まず、ネーサン・チェンが素晴らしかった、強かった。

4年前の平昌では勢いだけだった18歳が、母方のルーツの地である北京で躍動しました。

フリーで使ったエルトン・ジョンの「ロケットマン」も力強いリズムで舞うチェンにピッタリでした。

日本勢は銀メダルに鍵山優真、3位に宇野昌磨、4位に羽生結弦。

SPの〝事故〟がなければ羽生が勝ててたか?なんてイフは無意味です。圧巻のレベンジを果たしたチェンの金メダルには拍手を送るしかありません。

チェンの後、2〜4位を日本勢三人が占めたのは期待はしていたとはいえ「嬉しい驚き」「史上最強」(荒川静香)にふさわしいパフォーマンスでした。
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清々しい風が吹いたような男子フィギュアに対して、女子は団体戦の表彰式がサスペンドされる異常の事態に揺れています。

ロシアのコメルサント紙が「優勝したロシアのカミラ・ワリエワがドーピング検査で陽性反応を示した」と報じ、多くのメディアも追随しています。

コメルサント紙は複数の関係者への取材で、15歳の妖精が大会前に提出したサンプルから禁止物質にリストアップされているトリメタジジン(TMZ)が検出されたとしています。

TMZは心臓病の薬として使われるのが一般的で、冠動脈を拡張して心臓へ流れる血液の量を増加させ、心肺機能を上げる効果があるため、競技力向上につながります。

国際オリンピック委員会(IOC)が昨日開いた記者会見で、マーク・アダムス広報は「継続中の法的案件で、現在話せることは何もない。多くの報道は憶測の域を出ない」とだけ語っています。
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ロシアは国家ぐるみのドーピングを進めていたことで、2019年から4年間、国際競技から追放されました。ロシアの選手はドーピングに潔白であることを条件に中立的な「ロシアオリンピック委員会(ROC)」の旗のもとで参加されることが認められています。

潔白な選手を救済するのは当然の処置ですが、今回のロシアは最大規模の214名を北京に送り込んでいます。

「ROCの選手は母国の国旗を背負えず、肩身の狭い思いをしてそう」という同情は、間違っているのかもしれません。

「ロシアに対するペナルティは形だけのもの、国旗をROCにしただけ」(ESPN)という指摘は、間違いではありません。

IOCが「継続中」というのは、ワリエワのサンプルが陽性反応を示したのが本当にTMZなのかどうか?という点も含めた世界アンチドーピング委員会(WADA)の検査結果かもしれません。

WADAによると、TMZが、許可されている片頭痛治療薬ロメリジンが偽陽性反応を示して尿検体に現れる可能性があるということです。

ただ、これが五輪開催直前に採取されたサンプルなら、白か黒かを時間をかけて調査するのはわかります。

しかし、AP通信は、このサンプルについて「先月エストニアで開催されたヨーロッパ選手権でワリエワが優勝する前、12月に採取された」と報じ「五輪の最中に、どうして去年12月のサンプルの陽性反応が降って湧いてくるのか?」と疑問を投げかけています。

国際スポーツ専門弁護士ポール・グリーンは「検査結果を一定期間内に報告しなければならないという義務はない。検体が研究室に投げ込まれ、誰かの悪意ではなく放置されることがないとは言えない」と、「偶然放置され、偶然五輪中にサンプルを検査した可能性も否定できない」とESPNに語りました。

今後、事態はどう進展するのか?

グリーンは「ワリエワとIOCは、メダル剥奪には至らない警告を含む制裁を彼女が受け入れることで合意に達する可能性」を挙げています。

もし、IOCが持ちかけた妥協点にワリエワが納得しないなら「現地で緊急案件を審理するスポーツ仲裁裁判所(CAS)のアンチ・ドーピング部門のパネルに問題が持ち込まれることになる」(グリーン)。

中国とロシアとIOC。そして、検査機関のWADAと、裁判所のCAS。非常に複雑な問題が絡み合っていますが、IOCは迅速に見解を発表するしかありません。

女子個人戦は来週に迫っています。

15歳の神業に感動した一人としては、残念すぎる展開です。そう、15歳です。

16歳以下は"protected person"(保護対象者)です。この点も「進行中の法的案件」をより複雑なものにしているのでしょう。

ワリエワが失格なら?

日本が銀メダルに繰り上げですが、素直に喜べるはずもありません。