大番狂わせ。

その類型は、①グレートの経年劣化、②過大評価、③一発の交通事故、④相性、⑤純正本物の番狂わせ、の四つに大別できます。
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  お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな!


1970年から始まったリング誌の Upset of the year を例にすると…。

①「グレートの経年劣化」は、アリスの「チャンピオン」の世界です。

「マイケル・スピンクスvsラリー・ホームズ」(1985年)や「ウィリー・ワイズvsフリオ・セサール・チャベス」(1999年)、「ソニー・ボーイ・ハロvsポンサクレック・ウォンジョンカム」(2012年)、「サダム・アリvsミゲール・コット」(2017年)…。

それは一つの時代が終わりを告げる、惜別の番狂わせです。


②の「過大評価」は「ロイド・ハニーガンvsドン・カリー」(1986年)、「マルコス・マイダナvsエイドリアン・ブローナー」(2013年)、「ジョージ・カンボソスvsテオフィモ・ロペス」(2022年)など。

そもそも過大評価だったボクサーの初黒星、結果論ですが、そこまで強いファイターではなかったということです。


③は、いわゆるパンチャーズチャンス。

「ハシム・ラクマンvsレノックス・ルイス」(2001年)、「コリー・サンダースvsウラジミル・クリチコ」(2003年)、「ファン・カルロス・サルガドvsホルヘ・リナレス」(2009年)など。

「石田順裕vsジェームス・カークランド」(2011年)は②と③の色味を帯びているかもしれません。


④の相性も、番狂わせを起こす撃鉄の一つです。

「ケン・ノートンvsモハメド・アリ」(1973年)、「アイラン・バークレーvsトーマス・ハーンズ」(1988年)などが典型。

リング誌の Upset of the yearには選ばれませんでしたが「ファン・マヌエル・マルケスvsマニー・パッキャオ第4戦」も、この撃鉄がついに引絞られた決闘でした。


そして、カリスマが演出したドラマティックなアップセットが、⑤純正本物の番狂わせ、です。

「モハメド・アリvsジョージ・フォアマン」(1974年)、「シュガー・レイ・レナードvsマービン・ハグラー」(1987年)。

リング誌の Upset of the yearには選ばれてませんが、「輪島功一vs 柳済斗」(1976年)、「辰吉丈一郎vsシリモンコン・ナコントンパークビュー」(1997年)も、この偉大な大番狂わせにカテゴライズされるべきでしょう。

この賞が存在していなかった1970年以前でも、やはり選ばれていない「カシアス・クレイvsソニー・リストン」(1964年)がこの系譜になります。


さて、4月9日。

さいたまスーパーアリーナから世界に「Upset」のニュースが駆け巡るとすると、①③④の複合的番狂わせになるのでしょうか。