Saturday 7, May 2022
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA  
Light Heavy Contest, 12 Rounds

WBA World Light Heavy Title

commission:Nevada Athletic Commission
promoter:Eddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmaker:Kevin Rooney Jr
media:DAZN  
i

モハメド・アリの時代、メガファイトといえば勝敗予想が二分するような緊張感が溢れていました。

1987年、実質5年のブランクから電撃的にカムバックしたシュガー・レイ・レナードが大番狂わせでマービン・ハグラーを競り落としてから、人気で上回るファイターがAサイドとして有利な条件を対戦相手に突きつけることが常態化してしまいます。

ビッグファイトの多くが「スターの、スターによる、スターのためのイベント」になり下がるのです。

オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ…レナード以降のスーパースターは例外なくキャッチウェイトなどAサイドの特典を躊躇なく使ってきました。

アンダードッグの対戦相手は牙を抜かれてリングに上がることになりますが、キャリア最高の報酬と注目度を手に入れる事になりますから、彼らは自ら進んで牙を抜かれるのです。

個人的な浪費などから多額の負債を抱えていたセルゲイ・コバレフはノックアウトされたリング上で、カネロへの感謝を繰り返し叫びました。

ドミトリー・ビボルも3年以上前から 「I willing to drop down to the super middleweight limit of 168 pounds for the chance to face Canelo Alvarez. (カネロと戦えるなら喜んでスーパーミドル級に落とす)」とアピールし続けてきました。

今回は、ビボルの土俵175ポンド。カネロお得意のキャッチウェイト等の〝牙抜き工作〟無しの試合という触れ込みです。

それでも、リング誌の専門家予想で20人中19人がカネロ勝利を支持(残る一人は「わからない」)、オッズも大きくメキシコのスーパースターに偏っています。
スクリーンショット 2022-05-08 8.29.36
スクリーンショット 2022-05-08 8.31.04
オッズは5-1で推移。大穴はビボルの最終回KO勝ちで、176倍。

ビボルは明白なアンダードッグ、専門家予想では噛ませ犬レベルと見られています。

折しも、母国ロシアのウクライナ侵攻で「ロシア国籍の選手が宝くじの特賞をつかむなんておかしい」という批判に晒され、試合前の国歌斉唱はなし、所属もWBA王者という肩書きだけでのリングインとなります。

意地を見せて欲しいです。

記者会見で「3年以上も対戦アピールして、やっと実現した。カネロはあなたから逃げていたと思うか?」と聞かれたビボルは「そうは思わない。無名の私と対戦することに興味がわかなかっただけだろう」と冷静に分析して見せました。

「カネロはライトヘビー級でも完全統一を目指す、と考えたときに、やっと私のことを思い出したんじゃないか」。

ウクライナ・キーウ市長の元世界ヘビー級王者ビタリ・クリチコが「ロシア人のビボルがカネロと戦うのを許してはいけない」と発言したことについても「私は戦争反対。スポーツと政治を一緒にしてはならない」と、言葉を濁すことなく誠実に答えていました。

そのボクシングと同様に、実直な人柄が窺えるような受け答えです。

粛々とアンダーカードが消化されて、IBFの北米ウェルター級とジュニアウェルター級の2試合が終われば、いよいよメインカード。

大番狂わせは起きるでしょうか。