日本では米国型のPPVビジネスは、まだまだ手探りの状況です。

ボクシングや格闘技に限定しても、個人的には定着することはないと思います。

そもそも、米国ボクシングでもPPVはレギュラーではなく、完全にハレの舞台装置です。

ボクサーの格付けでも、大きく区切ると「クラブファイター→テレビファイター→PPVファイター」のピラミッド。トップストーンの毎試合PPVのファイターは5人もいません。
93bd430850eb9a4fb70f8d66fe29dc63

さて、日本です。

Amazonにとって「村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン」「井上尚弥vsノニト・ドネア2」は、赤字織り込み済みの先行投資。

ここ数年、PPVの実験が続いているのは①決定的なテレビ不況、②コロナ禍でゲート収入が期待できない、という劇的な社会変化が原因です。

テレビの存在感は、ネットストリームの隆盛相対的に、スポンサーの撤退・CM料金の下落で絶対的に縮小しています。

月額500円でサービスをマルっと受けることができるAmazon-primeは正確にはPPVではありません。

米国ではテレビ全盛期の1960年代に、より大きなカネを生み出すクローズド・サーキットが普及しました。
IMG_0595
クローズド・サーキットは、モハメド・アリやシュガー・レイ・レナードらの桁外れの報酬の源泉になる一方で、ファンを囲い込んでマニア化、潜在的なファンに対して高い垣根を築いてしまいます。

米国でのボクシングのイメージは「マイナースポーツ」であるだけでなく「高齢男性が支える衰退産業」です。

ボブ・アラムは「若い白人が興味を持つ、そんな時代を取り戻したい」と、スタジアム興行や、ESPNでの手軽なテレビ観戦を提供してきましたが、反応してくれる若者は既存のヒスパニックだけ。市場全体の活性化という大きな課題には、何の結果をあげることが出来ていません。

映画を見るように会場に足を運ぶ必要のあるクローズ・ドサーキットに対して、より身近に自宅で観戦出来るようになったのがPPVです。

そして、1人1枚チケット購入するクローズドサーキットよりも、世帯単位で購入するPPVは価格設定が高額になりました。ボクシングファンのマニア化は一層深まり、マイナースポーツとして坂道を転げ落ちています。

それでも、PPVは報酬でアリやレナードを凌駕するマネーやマニーを生み出すのです。

スクリーンショット 2022-03-03 20.39.42

しかし、現状のAmazonスタイルは、前述のように美味しい商売だからボクシングビジネスに乗り出したわけではありません。

彼らは、大きな赤字を分かった上で実験しているのです。そして、実験を重ねる中で美味しい商売でないことが判明すると、撤退するのは当然です。

もう一つ大きな問題は、村田諒太や井上尚弥の他にも存在する世界王者やボクサーが行き場を失っていることです。

アマゾンは、誰の試合でも実験してくれるわけではありません。

一方で、いち早くPPVに取り組んできたRIZINは実験段階を終えています。

ボクシングを含めた日本の格闘技は、地上波テレビに代わるプラットフォームに着地することが出来るのか?

まだまだまだまだ、続きます。