計量後の最後の会見も淡々と進み、2人の場違いに穏やかな表情が印象的でした。
ゲンナジー・ゴロフキンも村田諒太も、互いをリスペクトする気持ちが滲み出る言葉を紡ぎました。
フェイスオフの睨み合いこそポーズを決めていましたが、終わると微笑みを交換。
この世界ミドル級屈指の強打者2人が、明日の夜に互いの急所目掛けて殴り合うなんて信じられません。
モハメド・アリやロベルト・デュラン、フロイド・メイウェザー、辰吉丈一郎、リカルド・マヨルガ、若き日のノニト・ドネア、亀田興毅、キース・サーマン、ジョンリール・カシメロ…トラッシュトーカーの言葉や振る舞いは、このスポーツを盛り上げる重要な役割を果たしてきました。
トラッシュトーク、私も嫌いじゃありません。なにしろ、ラップの源流はアリのトラッシュトークです。
もしかしたら、ゴロフキンと村田も罵声を飛ばし合い、フェイスオフでつかみ合いのパフォーマンスを仕込んだ方が、さらに話題を呼んだのかもしれません。
しかし、エリートの血統を持つ、五輪で金と銀のメダルを獲った2人の間には尊敬の念以外には何物も入り込む余地がないように見えました。
8年前、ゴロフキンのキャンプに参加した村田には日本からの取材クルーがゾロゾロ付いてきました。
彼らは邪魔で気が散る存在でしかなく、あからさまに嫌な顔や態度を取る選手もいたそうです。
しかし、このキャンプの主人であるゴロフキンは通路を塞ぐクルーの間を通るとき「excuse me(ちょっとごめんなさいね))」と、村田やクルーに微笑みかけたそうです。
そういうことが何度もあると、他の選手たちは、誰一人として村田やクルーに嫌な顔一つしなくなりました。
そういえば、この人、リングを降りるといつも微笑んでいます。全然、強く見えない。
スパーリングをしたあと、他の選手から「村田には手を抜いている」という声を聞くと「プロに慣れていない金メダリストに荒っぽいマネはしない。そもそもスパーリングは試合じゃない。プロに慣れるには少し時間がかかるもの。私がそうだったように」と、村田を慮ったといいます。
もしかしたら、一番最初の尊敬はゴロフキンから村田に向けられたのかもしれません。
今回、来日してスパーリングした8年前のことを聞かれると「当時から強かった」と、ゴロフキンが答えたと伝え聞いた村田は、村田で「(お世辞を言ってくれて)ありがとうございましたって感じですね」と、よくわきまえていました。
今の村田はゴロフキンに対して「ここまで辿り着きました」という気持ちかもしれません。
昨日の記者会見、先に座ってる村田の後ろを通るときに、ゴロフキンはポンと日本人のライバル王者の肩を叩きました。
「やっぱり強くなったな」とでも言うように。
村田とワシル・ロマチェンコのような国際大会で何度も顔を合わせた〝戦友〟とは違い、ゴロフキンは2004年アテネで銀メダル、村田は2012年ロンドンで金メダルと、2人は階級こそ同じでも〝すれ違い〟〝入れ違い〟の〝先輩と後輩〟のような関係にも見えました。
実際にはスパーリングや会話した時間は全部合わせても1時間もないはずですが、気心の知れた仲であることは、多くの人がテレビ画面を通じても感じ取ることができたのではないでしょうか?
それにしても、人間の急所に拳を叩き込むことにかけては世界最高の技術を持った者同士が戦うのです。
気心の知れた尊敬し合う者同士が戦うというのは、常人には理解の及ばない世界です。
それが出来る村田とゴロフキンは、あまりにも当たり前すぎて2人には失礼すぎる表現ですが、プロフェッショナルです。
特に、ゴロフキンは異常に映ります。
淵上誠がゴロフキンとの試合に敗れたあと。ホテルのロビーでゴロフキンがコーヒーを振る舞いながら、淵上の奥様を通訳に何時間も話し込んだなんてエピソードは、ちょっと信じられません。
もし、私が淵上なら受け入れ難いかもしれません。それよりも、もし私がゴロフキンなら相手のことも考えて、ロビーで顔を合わせても健闘を讃える挨拶くらいしか出来ません。
故意に相手を脳震盪たらしめるために拳を振るうボクシングは、本当はスポーツなんかじゃありません。
殺し合いです。村田やゴロフキンの拳なんて、大袈裟でもなんでもなく凶器そのものです。
だというのに…ゲンナジー・ゴロフキンという男は、まるで野球やテニスの試合をするように、殺し合いをしているようにも見えてきます。
ゴロフキンは、人間離れした男です。
そんなゴロフキンに挑むのは誰もが「日本人離れした」と認める村田諒太です。
日本人がどこまで戦えるのか、その大きな山を越えられるのか、それを見せてくれる村田諒太という絶好の才能に私たちは恵まれたのです。
ボクシングファンにとって、こんな幸運が他にありますか?
明日の今頃は、どちらかの名前が勝者としてコールされているでしょう。
読み上げるのはジミー・レノンJr.でしょうか?
そういえば、明日も天気は晴れるんでしたっけ?
台風1号は今、どのあたり?
さいたまスーパーアリーナあたりの桜も、もう散っているのでしょうか?
なにはともあれ、きっと2人は素晴らしい試合を見せてくれるでしょう。
なんだか、もう勝敗はどうでも良くなってきました。
ゲンナジー・ゴロフキンも村田諒太も、互いをリスペクトする気持ちが滲み出る言葉を紡ぎました。
フェイスオフの睨み合いこそポーズを決めていましたが、終わると微笑みを交換。
この世界ミドル級屈指の強打者2人が、明日の夜に互いの急所目掛けて殴り合うなんて信じられません。
モハメド・アリやロベルト・デュラン、フロイド・メイウェザー、辰吉丈一郎、リカルド・マヨルガ、若き日のノニト・ドネア、亀田興毅、キース・サーマン、ジョンリール・カシメロ…トラッシュトーカーの言葉や振る舞いは、このスポーツを盛り上げる重要な役割を果たしてきました。
トラッシュトーク、私も嫌いじゃありません。なにしろ、ラップの源流はアリのトラッシュトークです。
もしかしたら、ゴロフキンと村田も罵声を飛ばし合い、フェイスオフでつかみ合いのパフォーマンスを仕込んだ方が、さらに話題を呼んだのかもしれません。
しかし、エリートの血統を持つ、五輪で金と銀のメダルを獲った2人の間には尊敬の念以外には何物も入り込む余地がないように見えました。
8年前、ゴロフキンのキャンプに参加した村田には日本からの取材クルーがゾロゾロ付いてきました。
彼らは邪魔で気が散る存在でしかなく、あからさまに嫌な顔や態度を取る選手もいたそうです。
しかし、このキャンプの主人であるゴロフキンは通路を塞ぐクルーの間を通るとき「excuse me(ちょっとごめんなさいね))」と、村田やクルーに微笑みかけたそうです。
そういうことが何度もあると、他の選手たちは、誰一人として村田やクルーに嫌な顔一つしなくなりました。
そういえば、この人、リングを降りるといつも微笑んでいます。全然、強く見えない。
スパーリングをしたあと、他の選手から「村田には手を抜いている」という声を聞くと「プロに慣れていない金メダリストに荒っぽいマネはしない。そもそもスパーリングは試合じゃない。プロに慣れるには少し時間がかかるもの。私がそうだったように」と、村田を慮ったといいます。
もしかしたら、一番最初の尊敬はゴロフキンから村田に向けられたのかもしれません。
今回、来日してスパーリングした8年前のことを聞かれると「当時から強かった」と、ゴロフキンが答えたと伝え聞いた村田は、村田で「(お世辞を言ってくれて)ありがとうございましたって感じですね」と、よくわきまえていました。
今の村田はゴロフキンに対して「ここまで辿り着きました」という気持ちかもしれません。
昨日の記者会見、先に座ってる村田の後ろを通るときに、ゴロフキンはポンと日本人のライバル王者の肩を叩きました。
「やっぱり強くなったな」とでも言うように。
村田とワシル・ロマチェンコのような国際大会で何度も顔を合わせた〝戦友〟とは違い、ゴロフキンは2004年アテネで銀メダル、村田は2012年ロンドンで金メダルと、2人は階級こそ同じでも〝すれ違い〟〝入れ違い〟の〝先輩と後輩〟のような関係にも見えました。
実際にはスパーリングや会話した時間は全部合わせても1時間もないはずですが、気心の知れた仲であることは、多くの人がテレビ画面を通じても感じ取ることができたのではないでしょうか?
それにしても、人間の急所に拳を叩き込むことにかけては世界最高の技術を持った者同士が戦うのです。
気心の知れた尊敬し合う者同士が戦うというのは、常人には理解の及ばない世界です。
それが出来る村田とゴロフキンは、あまりにも当たり前すぎて2人には失礼すぎる表現ですが、プロフェッショナルです。
特に、ゴロフキンは異常に映ります。
淵上誠がゴロフキンとの試合に敗れたあと。ホテルのロビーでゴロフキンがコーヒーを振る舞いながら、淵上の奥様を通訳に何時間も話し込んだなんてエピソードは、ちょっと信じられません。
もし、私が淵上なら受け入れ難いかもしれません。それよりも、もし私がゴロフキンなら相手のことも考えて、ロビーで顔を合わせても健闘を讃える挨拶くらいしか出来ません。
故意に相手を脳震盪たらしめるために拳を振るうボクシングは、本当はスポーツなんかじゃありません。
殺し合いです。村田やゴロフキンの拳なんて、大袈裟でもなんでもなく凶器そのものです。
だというのに…ゲンナジー・ゴロフキンという男は、まるで野球やテニスの試合をするように、殺し合いをしているようにも見えてきます。
ゴロフキンは、人間離れした男です。
そんなゴロフキンに挑むのは誰もが「日本人離れした」と認める村田諒太です。
日本人がどこまで戦えるのか、その大きな山を越えられるのか、それを見せてくれる村田諒太という絶好の才能に私たちは恵まれたのです。
ボクシングファンにとって、こんな幸運が他にありますか?
明日の今頃は、どちらかの名前が勝者としてコールされているでしょう。
読み上げるのはジミー・レノンJr.でしょうか?
そういえば、明日も天気は晴れるんでしたっけ?
台風1号は今、どのあたり?
さいたまスーパーアリーナあたりの桜も、もう散っているのでしょうか?
なにはともあれ、きっと2人は素晴らしい試合を見せてくれるでしょう。
なんだか、もう勝敗はどうでも良くなってきました。
コメント
コメント一覧 (1)
そりゃアカンだろ
フシ穴の眼
が
しました