サムライブルーの快進撃が続いています。

6日(火)のクロアチア戦をクリアすると、ブラジルvs韓国の勝者と10日(土)にベスト4を賭けて激突。

準決勝は14日(水)、3位決定戦は18日(日)、決勝は19日(月)。

202212040000286-w500_1

13日(火)に行われる井上尚弥の世界バンタム級完全統一戦は、完全に割りを喰う形になってしまいました。

リネラル/リング誌/WBA /WBC /IBFの5つの王座に就く井上に残された最後のストラップが、ポール・バトラーの持つWBO。

バンタム級では1972年のエンリケ・サンチェス以来50年振り、日本人ではファイティング原田以来、54年振りのUndisputed title獲得が確実視されている井上ですが、サムライブルーの快進撃にはKO負けです。

IMG_0071


かつて、ボクシングのビッグファイト前後には増刊号を出していたNumber誌。しかし、ボクシングは今やサッカーはもちろん、漫才特集までが優先される体たらく…。

リング誌もボクシングマガジンも廃刊に追い込まれるご時世ですから、仕方がないといえば、仕方がありません。

井上vsバトラーは、ひかりTVとd TVのネット配信。

ここからあくまで推測ですが、今回の井上のファイトマネーは「2億円を大きく超える模様」(日本経済新聞)とはいえ、その原資は視聴料だけで賄えていないのではないでしょうか。

d TVの月額550円で、10万件の新規契約があっても5500万円にしかなりません。井上のファイトマネーだけでも36万件の契約が必要です。

ネット配信としては実験的な投資の意味合いが大きいと思われます。

前回のAmazonプライムが放映権獲得に向かわなかったのは「ドネア2」の新規加入者数が予想を多く下回ったからかもしれません。

井上のスポンサーでもあるひかり TVとd TVにとっても、井上戦はビジネスとして成立していない可能性大です。

「軽量級でここまでのファイトマネーをもらえるというのは、子どもたちにも夢を与えることができる」(井上)というのは、本質から大きく逸脱してしまったエゴイスティックな理屈です。

大谷翔平やサッカーW杯が、どうして大人も子ども巻き込んだ国民的関心事になっているかというと、そこには「本物の世界」があるからです。年俸や契約金が高いから、というのは二の次、三の次、どうでもいいことです。

日本国内で「世界戦」を繰り返し、海外から届く報道はローカルな専門メディアだけ…井上は地下ヒーローへの道を突き進んでいるようにしか見えません。

While Inoue hasn't faced an elite fighter yet, the way he dispenses his foes has shown his greatness. The only thing stopping Inoue from widespread acclaim as the best fighter in the world??The fact that most of his fights take place in Japan and therefore in the early-morning hours in the United States.

ESPNの「井上はいまだにエリートファイターとの対戦がないが、弱い相手に対する勝ちっぷりはものすごい。井上が世界最高のファイターとして有名になれないたった一つの理由は何か?それは、彼の試合のほとんどが日本で行われ、米国時間では早朝になるからだ」という見立ては大間違いです。

井上が米国で全く人気がない(というか認知されていない)理由は、軽量級だからという一点だけに尽きます。それ以外にはありません。

すでに米国で2試合、英国で1試合の世界戦を行い、そのいずれも圧巻のKOでフィニッシュしたにも関わらず、ほんの一部のマニアを喜ばせただけで、カジュアルなボクシングファンはその存在すら知りません。

米国で戦っても全く認知されない、米国で用意される報酬も大橋秀行の虚言とは違う低い金額だったのは間違いありません。

かつて、2年以上もPFPに君臨したローマン・ゴンサレスですら「試合は見たことがない。軽量級は見る気がしない」というのが多くのボクシングファンの共通認識でした。

プロボクサーとして、ビジネス優先に考えたとき、井上にとって米国で戦うメリットはゼロなのです。

ESPNは「エリートファイターと戦っていない」と切り捨てていますが、オマール・ナルバエスやノニト・ドネアは加齢版とはいえエリートファイターです。

そして、井上の対戦相手はアルファベット団体が捏造した世界ランカーだけでなく、それこそESPNやリング誌がレートする世界ランカーとも戦い圧勝してきました。

ESPNのいう「エリートファイター」は、名前の通った選手ということでしょうが、そもそもそんなの軽量級にいるわけがありません。そんなのがいたら、不人気階級じゃないです。

井上の試合を2試合で日本側から破格の放映権料を得ていたESPNは「また憧れ料を払ってくれよ」というつもりでしょうが、もう付き合う必要はありません。

ただ、米国で夢破れたからといって、日本で〝地下ビジネス〟に潜り込んでしまうのは残念です。

「競技一本で食べていけるのは井上ら数人」(日本経済新聞) という厳しい状況は、テレビのボクシング離れによってますます深刻化するでしょう。

スポーツは多くの人に見てもらい、「あのドイツに勝った」「あのスペインを沈めた」から多くの人の感動を呼び込むのです。

「あの」は、ESPNのいう「エリートファイター」の冠詞です。



井上が「あの」と冠を付けることのできる選手と戦える日は、いつか訪れるのでしょうか?