Saturday 5, March 2022

Pechanga Arena, San Diego, California, USA  
Super Fly Contest, 12 Rounds



ジュニアバンタム級の頂上決戦「ファン・フランシスコ・エストラーダvsローマン・ゴンザレス」が、エストラーダの新型コロナ感染で延期、マルチメスが代役を務めます。

リネラル(正統)、リング誌、WBAの3つのタイトルを保持するエストラーダが抜けて、ノンタイトルになってしまったのは残念。

このクラスは、WBOのストラップを握る井岡一翔も統一路線を打ち出しているだけに、主役のメキシカンの一刻も早い復帰が待たれます。

ただし、ジュニアバンタムだけでなく、一つ上のバンタムでも統一戦線が愚図つくようだと、とんでもない「瓢箪から駒」にありつけるかもしれないのですが、それはまた別の話。
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ローマン・ゴンザレスのボクシングは、嫌いな人はいないでしょう。

身長160㎝のチョコラティトほど、派手なパフォーマンスやトラッシュトークと無縁のファイターは非常に珍しい存在です。

リングの外で何かを表現することには全く興味がないのでしょう。

マイケル・カルバハルやリカルド・ロペスはもちろん、マルコ・アントニオ・バレラやエリック・モラレスですら届かなかった「フェザー級以下でPFPキング」の座に就き、2年間もその地位をキープしました。

チョコラティトは、軽量級を識る世界のボクシングファンにとって特別な存在です。

さらに、軽量級=ボクシングである日本のファンにとっては、ロマゴンの記事と切っても切れないTeiken Promotionsを見るたびに我が事のような誇りを感じてしまうのです。


さて、週末のマルチネス戦。

ボクサーとしての技術と経験の尺度では、ミスマッチでしかありません。しかも、相手は2階級下の急遽の代役。

それなのにオッズはファイトウィークになってからも徐々に接近。今日の数字はロマゴン勝利が8/11(1.73倍)、マルチネス11/10(2.1倍)と、試合当日までに逆転こそないでしょうが、ミスマッチとは到底言えない掛け率です。

専門家予想も「ロマゴン有利」が基本線ながら「マルチネスにも十分チャンスがある」と、オッズ同様にワンサイドゲームにならないという見方が少なくありません。

この理由は、①番狂わせが続いた先週末の〝余熱〟 と、②ロマゴンの限界と劣化、の2点に集約できます。

①はいうまでもなく、ジェルウィン・アンカハスとギレルモ・リゴンドーが相次いで番狂わせを食らった衝撃波がまだ鎮まっていないということ。

どんな長期政権も、どんな技術屋も、いつかは必ず転覆し、破綻する運命です。

34歳のチョコラティトが、ジュニアバンタム級でデビュー、バンタムでも試合経験のある27歳の強打に打ち負かされる、それは驚くべきシーンではないのかもしれません。

②は、すでにロマゴンが露呈している限界と劣化が「エストラーダ2」のダメージでさらに深みにはまっているのでは?という仮説です。

カルロス・クアドラスに大苦戦、シーサケット・ソールンビサイに破壊された、ジュニアバンタムの壁に戸惑っていたロマゴンは、もう払拭されたのでしょうか?

そして「エストラーダ2」 の歴史に残る打撃戦は、2人に大きな〝後遺症〟を残してのではないか?という懸念は、エストラーダが当初の試合離脱理由を「体調が戻らない」としていたときから囁かれていました。

モハメド・アリと死闘を演じたジョー・フレージャー、フリオ・セサール・チャベスの強打に12ラウンド晒されたメルドリック・テイラー…。

日本でも辰吉丈一郎や高橋直人、彼らは正々堂々の喧嘩のようなファイトを繰り返しながら〝彼ら〟ではなくなってしまいました。

ライバルとのハイレベルな激闘は、他のスポーツならアスリートをさらに高いステージへ押し上げてくれるエンジンです。

しかし、ボクシングの場合は、そうとは限らないのです。〝その激闘〟を境に、全く別人のボクサーになってしまう、そんな悲劇を私たちは何度も見てきました。

日本時間、日曜日にパチャンガ・アリーナの特設リングに上がるロマゴンが 、私たちの知っているロマゴンでない、そんな悲しい可能性は否定出来ません。

フレージャーはもちろん、テーラーも辰吉も、高橋だって素晴らしいファイターでした。

ただし、チョコラティトは高橋や辰吉、テーラーではありません。偉大すぎるフレージャーですら、小さなニカラグア人のステージには届いていません。

チョコラティトと渾名される、Román Alberto González Lunaという名前のファイターは、ボクシングファンにとってアリやチャベスと同じ倶楽部に所属する特別な会員です。

週末のサンティアゴ、パチャンガアリーナで、勢いに乗るメキシカンの勝利にベットしたファンやギャンブラーは苦い授業料を支払うことになるでしょう。

そして、マルチネス勝利もありうると予想した優柔不断な専門家は、ロマゴンが何者なのか?という補習を受けなければなりません。

序盤で主導権を握った偉大なチョコラティトが、終盤までにストップする展開を予想します。