土曜日に世界戦を控えているというのに、日本時間5日にカネロ・アルバレスは「キャッチウェイトでのオレクサンダー・ウシクとのヘビー級タイトルマッチに興味がある」と発言しました。

ドミトリー・ビボルとの試合、戦前の盛り上がりは今ひとつ。リング誌が行った20人の専門家による勝敗予想でもメインイベンツ社のキャシー・デュバだけが「引き分け」、残り19人は全員がカネロ勝利を支持しています。

WBAライトヘビー級王者ビボルは、穴王者ではありません。それなのに…。

ビボルは身長・リーチともに183㎝、2019年11月2日のライトヘビー級初挑戦で11ラウンドKOに沈めたセルゲイ・コバレフ(身長183㎝/リーチ184㎝)と同じサイズですが、今回はコバレフを干からびさせた当日のリバウンド制限などは一切なしの生粋のライトヘビー級戦。

サイズだけなら、ロッキー・フィールディング(185㎝/191㎝)、カラム・スミス(191㎝/198㎝)の英国人スーパーミドル級はビボルを上回りますが、衆目一致の階級最弱王者フィールディングは論外にしても、スミスまで難なく攻め落としたカネロは、体格差を苦にするタイプではありません。

同じ体重で、接近戦になればリーチが短いのは圧倒的有利に働きます。今回もカネロが圧倒的有利と見られているのは「ビボルのジャブは浅いラウンドは効果を上げても、突破されるのは時間の問題」と見られているからです。 

もはや、ビボル戦を楽勝、9月17日のゲンナジー・ゴロフキンとの試合も残酷な決着戦にしかならないと見られています。

「カネロの試合で勝敗に興味が払われるのはヘビー級」と言われていますが、スミスと全く同じオレククサンダー・ウシクのフレーム(191㎝/198㎝)はいささか心細く映ります。

しかも、ウシク戦はクルーザー級リミットを1ポンドだけ上回るキャッチウェイトで行われることが確実。ウシクはアンソニー・ジョシュア戦の221ポンド1/4から20ポンド以上の減量が必要になりますが、ウシクは「カネロと戦えるならクルーザー級でも落とす」と以前から公言しており、前代未聞の「キャッチウェイトのヘビー級タイトルマッチ」に前向きです。
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史上初めて、その他階級の王者がヘビー級を制したのは、ミドル級のボブ・フィッツモンズ。1897年にジェームス・J・コーベットを14ラウンドでノックアウトしました。

その88年後の1985年、ライトヘビー級のマイケル・スピンクスがラリー・ホームズを競り落としてリング誌/Lineal/IBF王座を獲得、「ライトヘビー級王者はヘビー級王者になれない」というジンクスを打ち砕きました。

1990年にはクルーザー級から満を持してヘビー級に進出したイベンダー・ホリフィールドがジェームズ・ダグラスをノックアウト、完全統一王者として2階級制覇に成功しました。

ここまで書いて、1994年にホリフィールドの第二次政権を終幕させたマイケル・モーラーを失念していたことに気づきます。WBOライトヘビー級という日陰な出自からWBA/IBF王座をつかんだモーラーは「サウスポーはヘビー級王者になれない」というジンクスを破りました。

そして2003年にはフィッツモンズ以来、史上二人目の元ミドル級王者としてロイ・ジョーンズJr.がジョン・ルイスを封じ込めてWBAのストラップを拾います。

2009年にWBA王者ニコライ・ワルーエフをMDで下したデビッド・ヘイはクルーザー級3団体統一王者。

そして、昨年のウシクがヘビー級王者に就いた7人目の〝侵略者〟になります。

侵略者の出自はフィッツモンズとロイのミドル級が最軽量でしたが、カネロがウシクに勝つとジュのアミドル級に更新されます。

これまでの「侵略者vsヘビー級王者」は、ヘイとワルーエフの99ポンド!を筆頭に、体重格差の戦いの歴史でもありました。

しかし「カネロvsウシク」で私たちは〝他の16階級でもあるまいし〟な「両者とも201ポンド」という奇妙に一致した計量シーンを目撃することになります。

「侵略者vsヘビー級」に限らず、ヘビー級の試合で体重が一致するなんてことは滅多にお目にかかれる光景ではありません。

「2023年前半にも」(ハーン)セットされるかもしれない、奇妙奇天烈な世界ヘビー級タイトルマッチ。そんな話題が持ち上がっていることを、ビボルはどんな気持ちで聞いているのでしょうか。

カネロが大嫌いなボクシングファンも含めて、ビボルが負けるを決めてかかっています。

勝たなければなりません。絶対に、勝たなければなりません。