土曜の昼休みは、スポイラではなくNHKが今年になって立て続けに放映した「野球革命」のシリーズから私見を交えて。
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変化球を構成する要素は「球速」「回転軸」「回転数」。これを再現する練習を積めば、誰でも江川卓のストレートや、佐々木主浩のフォークを投げることが出来るのです。

「誰かが投げているボールは変化球のロジックがわかれば誰にでも投げることができる」(ダルビッシュ)。

つまり、彼らの〝魔球〟は秘密ではなくなったのです。

昨年、ダルビッシュを抑えてサイ・ヤング賞を勝ち獲ったトレバー・バウアーはラプソードはもちろん、7年前からボールの握りや手首の角度を正確にとらえる高性能カメラを練習に導入してきました。

バウアーが「ピッチデザイン」という言葉で表現する変化球は、なんとなく投げられる感覚的なものではなく、繰り返し練習することでボールの握りや手首の角度、球速・回転軸・回転数を一定にした細かい〝成分表示〟が明らかになった〝量産品〟です。

2017年に同僚のコーリー・クルーバーの横に大きく滑るスライダーを習得すべく、バウアーはクルーバーの投球をコピーします。
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約5000球を投げ込み、ほぼ〝完コピ〟に成功。

この作業には、リリース時の手首の角度や指の動きを精密に見ることが出来る高性能カメラと、球速・回転軸・回転数を見える化した数値が不可欠。一球一球これらを確認しながら、ピッチデザインを進めていくのです。

1日わずか50分の練習で広島の強豪校に成り上がった武田高校ではこのデータを重視。合同ランニングなど成果の裏付けが希薄な練習は廃止します。
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「投手だけでなくあらゆるポジションで投げることは重要」という心理から、140㎞を投げる練習を追求、成果を上げ続けています。 

NPBでは開幕から31試合無失点の日本記録に並んでいる 平良海馬(西武ライオンズ)も、このピッチデザインの申し子。

2019年オフに菊池雄星から教えてもらったラプソードを早速練習に取り入れ、衝撃を受けます。それまで「速くて伸びもある」と自信を持っていたストレートが、打者の手前で垂れる質の悪いボールだったのです。「速いから伸びる」のではなく「回転軸が垂直に近く、回転数が多いから伸びる」ということに気づいてから、スピードガンの数字へのこだわりは霧散しました。

そして昨年、一気にブレーク。リーグ最多の54試合に登板、防御率1.87の数字を残して、3年目で新人王に輝きます。

回転軸と回転数を追求した投球はストレートでも160㎞をマークしますが「ストレートは誰もが狙っていて、データを見ても一番打たれている危険なボール」と、変化球を磨くことを重視します。

平良だけではなく12球団全てがラプソードを導入している現状を見ると、NPBでも投球の回転数が飛躍的に伸びていることは疑いようがありません。

もちろん、日本では“sticky stuff”(粘着物質)をポケットにしのばせてる投手はいないでしょう。

ロージンバッグを粘着物質といえばそうですが…。

打者の手元で伸びるボールは回転数と垂直に近い回転軸が最重要。大きな変化球も回転数を増やすこと、落ちるボールは軸をぶらして回転数も抑える…。

速いボールを投げること、速く走ること、それは持って生まれた才能と考えられた時代もありましたが、全ては「回転数」や「筋肉」で説明出来る、後天的な要素が強い能力だと証明されたことは、歓迎すべきです。 

そこへの近道として“sticky stuff”やsteroidなどが使用されるのは言語道断ですが…。