WBCバンタム級王者ノニト・ドネアvsレイマート・ガバリョ。

エマヌエル・ロドリゲス戦では凡庸な突貫ファイターにしか見えなかったガバリョですが、上々の立ち上がり。

第2ラウンドからドネアがプレッシャーをかけて前に出るものの、ガバリョは簡単には飲み込まれません。

しかし、第4ラウンド。ドネアの飛びかかるように打った左フックがガバリョの脇腹に突き刺さります。

ガバリョ、片膝を付くダウン!

苦しそうな表情を浮かべる25歳のガバリョ。立ち上がろうと膝を上げますが、再び膝をついたところで主審のレイ・カロナが試合を止めました。

時間に抗う39歳のドネア、現在の118ポンドシーンでは井上尚弥に次ぐ実力者であることを明白に証明しました。

かつてのスピードは影を潜めているものの、経験と達観、そしてパワーと打たれ強さは大きく減退していません。

まさに〝バンタムのフォアマン〟です。

同じフィリピン人の強豪ドニー・ニエテスも39歳と軽量級では超高齢のトップファイターです。

しかし、ニエテスが世界のトップ戦線を10年以上もキープしているのに対して、ドネアの10年はジュニアフェザーとフェザーでの苦闘と敗北にもがきながら、3年前のバンタム出戻りから劇的な復活を遂げました。

また、モデルチェンジによって時計と戦い続けたバーナード・ホプキンスとも異なります。ドネアはファイターのスタイルを大きく変えることなく、年輪を重ねてきました。

WBSSでは、代打出場のステフォン・ヤング戦を除いて完全アンダードッグの烙印を押されながらも番狂わせを続けて決勝へ。

井上との頂上決戦も敗れたとはいえ、大健闘の内容は番狂わせと表現しても良いものでした。

しかし、輪郭がボケていたドネアの実力は、ガバリョ戦でハッキリ見えました。バンタム級では、井上以外の誰と戦ってもアンダードッグにはなりません。

それにしても、ドネアは非常に興味深いサンプルです。

39歳という高齢に加えて、フライ級からフェザー級、そしてバンタムに出戻るという、ボクシング界ではタブーに思える下向きの階級シャッフル。

さらに「ジュニアバンタムに落とすこともできる。5階級制覇にも興味がある」というのですから、減量苦はほとんど無いのでしょう。

39歳という年齢を考えると、単純な身体能力で成長は期待できません。特に、反射的な動きは時間とともに衰えます。

それでも、反射の衰えを経験と度胸でカバー、スピードとパワーの衰えを最小限に抑える。素晴らしいボクサーです。

「ドネア2」があるなら、難しい戦いになるかもしれません。