アンセルモ・モレノが3月30日、節目の50勝目を目指してリングに上がります。

フェザー級10回戦で行われる試合の対戦相手はメキシカンかアルゼンティーナになる予定で、舞台はパナマシティのロベルト・デュラン アリーナ。

 2002年3月10日にフライ級でデビュー。4回戦で惜敗したリカルド・モリナに、2005年1月に空位のWBA中米ジュニアバンタム級王座をかけて10回戦を戦い、9ラウンドTKOで雪辱。

2006年5月にはやはり空位のWBA中米バンタム級王座を元IBFジュニアバンタム級王者のフェリックス・マチャドと争い完勝。

この試合には中米(Fedecentro)の他に南米(Fedebol)のWBA地域タイトルがステイクされていましたが、WBAはお膝元の中南米ではやりたい放題。FedecentroとFedebolの他にもFedelatin(中南米全域)、Fedecaribe(カリブ海)などのタイトルを粗製濫造しています。

まさに〝Fラン〟タイトル。

そんなことはお構いなしに、モレノは高度な防御技術と柔軟な肉体を結晶させたChemito -Styleで勝利を重ね、2008年5月にはWBAバンタム級王座を6連続防衛中のウクライナのテクニシャン、ウラジミル・シドレンコを攻略、22歳で世界王者に就きました。

当時のバンタム級シーンは日本の長谷川穂積がWBC王者として君臨、WBOはジョニー・ゴンザレスを番狂せでTKOしたジェリー・ペニャロサから、寵愛するフェルナンド・モンティエルを暫定王者に付け、すぐに正規王者に昇格。

そしてIBFではShowTimeとゴールデンボーイ・プロモーションズが「バンタム級最強トーナメント」を展開、アブネル・マレスをGBP初の生え抜き世界王者にすべく画策していました。 

長谷川穂積がモンティエルに破壊され、そのモンティエルがノニト・ドネアに予告通りの2ラウンドKO負けを喫すると、バンタム級最強はモレノかドネア、マレスの3人に絞られます。

しかし、ドネアとマレスは複数階級制覇を急いでジュニアフェザーに転級。バンタム級最強決戦は実現しませんでした。




モレノは、空位のWBCジュニアフェザー級王座を決定戦で勝ち取ったマレスとの念願のビッグファイトに挑みますが、舞台は〝デラホーヤの館〟ステイプルズセンター。勝ち目はありません。

バンタム級に出戻ったモレノは防衛のテープを12まで伸ばしますが、Chemito -Styleは綻びを見せ始めます。そして、リング誌が「あんなにウスノロで反応の鈍いモレノは初めて見た」という酷い状態で、凡庸なファン・カルロス・パヤノにタイトルを奪われてしまいます。

モレノの衰えを確信したかのように、2015年にはWBC王者・山中慎介がすっかり影の薄くなったChemitoを東京のリングに引っ張り上げます。ところが、モレノは意地を見せて神の左を見事に空転させるのでした。

しかし、判定はSD、日本人の手が挙げられます。

好漢・山中はモレノとの再戦を受けますが、「KOしないと勝てない」(モレノ)と慣れない打撃戦に臨んだモレノはキャリア初のKO負け。山中は日本人初のリング誌PFPファイターに迎えられました。

モレノは当時まだ31歳でしたが、フリオ・セハにもノックアウトされ2試合連続のKO負け。誰の目にも「今度こそモレノは終わった」と見られていました…。

しかし、セハ戦から約2年のブランクを作りながら、2019年にリングに舞い戻ってきたフェザー級のChemitoは、WBAのFedelatinタイトルをピックアップして、現在6連勝中。

老練なスタイルから若く見られないモレノでしたが、実は〝まだ〟37歳です。



ファン垂涎だった幻のドネア戦が実現する可能性は、まさかまだ、ほんの少しでも残されているのでしょうか…。