クロフォードが、ついに、ボブ・アラムとトップランクを提訴しました。


ニューヨーク・ポスト紙によると、WBOウェルター級王者はネバダ州で訴訟を起こし、1千万ドルの損害賠償を請求しました。

クロフォードは2011年にトップランク社と契約。

しかし、トップランクと敵対するプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)がウェルター級の注目選手を続々と傘下に収め、クロフォードは水準の低い、つまり人気のない挑戦者相手の防衛戦を余儀なくされ続けます。

PBC傘下のIBF/WBC王者エロール・スペンスJr.とクロフォードの最強対決はボクシング界屈指の好カードとして熱望されながら、いまだに実現できず、クロフォードとトップランクの間の溝は深まるばかりでした。

2021年11月には記者会見を開き、スペンスとの対戦を目指すためフリーエージェントになったと発表、ついに両者は破局。


しかし、裁判沙汰にまで発展するとは…。 
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クロフォードは「トップランクの悪しき伝統的な人種差別に苦しめられて来た。黒人ファイターを適切にプロモーションできないばかりか、トップランクとアラム、義理の息子で社長のトッド・デュボフがクロフォードを含む黒人ファイターを不当に扱ってきた」と裁判所に提出した書類の中に記載しているそうです。

これまでにも、トップランクの黒人ファイターが同様の主張をしてきました。

フロイド・メイウェザーJr.がトップランクとの契約を「奴隷契約」と吐き捨てたのは有名な話です。
 
メイウェザーは2006年にアントニオ・マルガリートと対戦する800万ドルのオファーを拒否、75万ドルの違約金を払ってトップランクとの契約を破棄することを選びました。

事実上のフリーエージェントとなったメイウェザーは、10億ドルを超える生涯収入を記録、トップランクとの決別がプロボクサーとして成功だったことを証明しました。

クロフォードもここ数年「トップランクは私の才能を軽んじるばかりだった」「アラムの過激な人種的偏見が、プロモーションする義務のあるファイターに悪影響を与えてきた」とも嘆いていました。
 
ボクサーとプロモーターの関係は非常に苛烈な歴史を持っています。

マニー・パッキャオはトップランクとゴールデンボーイ・プロモーションズを二股にかけ、最後はトップランクを蹴ってPBCでキャリアを終えました。

プロモーターと正面から戦えるメイパックは、絶大な人気を誇るスーパースター、例外中の例外です。

ほとんど全てのボクサーは契約に従うか、クロフォードのように契約切れを待つしかありません。

先日のリング誌の取材でアラムは「ボクシングをメジャースポーツにしたい」と大きな野望を口にしたのは良かったものの、 そのためには「若い白人のファンを取り戻すこと」と、白人でないボクシングファンからすると「はぁ???」な発言をしています。

「トップランク、特にアラムが人種で人を判断していることは、痛いほどよくわかる。有色人種、特に黒人ファイターに対するアラムの汚れた歴史と、白人やラテン系のファイターを好む偏見は、十分な状況証拠があり、ボクシング界でも広く知られている」(クロフォード)。
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マイキー・ガルシアに至っては法廷闘争でトップランクに敗れ、2年半ものブランクを突き付けられました。マイキーの2年半…トップランクにも言い分はありますが、ボクシングファンを冒涜する行為に他なりません。


クロフォードはアラムから「黒人であるライバルのボクシングプロモーター、アル・ヘイモンと彼が傘下に収める黒人ファイターとの関係を馬鹿にし、ヘイモンは〝黒人愛〟から黒人ファイターを最強の君と対戦させないようにしている」と言い聞かされてきたと説明。

そして「そんなのは全部嘘っぱちだった」と切り捨てています。

ブライアン・フリードマン弁護士は「元検事でハーバード大学出身のアラムが、クロフォードに対して悪意を持って行動したということを証明するのは難しいかもしれない。最終的には複数のファイターと業界人の信頼するに足る証言が必要となる。(もしクロフォードが勝利するなら)この訴訟は、ハリウッド映画になる」。

一方のアラムはポスト紙に「人気がないのはクロフォードの責任。笑うほど人気がないのを人のせいにして、私を人種差別主義者と呼ぶのは馬鹿げている」と、すぐに応戦。

「彼は本当に人気がない。それは誰でもわかる事実だ。そして、人種と人気は全く関係がない。火を見るよりも明らかな事実は、テレンスのPPVでの数字は誰が見ても発狂するほど恐ろしいものだったということ」。


*****アラムはクロフォードに対して「コナー・ マクレガーとボクシングとMMAの各1試合をやれ。それなら数百万ドルの価値がある」「クロフォードの興行を組むたびに赤字が膨らむ。あいつはパッキャオの裏返しだ」「PPV5万件って、カネロやジョシュアはスタジアムにそれ以上の観客を集めるぞ」と、契約選手とは思えない辛辣な言葉をぶつけてきました。

「なぜか100万ドルファイター」の井上尚弥みたいなカモネギなら大歓迎でしょうが、クロフォードはそうではありません。

プロモーターからしたら〝逆井上〟でしょう。

もちろん、あれだけの実力がありながら、魅力的なマッチメイクに恵まれないクロフォードは確かに不運、不幸で、自身のプロモーターからさんざん皮肉を吐かれるのも屈辱的だったでしょう。

ただ、個人的には彼の試合は面白くないんです。PPVが売れないのもよ〜くわかります。あんな試合してて売れるか!

ボクシングは技術の展覧会だけではありません。

それなら、私たちは過去よりは良いものを見せてもらってることになりますが、未来よりも劣悪なものを見せられていることになります。

そんなわけないですね。

ボクシングのリングで、一番見たいのは、勇気です。

だから、アジア人でもパッキャオは人気があったんです。

「私たちの時代は絶対に勝ちたい、という気持ちだけだった。絶対に負けないように、というのは同じように聞こえるかもしれないが全く別物。最近のファイターは絶対に勝つ、というんじゃなくて、絶対に負けたくない、という気持ちが強すぎる。そんな二人が大きなものを賭けて戦えば面白くない試合になるのは当たり前」(シュガー・レイ・レナード)。

「判定になったら負けを覚悟してる。少なくともファンが私に寄せてくれた期待を裏切ったのだから、負けといえば負けだ」(マニー・パッキャオ)。

レナードやパッキャオと比べるのは、クロフォードがあまりにも惨めで可哀想なのはわかりますが、彼の戦い方の温度はいつも低調です。そして、セルフプロデュースの才能はゼロ。

個人的には一番ぶっ倒されて欲しいのは、例の赤毛ですが、その次はクロフォードです。

かつて「コロナは政府やメディアの陰謀」と公言していたクロフォードですから、どうして自分が喜劇的なまでに人気がないのかは永遠に理解できないかもしれません。

リング誌などに寄せられたコメントも「アラムが最低なのは1000年前からみんなわかってる。でもクロフォードが『俺に人気がないのはアラムのせい』というのは痛すぎる」という趣旨のものが多く、その通りです。