ESPN+がPPVで提供した「テレンス・クロフォードvsショーン・ポーター」の販売件数が発表されました。

13万5000件。

これは想定内とはいえ、寂しい数字です。

ESPNは「15万件が採算ラインだった」と、この興行が赤字だったことを認めています。
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人気階級で最強と目されているにも変わらず、喜劇的なまでに人気がないクロフォード。ハグラーやメイウェザーは「負けるところが見てみたい」という存在でしたが、クロフォードはそんな大きな興味は持たれていません。嫌われてすらいない、つまりそもそも興味を持たれていないのです…。

人気の尺度は大きく6段階評価で「大嫌い>>>大好き>>好き>嫌い>>>好きでも嫌いでもない>>>>どうでもいい」。多くのファンにとって、メイウエザーは最上位の「大嫌い」、パッキャオは「大好き」でしたが、クロフォードは「好きでも嫌いでもない」か「どうでもいい」なのです。


ボクシング市場はもう半世紀以上も没落の坂道を転がり続けていますが、それにしてもクロフォードの人気のなさは目を覆うばかりです。

これが3度目PPVでしたが、その3度合計でも34万件。ライバルのエロール・スペンスJr.がマイキー・ガルシアとポーターとの2試合で72万5000件をマークしていることを考えると、クロフォードがいかに興味を持たれていない商品、ビジネスとしては不良品なのかがよくわかります。

クロフォードは「ESPN+は端末で見られるのが主流で、テレビで見たがるボクシングファンの中高年はどうしたらテレビで見れるのかがわからない」と低調な数字の理由を嘆きましたが、最大の原因は絶望的なまでの自らの人気の無さです。

ボブ・アラムは試合前に「クロフォードの直近3試合はすべて赤字。その金があればビバリーヒルズに豪邸が建つ」と、傘下のの選手にもかかわらず何度も皮肉を吐いていました。

もちろん、来月8日に90歳になるアラムの頭の中でクロフォードが比較されているのはオスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオという巨万の富をもたらしてくれたスーパースター。

赤字が膨らむばかりで、将来的にも人気が出そうにないクロフォードは扱いが非常に難しい商品です。

素材は抜群でも試合は単調で面白くなく、地元オマハでしか人気のないローカルファイター。人気階級のトップ選手なのに、全く人気がない負のオーラをまとっているのがクロフォードなのです。

「デラホーヤやメイウェザー、パッキャオが全盛期の頃はワクワクする感覚があったが、それがクロフォードには全くない」(アラム)のは、多くの人が気づいてしまってることでしょう。

「売り方が悪い」とアラムへの恨み節を隠さないクロフォードはフリーエージェントとなり、スペンスにキース・サーマン、ヨルデニス・ウガス、バージル・オルティス、ジャロン・エニスらPBCの選手と戦うチャンスが広がりました。

ここを勝ち抜ければ、クロフォードは赤字ファイターから脱却できるでしょうか?

そして、ボクシングに一般的な人気があれば、クロフォードは名脇役の座を手に入れていたかもしれません。しかし「どうでもいい」ボクサーがESPN+で配信されているのが現実なのです。

トップランクを追い抜き、米国の牙城となったPBCの総帥アル・ヘイモンは地上波の番組枠を買い取る力技の方法で業界を驚かせましたが、今の日本でもジム(プロモーター)は同様のことが求められるケースが増えています。

零細企業の日本のジムにゴールデンタイムの東京キー局の枠など買えるわけがありません。スポンサーと協力してCSの枠や、録画で深夜枠を買うのが精一杯です。

このまま日本も米国と同じ道を辿ってしまうのでしょうか?

そうなってしまったとしても…トップ選手がプロ野球選手やJリーグのトップ選手と同じくらいのファイトマネーが得られるならば、まだ救われます。

井上ですら、商業的に1億円の価値がないことは明らかです。ボクシングファンにとってその事実は、暗澹たる気分です。



井上や井岡のように世界評価が高い日本人は、続々と登場しています。これからも、もっと加速するでしょう。

日本人には高嶺の花、誰一人ランクされなかったリング誌PFPに、この5年で4人(山中慎介・内山高志・井上尚弥・井岡一翔)がリストアップされました。これからも、どんどん日本のボクサーが名前を刻んでいくでしょう。

しかし…。

日本人でPFP評価を受けているのに、無名であるばかりか報酬も低い、そんな事態になるのは考えたくありません。

井上のひかりTVや、村田諒太のAmazon primeが「次」につながる何らかの成果を挙げてくれることを祈るばかりです。