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左がステファン・ブレアのスコア。

9月10日(金)の夜、アリゾナ州トゥーソンで行われた「オスカー・バルデスvsロブソン・コンセイサン」のジャッジの一人が謝罪する内容が書かれた、WBCからのメールを友人が転送してくれました。

バルデスの試合前検査で減量促進剤であるフェンテルミンの陽性反応が出たというニュースは8月31日に発表され、その後、多くの議論がなされました。

普通に考えると、このイベントからメインのカードを外すか、あるいは30歳のメキシカンのWBOジュニアライト級王座を剥奪し、挑戦者のコンセイサンが勝利した場合は新王者誕生となる…そんな当たり前の裁定が下されると思われました。

The “show must go on”

しかし「ショーは続けなければならない」という考えが試合を決行、バルデスは王者として完全Bサイドのブラジル人との防衛戦を行いました。

挑戦者が前半の大量リードを守って判定をものにしたように見えた試合は115-112、115-112、117-110のユナニマスデジション、王者の防衛を支持したのです。

リング誌は115−112でバルデス、ESPNは114−113でコンセイサンなどクロスゲームであったことは間違いありません。

個人的には明白にコンセイサンと見ました。私の目にそう映ったのは明白に取ったラウンドがコンセイサンの方が明らかに多い、という印象からだったのかもしれません。微妙なラウンドを全て王者に振り、不可解な減点も上乗せすると115-112の「1ラウンド差」のスコアはありです。

しかし、バルデスの117−110勝利と採点したステファン・ブレアは、試合中に夢でも見ていたのでしょう。誰がどう見てもコンセイサンが3ラウンドしか取っていないわけがありません。

以下は、2003年からWBCの試合を審査しているブレアの謝罪と弁解です。

▶︎9月21日に行われた「バルデス対コンセイサン」の採点に関して、公開書簡を書くことにした。

私は30年以上、アマチュアとプロの両方でリングオフィシャルとしてボクシングに携わってきた。日本、タイ、韓国、中国、ロシア、メキシコ、アメリカなど、世界各国で60以上のタイトルマッチをジャッジやレフリーとして裁いてきた。

これまでに200試合以上のジャッジ、500試合以上のレフリーを経験してきたが、今回のような論争を引き起こしたことは一度もない。

私は試合を見直し、徹底的に分析した。

その結果、私が採点した117-110というスコアは正確ではなかったと認めます。

この試合では接戦のラウンドがいくつかありましたが、私は2つのミスを犯しました。

1)明確な勝者がいないと感じた2ラウンドで10-10を採点しなかったこと。2)接戦のラウンドでチャンピオンに有利な採点をしてしまったこと。

バルデスを応援する観客の声が非常に大きかったことに引っ張られてしまったのかもしれません。

私の席からは序盤の攻防を見るには視界が狭く、コンセイサンのパンチが死角になっていた。そして、バルデスがパンチを打ったときとは逆に、観客は静まっていた。

また、バルデスが私の左隣の赤コーナーにいたため、カメラマンが押し寄せてきて何度も接触した。

左隣のカメラマンと右隣のカメラマンに挟まれ、彼らがチャンピオン・コーナーに走るときに、ぶつかったり、足を踏まれたりした。

もちろん、どんな状況下でも、自分の仕事を100%遂行できると思っていたが、それができなかったのかもしれない。

このような理由が複合的に組み合わさって、私は最初の4ラウンドのうち3ラウンドをバルデスに与えました。

あらためてビデオで試合を採点し直すと、115-112、あるいは114-113でバルデスという結果だった。

私は、NABF/WBCリングオフィシャル委員会と連絡を取り、徹底したトレーニングと研修プログラムを受けることを決めた。

このプロセスを完了するまで、私はいかなるチャンピオンシップのジャッジも受けません。

私はボクシングに深い愛情と知識、そして敬意を持つ高潔な人間。ただ、誰にでも過ちがあることを理解して欲しい。

悪い夜を過ごし、注目される試合で不必要な論争を引き起こしてしまったことを謝りたい。

 


ブレアがすぐに過ちを認めて謝罪したことは、評価しなければなりません。

そして、このブログでも繰り返して指摘、今回もブレアが犯したミスの最初に挙げた「1)明確な勝者がいないと感じた2ラウンドで10-10を採点しなかったこと。」は、重大な問題です。

これを機会に「10−10」を付ける勇気を持つジャッジが増えてくれると良いのですが、難しいでしょう。

馬鹿みたいに「10−9」に振り分けてると、今回のように「明白に5ラウンド取ったのに、微妙な7ラウンドを拾われて負ける」というあってはいけない採点が生まれてしまいます。

コンセイサンもWBCに訴え、多くのメディアも「WBCは再戦を命じるべき」と報道しています。

 The “show must go on”

 
それでも「Aサイドのショウは決行しなければならない」のでしょう。

トップランクがBサイドの役割を当てて契約したのは、コンセイサンもわかっていたはずです。

オスカル・バルデスは「ポイント計算をして接戦を引き寄せることが出来る相手ではない」のです。

公正な採点が行われると思ってたとしたら、カネロと戦ったゴロフキン並みのお花畑です。

もう一歩危険を冒してでも、決定的な場面を作らなければなりませんでした。

「そんな馬鹿なことがあるか!」と怒る常識人もいるでしょうが、これがプロボクシングです。 

パッキャオの後を継ぐ、電光石火のBサイド、メキセキューショナーの出現をお祈りして…今夜はおやすみなさいませ。