高校時代、陸上部の試合の帰り道。梅田のティファニーの前を通りかかると、私をいじることに至福の喜びを感じている先輩が「この店で一番高いの見せて下さい、と頼んで来て!」とケシかけてきました。

こういうのは、今の時代なら「イジメだ」「店にも迷惑」となりがちな危うい行為なんでしょうが、当時は牧歌的でした。文字どおり牧場で歌をうたうように、私はティファニーの前のカーペットを踏んづけて自動ドアを開きました。

背後にチームメイト達がざわついたり、笑ってる空気が、実は気持ち良かったりするのです。

「これぞ慇懃」という女性店員が丁寧に迎えてくれました。

私の質問にも「店に出てるもので最も高価なもの」というティアラ(バカ高校生のわたしたちはこのとき初めてティアラという言葉を知ったのであった)を見せてくれました。

チームメイトの中には「あいつ、叩き出される」と思ってた奴もいました。しかし、高校のウィンドブレーカー姿の私が店の奥まで案内されるのを、彼らが窓に張り付くようにして見ているのがおかしくてたまりません。

そんな雰囲気、どういう成り行きでバカ高校生が店に入ってきたのかを察してくれた慇懃を具現化した店員さんから「お友達も呼んでいいですよ、そのかわり静かにしてくださいね」というお言葉まで頂きました。

そのときのチームメートは、なんと全員、大学時代の恋人や、実際に結婚するときにこのティファニーで指輪やネックレスを買ったのでした。

いや、全員じゃないです、私とケシかけた先輩は除いて全員。

どうして、こんな話を書いたかというと、銀座のハリー・ウィンストンの前を通りかかって、そのいかにも入りにくい雰囲気に高校時代のティファニーを思い出したのでした。
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門扉は開いていても、冷やかしや貧乏人は近寄るべからずな強烈なオーラを発散しています。

ハリー・ウィンストン、これまでもこれからも私の人生を何かが交わることなど無いのだろうなあ。正直、どうでもいいです、ハリーもウィンストンも。

そして、私の人生と深く関わり続ける酔っ払ったあとのラーメン。今日は、長浜やまちゃん。

ハリーと近距離にあっても「冷やかしや貧乏人は近寄るべからずな強烈なオーラ」は全く感じられません。むしろ、酔っ払いを引き寄せる磁力を発散しています。
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ラーメンすすりながら「ハリー・ウィンストン」って高いんだろうなあと、スマホで見ると値段が見つかりません…。

時価かよッ!!!!!!

怖い寿司屋じゃないんだから……っておんなじようなもんか。

ハリー・ウィンストン、恐るべし。

なんて、スマホ見ながらゴマ入れたら、土砂崩れのようにゴマが…。写真(ラーメンの右上)をご覧頂ければわかるように、ここのゴマはよそ見して入れてはいけないのです。10円玉大の穴が空いてるのです。

そして、私は生ビールをおかわりして、替え玉150円を頼むのであった。