この10年で統一戦の流れが一気に加速しています。
承認団体は本来、相容れない関係です。対立団体との統一戦に乗り出す〝裏切り者〟ボクサーはタイトルを剥奪されることも珍しくありませんでした。
巨額の承認料が期待できるヘビー級やミドル級などでは伝統的に統一戦への磁力が強かったものの、承認団体にとって他の階級のタイトルマッチは守るべき縄張り、既得権益だったのです。

しかし、ボクシング界の無秩序はついに同一団体・同一階級でも複数の世界王者を抱えることが常態化、4団体時代が深まると様相が変わってきます。
王座の粗製濫造は安易な複数階級制覇と、それに伴う王座返上を頻発させてしまいます。
また、王座の価値低下は体重超過で秤の上でタイトルを失うという、オリジナル8の時代はもちろん、3団体時代でも滅多になかった事件を多発、タイトルが空位になる風潮を加速させています。
承認団体にとっては願ったり叶ったり。
統一戦を行っても、すぐに王座は空位になったり、空位にならなくても「統一王者がいるから各団体の指名挑戦者にチャンスが回って来ない」という理由から、暫定王者決定戦を設定しだしたのです。
承認団体は、統一王者の誕生が承認料収入の減少になるどころか、むしろ増収につながるビジネスチャンスになることに気付いてしまいました。
しかも、統一戦はファンもメディアも大歓迎で、ファイトマネーも上がりますから、表面上は八方全得、win-winです。
しかし、統一戦が花盛りな一方で、中長期的にはタイトルの数は減らないという矛盾も膨らんでいます。
プロボクシングの世界は長らく世界タイトルの供給過剰が続き、4団体に落ち着いてからもその傾向は歯止めがかかるどころか、加速しているのです。
団体と階級の数は増えていないのに、タイトルは増えている…常識ではあり得ないこと、倫理道徳から大きく逸脱したことが当たり前に起こるのが、プロボクシングの世界です。
さて、Undisputed Champion です。
2017年以前の4団体統一王者は、04〜05年にミドル級のタイトルが移動したバーナード・ホプキンス→ジャーメイン・テイラーの2人だけでしたが、ここ5年という短いスパンを切り取ってみると、ジュニアウェルター級でテレンス・クロフォードとジョシュ・テイラー、クルーザー級でオレクサンダー・ウシク、スーパーミドル級でカネロ・アルバレス 、世界的には認められていないものの、日本では「4団体統一」とされるライト級のテオフィモ・ロペスを加えると5人もの完全統一王者=Undisputed Champion が誕生しています。
単純計算で毎年1人のUndisputed Champion が生まれているのです。
このペースだとあと10年ちょっとしたら、全階級でUndisputed Champion が揃いそうですが、ご心配には及びません。
そんなことは絶対にありえませんから。
日本ではUndisputed Championを「比類なき王者」などの訳を当てているメディアがありますが、これでは意味不明です。
Undisputed Championはボクシング用語で、議論する余地のない王者、他の誰にも王者を名乗らせない王者、すなわち完全統一王者のことです。
世界的にはアルファベット4団体のベルトコレクションをコンプリートすると、Undisputed Championです。
アルファベット4団体のベルトを手中に収めると、ほぼ確実にリング誌と、Lineal(正統)王者のタイトルも付随してきます(あくまで「ほぼ確実」で100%そうではないので厄介ですが)。
さて、現在このタイトルに最も近い日本人がリング誌/WBA/IBFバンタム級王者の井上尚弥。
来月7日のWBC王者ノニト・ドネアに勝利すると、残るピースはWBO(ポール・バトラー)だけ。ちなみに、ドネアに勝つと空位のLineal championにも就きます。

世界を見ると、テイラーとロペス、カネロが現在、四つのベルトをコレクション。
さらに、以下の四つの階級では、あと1試合でUndisputed Championが生まれる〝王手〟の状態です。
ジュニアフェザー級ではWBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフと、WBC/WBO王者スティーブン・フルトンが雌雄を決するとUndisputed Champion 誕生。
ウェルター級はエロール・スペンスがWBA/WBC/IBFを掌握、WBO王者クロフォードとの待望の決戦が実現すると、勝者が全てのベルトを手中に収めます。
また、ヘビー級もWBA/WBC/IBFをオレクサンダー・ウシクが握り、残るは引退宣言しているもののタイソン・フューリーのWBCだけ。
そして、今週末15日に迫ったジュニアミドル級。
WBA/WBC/IBF王者ジャーメル・チャーロとWBO王者ブライアン・カスターニョのUndisputed Champion決定戦は、昨年5月のドローを受けての仕切り直しです。
ところが、この階級でもWBCは先月暫定王者決定戦を開催。暫定王者はあくまで暫定で、世界的には認められていません(ノニト・ドネアのジュニアバンタムは暫定王座だったので、ドネアは4階級制覇が世界認識です)。
なんともややこしい…。
リングアナウンサーがコールするUndisputed Champion や、ヘビー級で語られることが多いLineal champion はベルトや承認状など実体のあるタイトルではなく、一つの概念です。
それを言い出すと、世界的な統括団体が存在せず、承認団体だけが跳梁跋扈するボクシングの世界タイトルにどこまで意味があるのか分からなくなります。
ボクシングに興味を持ってくれても、これでは何が何だかわかりません。Undisputed Championや
Lineal championを、アルファベット団体の一種でベルトがあると誤解してしまう人もいるでしょう。
Undisputed の季節、【夏】か【初夏】に続きます。
承認団体は本来、相容れない関係です。対立団体との統一戦に乗り出す〝裏切り者〟ボクサーはタイトルを剥奪されることも珍しくありませんでした。
巨額の承認料が期待できるヘビー級やミドル級などでは伝統的に統一戦への磁力が強かったものの、承認団体にとって他の階級のタイトルマッチは守るべき縄張り、既得権益だったのです。

しかし、ボクシング界の無秩序はついに同一団体・同一階級でも複数の世界王者を抱えることが常態化、4団体時代が深まると様相が変わってきます。
王座の粗製濫造は安易な複数階級制覇と、それに伴う王座返上を頻発させてしまいます。
また、王座の価値低下は体重超過で秤の上でタイトルを失うという、オリジナル8の時代はもちろん、3団体時代でも滅多になかった事件を多発、タイトルが空位になる風潮を加速させています。
承認団体にとっては願ったり叶ったり。
統一戦を行っても、すぐに王座は空位になったり、空位にならなくても「統一王者がいるから各団体の指名挑戦者にチャンスが回って来ない」という理由から、暫定王者決定戦を設定しだしたのです。
承認団体は、統一王者の誕生が承認料収入の減少になるどころか、むしろ増収につながるビジネスチャンスになることに気付いてしまいました。
しかも、統一戦はファンもメディアも大歓迎で、ファイトマネーも上がりますから、表面上は八方全得、win-winです。
しかし、統一戦が花盛りな一方で、中長期的にはタイトルの数は減らないという矛盾も膨らんでいます。
プロボクシングの世界は長らく世界タイトルの供給過剰が続き、4団体に落ち着いてからもその傾向は歯止めがかかるどころか、加速しているのです。
団体と階級の数は増えていないのに、タイトルは増えている…常識ではあり得ないこと、倫理道徳から大きく逸脱したことが当たり前に起こるのが、プロボクシングの世界です。
さて、Undisputed Champion です。
2017年以前の4団体統一王者は、04〜05年にミドル級のタイトルが移動したバーナード・ホプキンス→ジャーメイン・テイラーの2人だけでしたが、ここ5年という短いスパンを切り取ってみると、ジュニアウェルター級でテレンス・クロフォードとジョシュ・テイラー、クルーザー級でオレクサンダー・ウシク、スーパーミドル級でカネロ・アルバレス 、世界的には認められていないものの、日本では「4団体統一」とされるライト級のテオフィモ・ロペスを加えると5人もの完全統一王者=Undisputed Champion が誕生しています。
単純計算で毎年1人のUndisputed Champion が生まれているのです。
このペースだとあと10年ちょっとしたら、全階級でUndisputed Champion が揃いそうですが、ご心配には及びません。
そんなことは絶対にありえませんから。
日本ではUndisputed Championを「比類なき王者」などの訳を当てているメディアがありますが、これでは意味不明です。
Undisputed Championはボクシング用語で、議論する余地のない王者、他の誰にも王者を名乗らせない王者、すなわち完全統一王者のことです。
世界的にはアルファベット4団体のベルトコレクションをコンプリートすると、Undisputed Championです。
アルファベット4団体のベルトを手中に収めると、ほぼ確実にリング誌と、Lineal(正統)王者のタイトルも付随してきます(あくまで「ほぼ確実」で100%そうではないので厄介ですが)。
さて、現在このタイトルに最も近い日本人がリング誌/WBA/IBFバンタム級王者の井上尚弥。
来月7日のWBC王者ノニト・ドネアに勝利すると、残るピースはWBO(ポール・バトラー)だけ。ちなみに、ドネアに勝つと空位のLineal championにも就きます。

世界を見ると、テイラーとロペス、カネロが現在、四つのベルトをコレクション。
さらに、以下の四つの階級では、あと1試合でUndisputed Championが生まれる〝王手〟の状態です。
ジュニアフェザー級ではWBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフと、WBC/WBO王者スティーブン・フルトンが雌雄を決するとUndisputed Champion 誕生。
ウェルター級はエロール・スペンスがWBA/WBC/IBFを掌握、WBO王者クロフォードとの待望の決戦が実現すると、勝者が全てのベルトを手中に収めます。
また、ヘビー級もWBA/WBC/IBFをオレクサンダー・ウシクが握り、残るは引退宣言しているもののタイソン・フューリーのWBCだけ。
そして、今週末15日に迫ったジュニアミドル級。
WBA/WBC/IBF王者ジャーメル・チャーロとWBO王者ブライアン・カスターニョのUndisputed Champion決定戦は、昨年5月のドローを受けての仕切り直しです。
ところが、この階級でもWBCは先月暫定王者決定戦を開催。暫定王者はあくまで暫定で、世界的には認められていません(ノニト・ドネアのジュニアバンタムは暫定王座だったので、ドネアは4階級制覇が世界認識です)。
なんともややこしい…。
リングアナウンサーがコールするUndisputed Champion や、ヘビー級で語られることが多いLineal champion はベルトや承認状など実体のあるタイトルではなく、一つの概念です。
それを言い出すと、世界的な統括団体が存在せず、承認団体だけが跳梁跋扈するボクシングの世界タイトルにどこまで意味があるのか分からなくなります。
ボクシングに興味を持ってくれても、これでは何が何だかわかりません。Undisputed Championや
Lineal championを、アルファベット団体の一種でベルトがあると誤解してしまう人もいるでしょう。
Undisputed の季節、【夏】か【初夏】に続きます。
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