・リマッチのドラマに、絶対に欠かせないのが炎の男・輪島功一です。
オスカー・アルバラードには初戦(1974年6月4日)で15ラウンドKO負けでジュニアミドル級のUndisputed Championの座を転がり落ちるも、ダイレクト・リマッチ(1月21日)では15ラウンド判定勝ちで見事に奪冠。
柳済斗との初戦(6月7日)は7ラウンドKO負け、ダイレクト・リマッチでは15ラウンドKOでベルトを取り返しました。
…さて。
井岡一翔は明日、土曜日の夜に、どんなプライドを見せてくれるのでしょうか?
コメント
コメント一覧 (4)
計量失敗をどう見るかでかなり変わってきそうですけどね
単純に注目度が低いだけなのかもしれませんが、、
フシ穴の眼
が
しました
グダグダ展開なるとは読めず、、
フシ穴の眼
が
しました
2時間でそんなに落とせるわけがないと思いますが…ちょっとふざけてやしませんかねぇえ?(激おこ
フシ穴の眼
が
しました