ワシル・ロマチェンコは面白い戦い方をする。もっと評価されても良いと思うけど。

マイク・タイソンとロイ・ジョーンズJr.がエキシビションで戦うって?殴り合うには二人とも、救いようがないほど年を取り過ぎてる。

Black Lives Matter.人種差別なんて今に始まったことじゃないが、何てこった。このままじゃアメリカは地獄になるぜ。

俺か?

俺のことなんて、どうでもいいさ。もっと広い世界を見ろよ。

貧しい家庭で生まれて、凶悪犯罪を繰り返して、最後は懲役150年をくらって、ここにいる。

今度は仮釈放はないらしい。だから、あと135年か、136年かじっと我慢して、その日を待つさ。

ボクシングを学んだのは、10代でブチ込まれた刑務所の中だった。

才能はあった。でも、やってることは殴り合い。

プロボクサーになって何百万ドルも稼いだけど、頭蓋骨の中で脳みそがぐちゃぐちゃに揺らされて、自分でも何が何だか分からなくなる、そんな時間が増えてゆくのさ。

人生には取り返しのつかないことがある。セカンドチャンスは、どこにでも用意されているわけじゃないんだ。 

俺は、その取り返しのつかないことをやっちまった。悔やんでも悔やみきれない、そう沈むこともある。

ああ、でもセカンドチャンスはないわけじゃないな。135年後のことだけど。 

仮釈放なしの懲役150年、そんな絶望の真っ暗闇でも、神様が慈悲を差し伸べることがあるんだ。

あんた達にはわかるまい。

知りたければ、あんたも懲役150年を食らうことだな。


=====クリフォード・エティエンヌが、あと135年間を過ごすことになる狭い独房には小さな木机がある。

その上には古い錆びたプリングルスの缶に立てられた絵筆が数本。床の上には粗末な木箱に絵の具が入っている。



“When I'm painting, I'm not even in prison. I'm in a world of my own.” 

絵を描いていると、刑務所にいることを忘れることができるんだ。自分だけの世界に浸ることができるんだ。


=====エティエンヌが描く絵は、どれも静謐な空気に満ちている。彼の絵に感銘を受けた人は、自宅やオフィスに飾り、ニューオーリンズの警察本部の壁にもかけられている。


絵を描くことは、何かを残すこと、だ。

忘れないように、忘れられないように。本当は、何もかも全部忘れてしまいたいというのに、おかしな話だろ?

これも、頭蓋骨の中で脳みそを何度も打ち付けられたせいかもしれないな。

マイク・タイソンとの試合は、Showtimeで全米に生中継された。店員に拳銃を突きつけて、強盗もした。

タイソンと拳を振るいあったこともあるし、警官と拳銃を向けあったこともある。どっちも似たようなもんさ。


=====エティエンヌは自分の運命を受け入れているようにも、現実から逃避しているようにも見える。彼の言葉はときに支離滅裂で、その手紙は脈絡がなく、誤字脱字も目立つ。

署名は「クリフ」だったり「クロフォード」だったり、「ブラック・ライノ」と書くこともある。
そして、彼はあと130年以上の間、囚人番号00130104 である。
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人間のクズとも言われたし、未来の世界チャンピオンと賞賛も受けた。

貧困と劣等感、怒りと悲しみ、犯罪と刑罰、ボクシングとセカンドチャンス、脳の損傷と精神疾患…くたびれて年をとった。

現役時代から30ポンドも痩せて、白髪だらけ、見た目はみすぼらしくなったが、競走馬のように健康だぜ。なにしろ、あと135年は生きなきゃいけないからな。


=====エティエンヌの人生は常に揺れて、迷走しっぱなしだった。

もし、望み通りに135年後に釈放されたとして、彼はまた同じことを繰り返すかもしれない。そして、次も仮釈放なしで、現行法から改正されていなければ、刑は450年に加重されるはずだ。

しかし、エティエンヌを「愚かな男だ」と切り捨てられる人がいるだろうか?

あなたが、エティエンヌの立場だとして「私なら別の真っ当な生き方が出来た」と言えますか?



もう一度、人生をやり直せたら?

考えたことがないな、そんなこと…。

だってそうだろう?135年後にまた、ここを出てやり直すことになるんだから。