「軽量級にもラスベガスはある」。

それは「ソフトボールにもメジャーリーグがある」と考えるのと根本的には何ら変わらない、幻覚症状です。

90年代、辰吉丈一郎がラスベガスでメインを張り、リングサイドにはフリオ・セサール・チャベスらビッグネームが座りましたが「辰吉がベガスでメイン!世界的なスターになった!」「チャベスがバンタム級最強の一人と認めてる!」なんて浮ついた報道はありませんでした。

この時の辰吉はJBCの「網膜剥離の診断を受けた選手の国内試合は許可しない」という規定から、仕方なくラスベガスで戦った、消去法でした。

「日本のファンに見せたかったけどゴメンやで」。辰吉の言葉が真実の全てを物語っています。
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1995年11月25日、帝拳プロモートで開催されたラスベガスの〝 Japan Fes〟。その舞台はミラージュ・ホテル&カジノ、辰吉はメインで坂本博之がセミファイナル。日本からの応援団や旅行客を中心に2500人を超える有料入場者を集めました。

辰吉から10年、長谷川穂積や西岡利晃の時代には、何が歪んで、何が変節してしまったのでしょうか?

様々な要素が考えられますが、野球とサッカー、日本の二大メジャースポーツで「欧米のトップリーグで戦う選手が最も格好いい」ということが完全に浸透したことが単細胞の信者のスイッチを押してしまったのでしょう。

同じ「ラスベガス信仰」は、キックボクシングにも見られます。魔裟斗が「ラスベガスに進出したい」と言ったのと、同根のセリフを今は那須川天心が幻覚しています。

米国でもキックは存在しますし、ラスベガスでも興行はあります。しかし、それは日本で地上波生中継されることもあるRIZINのようなビッグイベントではありません。

バンタム級に「ラスベガス」がないのと同じように、キックにも「ラスベガス」などないのです。バンタムもキックも、「ラスベガス」は彼らにとっては残念ですが日本にしかないのです。

暗愚な信者たちは「バンタム級にも〝世界のトップリーグ〟がある、それがラスベガスだ!」と倒錯し、それを煽るメディアも出現しています。

では、欧米で全く関心の払われないバンタム級や軽量級がニューヨークやラスベガスの大会場でメガファイトのメインを張ることは、絶対不可能なのでしょうか?
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靴を知らない国の住民に靴を売るのは「偉大な挑戦」です。

しかし、ウェルター級やヘビー級という立派で歴史ある革靴をすでに履いている国で、革靴と同じ値段で草履や雪駄が売れると思い込んでる人がいるとしたら、彼らは正真正銘の馬鹿です。

マニー・パッキャオが米国進出したときに足にしていたのは草履でしたが、彼はあろうことか最高級の革靴を履きこなしてみせました。

とどのつまり、あのパッキャオですら、草履は売れなかったのです。

日本から渡米した金持ちに買ってもらうという、小さな会場を「MGMでメイン」「パッキャオやタイソンも戦った」と詭弁を弄し、だったら日本で売れよ…と突っ込みたくなる愚行をやっちゃったのが西岡利晃でした。

長谷川穂積はついに憧れのラスベガスのリングに上がることはできませんでしたが、フェルナンド・モンティエル戦ではジミー・レノンJr.に「世界中が注目する大試合。だから私は無償でリングアナを引き受けました」と最低の嘘までつかせました。

西岡の「MGMメイン」は今ではWOWOWでもタブーです。西岡がゲストでいるスタジオで京口紘人の「(井上のラスベガスメインは)日本人では初めてのことで凄い」というコメントは、完全にスルーされました。

「西岡さんの前でそれはダメですよ!」と言えないんです、もはやカラクリがバレちゃってるから。

長谷川の「自腹アナ」も多くの人が忘れつつあるでしょう。

そして、井上尚弥が同じ轍を今、踏もうとしているのです。



では、ラスベガスで草履を高級革靴並みの高額で売るのは絶対不可能なのでしょうか?