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ジリジリ気温が上がる土曜日のお昼、カレーを食いながら、問う。

プロフェッショナルの定義とは何でしょうか?

数えきれないほど答えがあると思います。

しかし、プロボクシングにおいては「人気」と言い切って良いでしょう。

専門家評価最高峰であるFighter Of Yhe Yearを獲ったワシル・ロマチェンコや、PFP1位に2年間も君臨したローマン・ゴンサレスよりも、まだFighter Of Yhe Yearにもノミネートされていない、PFP10傑にすら引っ掛からなかった時代のカネロ・アルバレスの方が遥かに人気があり、50倍以上のファイトマネーを稼いでいました。

最近なら、ライアン・ガルシアらも実力が人気に全く追いついていないアイドルボクサーです。

チョコラティトやロマチェンコを見るまでもなく、「実力」がどんなに優れていても「人気」と「報酬」と比例するとは限りません。

「人気」、つまり「報酬」の源は「実力」だけで構築できるような生やさしいモノではありません。

米国市場なら、まず①人気のある階級で、②面白い試合を繰り広げているか?そして、③ファンベースが分厚いメキシコやプエルトリコの血を継いでいるか?

米国で人気がないというよりも、認知されていないと表現した方が正確な超軽量級で戦うチョコラティトや井上尚弥は①の段階で完全アウト、米国市場では前座需要しかありません。日本では人気と需要のある井上が米国から撤退したのは、当たり前すぎる帰結でした。

ロマチェンコは人気階級の入り口ライト級ですが、そこが天井。現時点のロマが②の面白い試合ができているかも、これまた微妙。そして③についてはファンベースなどあるわけもない旧ソ連のウクライナ。

文句無しの人気階級ミドルで、面白い試合を繰り広げていたゲンナジー・ゴロフキンはカネロ・アルバレスというこれ以上ないライバルに恵まれましたが、ビッグマネーを稼げるのはカネロやにほんの村田諒太と絡んだ試合だけ。単体でのマネーパワーは井上以下です。

もし、GGGがカネロとトリオロジーを紡ぐ必要がないくらいに初戦で破壊的な勝利を収め、アンドレ・ウォードやセルゲイ・コバレフ、アドニス・スティーブンソンらを撃破していれば…そう、マニー・パッキャオと同じことをやってのけていたなら「弱い相手としか戦わない」という批判など微塵も聞かれなかったでしょう。

パッキャオやMLBの大谷翔平のように「絶対不可能」と思われたことを、やってのける、米国ファンの「度肝を抜く」ことが出来たなら、①と②だけで十分な「人気」と「報酬」が約束されます。

いずれにせよ、どんなに技術的に優れていても「無名ではプロフェッショナルとは呼べない」ということもまた、一つの真実でしょう。


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さて、藤浪晋太郎です。

彼もまた「実力」と、「人気」と「報酬」の間に大きな乖離があるプロフェッショナルです。

若い時代にその年齢では傑出した「実力」を発揮し、それに見合った「人気」と「報酬」を手にしましたが、本来なら全盛期を謳歌しているはずの時期からキャリアは暗転してしまいます。

あのデビューイヤーを知ってる人で、今年のWBCに藤浪が選ばれていないのは「故障でなければ信じられない」でしょう。



少年時代からすでに大きな人気を集めていたカネロも大きな乖離を抱えていたプロフェッショナルでしたが、成長するに従い「実力」を順調に引き上げてそのギャップを埋めてゆきました。



藤浪のルートは〝逆カネロ〟を辿ります。

カネロは先行した「人気」を追いかけ、ついに「実力」が追いつきました。ドミトリー・ビボルに判定負け、中位まで下落したPFPランキングは、もはや過小評価の領域に踏み込んでいるようにすら見えます。

一方の藤浪は、高卒ルーキーから3年間で刻み込んだ「実力」があまりにも鮮烈であったがゆえに、一見過大に思える「人気」と「報酬」を獲得し続けています。

現在の不当とも思える「人気(待遇)」は何もないところに与えられたわけがあるはずもなく、「実力(実績)」がしっかり担保されているのです。

「三つ子の魂百まで」と言います。「親孝行は3歳までで終わっている」とも語られます。

藤浪晋太郎の〝3年間〟もまた、まだその余韻が響いているのです。その反響は、太平洋まで超えてしまいました。


藤浪の中継ぎ失敗のニュースが鈴木誠也の本塁打よりも、吉田正尚のマルチヒットよりも、ダルビッシュ有の好投よりも、あるいは大谷翔平の活躍よりも大きく反応され、刺激的に報じられるのは、そういうことです。

たった3年間の余韻がいつまで続くのか?

それが「巨額の報酬」という意味では、アスレティックスとの1年契約が切れる今年までかもしれません。

それが「人気」、「実力」とはかけ離れた注目度という意味では、引退するまで続くでしょう。

いや…もしかしたら人生を終えるまで、かもしれません。 

藤浪晋太郎には、戦い続けるしか道はありません。あれほどの天賦の才能を与えられたのです。逃げ道など、あろうはずもない。

197㎝、200ポンドを超えるスーパーヘビー級の日本人が100マイルを超えるファーストボールを投げ下ろしながら、制球に苦しみ、もがいている…鋭い牙と強力なアゴを持っているにもかかわらず、狩りの下手くそなティラノサウルス。

同い年のもう一頭のティラノサウルスは、過剰な期待を遥かに上回る前代未聞で驚天動地の活躍を見せ続けているというのに。


面白いじゃありませんか。