ボクシング軽量級は欧米では人気がありませんが、アジアや中南米、アフリカなどの地域では世界王者は国民的英雄になることがあります。

日本では具志堅用高以来、40年以上も国民的英雄と呼べるファイターが誕生していませんが、社会的にスポーツと認知されているという点で、キックボクシングや総合格闘技とは一線を画する存在であり続けています。

那須川天心がボクシング転向する最大の動機はこの〝承認欲求〟です。

最大の動機どころか、それだけと言い切っても良いかもしれません。

確かに、日本において「ボクシング>>>>>その他プロ格闘技」という不等式が支配的であり続けています。

しかし、70年代に沢村忠が火を付けたキック、90年代に立技最強を標榜したK1、00年代の米国を先駆けてMMAを甘噛みしたPRIDEのトップ選手たちは、絶対の不等式を逆転させ、ボクシングの世界王者以上の人気を博したこともありました。

現在の那須川天心も、そんなトップ選手の1人に数えることが出来ます。

さらにオリジナルのK1と、PRIDEでは「外国人のスター選手」という、ボクシングではあり得ない貴重なタレントを創造することにも成功しました。

彼らに落ち度があるとしたら、ボクシング以上に日本人ファーストのスキームから脱却出来なかったこと、競技性を追求するよりも、野次馬的興味を煽る茶番劇にのめり込んでいったこと、です。

特に、後者は社会的認知を得るためには絶対タブーです。

そこに、ボクシング以上に反社会勢力が突け込む隙が生じたのは当然だったのかもしれません。


「THE MATCH 2022」についてのお知らせ 6月19日(日)の「THE MATCH 2022」は、主催者側との契約に至らず、フジテレビで放送しないことが決まりましたので、ここにお知らせいたします。

フジテレビ THE MATCH 公式 @fujitv_THEMATCH



フジテレビが、当初の予定を覆し、井上尚弥も羨む日本史上最大の格闘技興行「那須川天心vs武尊」を放送しないと発表しました。

村田諒太や井上尚弥の試合とは違い、高額の選手報酬を補えるだけのスポンサーが付かないというわけではありません。

「亀田興毅vs内藤大助」の視聴率40%越えは難しいかもしれませんが、村田や井上を遥かに凌駕する数字が十分期待できるメガファイトです。

地上波でやらない理由がありません。しかし、出来ないだけの大きな理由が生じてしまったのでしょう。

榊原信行さんは、今すぐフジテレビに土下座して、この世界から身を引くべきです。

真剣に戦っている選手たちが色々な意味で可哀想です。




本題からは外れますが、井上が羨望を口にしているように、天心はボクシング転向してもこんなメガファイトはまず期待できません。

井上尚弥と同レベルの活躍が出来たとしても、所詮は軽量級、井上を見れば一目瞭然、米国や英国の大舞台では需要がありません。

キックと同じように、大きな試合は日本国内でしかあり得ません。日本でも武尊のような強烈なライバルに恵まれるなら話は変わりますが、その可能性は極めて低いでしょう。

キックをメジャーにするという観点からも、自分が最も輝ける場所だという点でも、社会的認知という瑣末なことを除いて、天心はすでにボクシングの平均的な世界王者よりも遥かに注目される存在です。

もちろん、天心がボクシングを選んでくれるのは、ボクシングファンとしては両手を挙げての大歓迎ですが…。