ボクシングに数字は意味を持たないことが殆どです。

「誰に勝ったのか」。それが全てだと言い切っても差し支えありません。

のちの殿堂入り選手のプライムタイムに勝つ、現在ランクされているPFPファイターに勝つ。

もちろん、ボクシングもスポーツである限り、記録は試合の前景気を煽り、ファンの関心を高めるものです。

具志堅用高の「13」で43年間も時計の針が止まったままの連続防衛記録は、現代の複数階級制覇トレンドを考えると更新するのは至難の業。内山高志や山中慎介のような〝その階級で心中〟する覚悟のサムライの登場を待つしかありません。

一方で、井岡一翔が「4」でトップを走る複数階級制覇は、具志堅の記録とは違い、井上尚弥や田中恒成を筆頭に並ぶだけでなく「5」へ更新される光景が近い将来見ることができるかもしれません。

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現在の日本人世界王者は谷口将隆(WBOストロー級)、京口紘人(WBAジュニアフライ級)、寺地拳四朗(WBCジュニアフライ級)、中谷潤人(WBOフライ級)、井岡一翔(WBOジュニアバンタム級)、井上尚弥(WBA/WBC/IBFバンタム級)の6人。

このうち、複数階級制覇していないのは昨年12月に最初のタイトルを獲ったばかりの谷口、具志堅越えを狙っていた寺地、ジュニアバンタム進出が時間の問題の中谷の3人。

80年代までの複数階級制覇は「2」でも快挙でしたがレオ・ガメスやエイドリアン・ブローナーらのように4階級に渡って一貫して並王者(かそれ以下)で制覇する〝傑物〟も出現しています。

ファイティング原田が世界初の軽量級2階級制覇を達成した「2」を「3」に更新したのは亀田興毅という〝傑物〟でしたが、1団体10階級時代の原田と、いくつ階級があって何人世界王者がいるのかよくわからない現代のシステムに乗って産み落とされた亀田を同列で語るのはどんな詭弁を弄しても不可能です。

さて、その原田はフライ級では初防衛戦に失敗。バンタム級で4度防衛。

リング誌にTHE JAPANESE STAR, WHO WON WORLD TITLES IN TWO (ALMOST THREE) WEIGHT CLASSES (2階級制覇、いや実質3階級制覇)と認められた原田の防衛成功はバンタム級のみの〝わずか〟4でした。



その、バンタム級タイトルをエデル・ジョフレと同じ8度!も防衛したのが興毅です。興毅はバンタムの「8」に加えてジュニアフライ級の「1」を加えて防衛成功回数は「9」。

もし、この〝傑物〟が原田と同じ60年代に生まれていれば、一発殿堂間違い無しで、軽量級のレジェンドとして記憶されていたかもしれません。

現実には生まれる時代に恵まれず、素晴らしい数字を残しながらも殿堂にはノミネートすらされていません。

単一階級にこだわらない防衛回数では井岡一翔の「15」(ストロー=3/ジュニアフライ=3/フライ=5/ジュニアバンタム=4)が最多で、ノニト・ドネアを破壊した井上尚弥も「15」(ジュニアフライ=1/ジュニアバンタム=7/バンタム=7) で追いついています。

この二人、対戦相手の質という点では井岡に軍配が上がりますが、井上の数字には無敗と圧倒的な勝利という〝箔〟が付いています。

結局のところ、防衛回数や階級制覇数、およそ数字と呼べるのは〝傑物〟の登場で簡単に塗り替えられるマヤカシです。

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ただ、オリジナル8の時代はもちろん、原田の1団体10階級時代の数字は、他のスポーツ同様にそなまま受け入れて差し支えありません。

世界王者が一人残らず The Undisputed champion だった時代。世界王者は途轍もなく強く、弱い世界ランカーはいない。そんな当たり前が、当たり前だった時代です。

世界王者の経年劣化や大番狂わせで〝傑物〟が王者になったとしても、防衛することはまず出来ません。ましてや8度も防衛するなんて、ありえません。