モハメド・アリは何故にThe  Greatestなのか。自らが勝手に吠えているだけではありません。

当時、最凶と信じられていたソニー・リストンに挑戦。「Float like a butterfly, sting like a bee. 〜蝶のように舞い、蜂のように刺す」と豪語したビッグマウスをそのままリングの上でも披露、大番狂せでヘビー級タイトルを強奪。

再戦でも不利と見られていましたが、なんと「Phantom Punch〜幻の右」で1ラウンドKOの返り討ち。

ローマ五輪金メダリストのアリが初戦で圧勝したにも関わらず、再戦でも不利と見られていたのです。リストンは、それほどまでに評価の高いチャンピオンでした。

IMG_2890

そして、兵役拒否によるライセンス剥奪、事実上のアメリカ追放。

リング復帰後は、ジョー・フレージャーとの世紀の対決で「The Down」を奪われ、初黒星。

無冠となったアリがまたまた奇跡を起こす舞台はアフリカ、ザイールはキンシャサ。

「象をも倒す」と恐れられたジョージ・フォアマンを「Rope a Dope」という妖術を使って絡め落としました。

その全てがヘビー級のUndisputed titleです。

フォアマンは1987年に10年のブランクから電撃復帰。「70年代の化石」笑われながらも、1994年にマイケル・モーラーから逆転KO勝利を収めて、なんと20年ぶりの王座返り咲き。

「マイク・タイソンはもちろん、レノックス・ルイスでも下がらせることができたが、フォアマンは岩のように動かなかった。アリがどれだけ強かったのか、全く想像もできない」(イベンダー・ホリフィールド)。

アリがThe  Greatestなのは、勝った相手がエグすぎたからです。

もちろん、アリの全盛期は1団体時代。そして何よりもヘビー級。強豪、タレントが枯渇しにくい条件が揃っていました。



4団体17階級時代は「誰に勝ったのか」を追求しにくい因果な時代です。

特に欧米で興味・関心が低いジュニアライト級以下のクラスにおいて、それは顕著です。

しかし…21世紀の初頭に突如米国に上陸した、軽量級上がりであるが故の過小評価に、圧倒的な実力、そしてビッグネームとメガファイトへの飽くなき野望に燃えるファイターに、リングの女神はこれ以上ない幸運の舞台を、これでもかとばかりに整えていきました。

「マニーは自分を元チャンピオンだと言ったが、知らなかった」「でも、ミットを受けて驚いた。とんでもない才能が天から降ってきたと思ったよ」(フレディ・ローチ)。

マニー・パッキャオが米国デビューを飾ったのは、ジュニアフェザー級。つまり、本来なら文字通り軽視されるクラスでした。

しかし、122〜130ポンドにメキシカンのPFPファイターが、あろうことか3人もうごめいていたのです。

マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス。現役PFPファイターにして、将来一発殿堂入りまで果たす3人のメキシカン。

さらに、ミドル級まで制したオスカー・デラホーヤからキックオフした〝巨人狩り〟…。

小さな無名のアジア人の前に、ビッグネーム、超強豪が次から次に湧いてきました。

リングの女神は、どこまでマニー・パッキャオを愛したら気が済むのでしょうか。

もちろん「一発殿堂の現役PFPファイター3人を向こうに回しての総当たり戦」や「フライ級上がりから見上げると、あらゆる意味で雲の上の存在である8階級も上のウェルター級でのビッグネーム狩り」…それらは、常識的に考えると絶対不可能・究極の無理ゲーのはずでした。

そんな風に考えると、ボクシングの女神は本当はパッキャオを愛してたんじゃなくて、憎んでいたのかもしれません。



IMG_4519



。。。。。リングの女神の目に、今の井上尚弥はどう映っているのでしょうか。