プロボクシングでは誰に勝ったか、それが全て。

今から70年前の1950年代、オリジナル8の時代に活躍したロッキー・マルシアノについて既に語られていたことです。

しかし、この定理があちこちのメディアで見聞きするようになるのは、団体分裂と階級増殖に拍車がかかった80年代からです。

3団体17階級時代では、各団体がでっち上げたチャンピオン、世界ランカーが当たり前に跋扈するようになりました。

ある団体では世界1位なのに、他の団体では30位にも入っていない…なんて倒錯的な事象が当たり前に出現するようになりました。

現役時代は史上最強の声も聞かれましたが、後世の評価は暴落。

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瞬間最大風速の評価の高さと、その後の株価暴落ぶりが顕著だった代表はマイク・タイソンと、ロイ・ジョーンズJr.でしょう。

2人とも瞬間最大風速では史上最高と絶賛されることがありましたが、現在では歴代PFPはもちろん、ディケイド(10年区切りの)PFPでも1位に選ぶ専門家がいない有様です。

どうして、そんな手の平返しが起きたのでしょうか?

「プロボクシングでは誰に勝ったか、それが全て」。そう繰り返しているリング誌ですら、タイソンやロイの弱い相手限定の傑出したパフォーマンスに幻惑されてしまったのです。

マルシアノの時代はまだ、仕方がありません。「世界チャンピオンはみんな強い」「世界ランカーに弱いヤツはいない」そんな常識が当たり前の時代でしたが、40年代のジョー・ルイスと60年代のモハメド・アリが繰り広げたヘビー級の沸騰に挟まれた、タレント不足のぬるま湯だった感は拭えません。

しかし「世界チャンピオンはみんな強い」「世界ランカーに弱いヤツはいない」という他のスポーツなら至極当然の常識が、ボクシングでは通用しなくなった時代に登場したのがタイソンやロイでした。

リング誌もまたフシ穴でした。


「ものの見事に弱い相手にしか勝っていない」という一点に突き詰められる、プロボクシングの世界。

そこを見落とされたがために、勝手に祭り上げられた神輿から叩き落とされたタイソンとロイ。

強い相手には全く歯が立たなかったタイソンと、強い相手になると塩試合に陥るものの勝利することもあったロイ。

メディアが恥も外聞もなく返した手の平、その表と裏を見つめてゆきます。