長女と同い年の彼女を、ずっと応援してきました。

サッカー選手だった頃の勇姿を見て、北海道という特別な環境はあるにしても「こんな才能を(これから人気が爆発するかもしれない)女子サッカーから(マイナースポーツの)スケートに、よく引っ張り込めたな」と、感じたのをおぼえています。

プライムタイムで迎えた、今回のオリンピック。

彼女の中には、いろんな思いがあったでしょうが「個人種目の金メダル」は、きっと自分に課した使命だったはずです。

金メダルを獲らなければ〝埒があかない〟ことが、彼女にはありました。

大本命の1500mで悔しい銀メダル、専門外の500mで嬉しい銀メダル。…とんでもない偉業ですが、やっぱり、金メダルが獲れませんでした。



5種目を戦った今大会。

二連覇がかかった団体追い抜きは、まさかのアクシデントで涙、涙の銀メダル。

普通に考えたら、一つの大会で三つの種目で銀メダル。つまり、三種目で世界2位だなんて、誰がどう考えたってバケモンです。

そんなバケモンでも、肉体的にも精神的にも疲弊し切ってスタートラインに着いた最終種目。
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ずっとテレビをつけっぱなしの会社で、観てました。

「めっちゃ疲れてるやん」と心配する馬鹿者どもを「1500と500で世界2位なんだから、1000は当たり前に金メダルじゃ!」と叱責しながらも、彼女の表情を見ながら、心の中では「正直、かなり厳しいなあ」と感じていました。

それでも、メダルなんて関係なくても、最後の力を振り絞って、堂々と戦い抜く高木美帆の姿に感動するんだろうなあと、穏やかな期待に浸りながら、じっとテレビを見つめていました。



まあ、それにしても、すごい人です。



どうして、あんなことが、出来るのか、全くわかりません。理解不能です。


「正直、体の方が限界がきていて、疲労感というよりかは、体の中の方が、内臓とかギリギリのところがあった。無事に走り切れてよかったなと思います」(高木)…ですって。



「だから、ゆうたやろ!500と1500で銀の人が、1000で金を獲るんは、誰でもわかる理屈や。この会社、ほんまにアホだらけやなあ」と、誰にいう感じでもなく吐き出しました。


久しぶりに泣きました。


高木美帆、その物腰や話し方、人間の雰囲気。

つまりその人となりが、やってることと、あまりにもギャップが、ありまくりです。もっと言えばルックスまでもが、やってることは鬼の所業なのに、かけ離れすぎています。

落合博満やイチロー、中田英寿らは、そのギャップがほとんどありませんでした。



大谷翔平もそうですが、ギャップありまくりの〝ゆとり世代の鬼の所業〟は、気持ちいいです。




そして。高木美帆の「これで、みんなに、ありがとうって言えます」という言葉が、胸に突き刺さりました。

あれほどの才能です。

彼女に、多くの人が惚れ込んで、サポートを受けて、たくさんの応援を背にして、彼女は素晴らしい結果を出して応えてきました。

彼女は、そんなサポート、応援に「ありがとう」と何度も何度も感謝の言葉を返してきたはずです。

それなのに「これで、みんなに、ありがとうって言えます」と、安堵して笑ったのです。


多くの支援・応援に「ありがとう」とお礼するのは当たり前です。彼女も、何度も「ありがとう」と口にしてきたでしょう。

しかし、彼女はきっと、ずっと、ずっと「本当のありがとう」を言いたかったんです。



世界最強のアスリートである彼女にとっての「本当のありがとう」は、言葉であるはずもなく「結果」でした。

私たちは、彼女から、その「結果」も十分すぎるほど与えてもらいました。

それでも、高木美帆にとっての「本当のありがとう」は、私たちが十分すぎると思ったものではありませんでした。

なんて律儀な27歳でしょうか。

高木美帆の「本当のありがとう」は、金メダルでしか表現できないと、彼女が勝手に決め付けていたのです。

それでなければ、高木美帆というアスリートの〝埒〟があかなかったのです。




私は「スポーツには筋書きなどない、物語も要らない。本当に強いやつが勝つ、それだけ」だと、思います。

しかし、今日の高木を見て「筋書きがあるかように、物語が流れながれて、本当に強いやつが勝つ」ってのが、最高に感動するのを、あらためて思い知らされました。




通算7個のメダルは、夏冬通じて日本人女子最多だそうですが、ど〜でもいいです、そんなの。


個人的には、余裕の国民栄誉賞ですが、よくよく考えると、彼女には不似合いな気がしてきました。





なにはともあれ、見た目は愛くるしいのに、やってることは鬼、…高木美帆さん、最強です!