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冷やし中華を食いながら、カタールに思いを飛ばすのだ。



日本のスポーツファンにとって究極の Mission: Impossible とは何でしょうか?

メジャーリーグ・ホームラン王、ボクシング・世界ヘビー級チャンピオン、五輪・男子100m優勝…。

私たちが究極に憧れるのは、いつも圧倒的なパワーや爆発的なスピードです。

大谷翔平に熱狂するのは、そんなパワーの帝国で日本人がパワーで互角以上に戦う姿に酔い痴れてしまうからです。

いいえ、これは体格面で恵まれない日本人だけでなく、あらゆる人類が抱く永遠の憧憬でしょう。

そして、この憧憬は個人競技という点で共通しています。

松井秀喜のワールドシリーズMVPよりも、私たちは大谷翔平のホームラン王に酔うでしょう。

井上尚弥のバンタム級統一よりも、日本人の世界ヘビー級チャンピオンの誕生に心を震わせるでしょう。

世界大会の4×100mリレーで金メダルを獲るよりも、100m決勝で金メダルを争う日本人に熱狂するでしょう。

もちろん、問答無用で圧倒的なパワーへの憧れは、すでに日本人が得意とする精緻な技術と組織力が世界を極めることが出来ることを知ったが故の、次のステージの夢なのかもしれません。

メジャーリーガーを一人も送り込めていなければ、いきなりホームラン王なんて、いくつもステージを飛び越えた夢など描けません。

世界王者が一人もいなければ、フライ級やバンタム級のチャンピオンに恍惚するはずです。

また、個人競技であっても競歩で世界大会制圧の熱狂は、100mとは別の種類のものです。


日本人、いいえ人類が憧憬するのは、いつだってメジャー競技のパワー種目なのです。

前置きが長くなりました。

そんな常識が通用しない、つまり団体競技でも、どんなセコいスタイルでも、世界一になれば、そこがゴール、最高の歓喜と確信できる、Mission: Impossible が存在します。

ラグビー、ブレイブ ブロッサムズはワールドカップ2011年大会までは引き分けただけでも大健闘と騒がれていました。

それが、2015年大会で優勝候補の一角、南アフリカを撃破、2019年には世界1位アイルランドを破るなと、短期間で強豪国に成長しました。

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2023年、フランス大会でもし〝それ〟が成し遂げられたとしても私たちが大きく驚くことはありません。


しかし…。


日本で最も分厚い競技人口と世界につながるプロ組織を充実させながら、未だにW杯出場権を獲得するのさえ薄氷を踏むことが珍しくない、世界の壁に悶え苦しみ続けているスポーツがあります。

男子サッカーです。

MLBのホームラン王なら大谷が手をかけてくれたように、夢ではなく極めて現実的なターゲットになっています。

アルファベット団体の世界ヘビー級王者なら、五輪ミドル級金メダルよりも、難易度は間違いなく下です。

まだゴールが遠いように見える男子100mも、長らく突発出来なかった10秒の壁は、もはやニュース速報にもなりません。着実にゴールに近づいています。


しかし…。


ドーハの悲劇から30年。

日本代表は1998年フランス大会から、6大会連続でW杯出場を果たしています。

しかし、この30年。私たちは一歩でも前に進んでいるのでしょうか?

レベルの高い海外を主戦場とする選手は格段に増え、代表チームの実力も間違いなく向上しています。

それでも30年間、同じ場所で足踏みしているように見えるのは、再び〝ドーハの悲劇〟に見舞われそうになるのは、私たちが世界のレベルアップに全く追いついていないからです。

世界中で人気があるだけでなく、国家プロジェクト的に強化されるサッカーは、もはや「メジャースポーツ」という枠を超えています。



2005年に日本サッカー協会が掲げた「2050年W杯優勝」。

当時、45年も先に見据えた目標まであと28年になりました。

サッカーW杯優勝。

五輪100メートル優勝よりも、世界ヘビー級チャンピオンよりも、MLBホームラン王よりも、間違いなくMission: Impossible です。

11月23日、ドイツ戦。砂漠のサバイバルマッチまであと3ヶ月と1日、93日。

ドイツ、スペインと同組に迷い込んだサムライたちが、このグループを突発できるとは、誰も考えていません。

コスタリカにも負けて全敗で帰って来る。そんな予想の方がリアリティがあります。

スポーツに絶対はない。ボクシングでもラグビーでも五輪でも野球でも、そんな瞬間を何度も見てきました。

しかし、サッカーW杯に巣食う神様は、そんな甘いロマンなど全く叶えてくれないことを、私たちは何度も思い知らされてきました。

ウィリアム・ヒルの掛け率はドイツ7/20(1.35倍)、日本8/1(9倍)。

ボクシングとサッカーのオッズは全く別のものですが、ドイツの1.35倍は、ドネア2の井上尚弥の1.33倍(1/3)とほぼ同じ。

日本の9倍は昨日、ノックアウトされるまでエマヌエル・ナバレッテをポイントでリードしていたエドァアルド・バエスのオッズと同じ数字です。

希望が持てるのか、そうでないのかわからないかもしれませんが、まともに賭けが成立していることに驚く人がいるかもしれません。

それほどの壁です。

ドイツとスペイン。それほどの壁が二枚も立ち塞がるのです。




常識で考えると、サムライブルーが砕け散るまで、あと93日。



https://www.jfa.jp/about_jfa/plan/goal2030.html