もはや、リカルド・ロペスがいつ登場するのか、ロペスの名前が一度も出てこない回を何度重ねたかわかりませんが、このまま続きます。

大筋を考えず、着地点を決めずに思いつきで書くとこうなるーーという見本のようなシリーズになってしまいました。

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時計の針を1988年1月31日に戻します。ところは大阪城ホール。

「映画のよう」だとか「ドラマだ」という言葉を使うのが 、あまりにも陳腐に思えてしまう、壮絶な人間の戦いが繰り広げられます。

リングインした井岡弘樹はいつもと変わらない落ち着いた様子でしたが、その胸の中には「死んでも勝つ」という鋼鉄の決意で奮い立っていました。

エディが救急車で会場を去ったことを、井岡は知りません。
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妻・百合子さんと娘のダーナさんに付き添われてストレッチャーで救急車に乗るエディ

第1ラウンド開始のゴング。ストロー級としては飛び抜けて長身の井岡は速い左ジャブで、突貫ファイター李をバリアします。

対照的に李はリードを使わず右を強引に振り回して距離を潰すと、小さな左右連打で19歳の日本人を攻め立てます。長距離の左を持つ裏返しで華奢な井岡が、徐々に削られていく…嫌な予感が漂うオープニングでした。

第2〜4ラウンド。李の強引なアタックを井岡は〝見てしまう〟展開。嫌な予感は膨らみます。

第5ラウンド、李の右が炸裂するも井岡は追撃の決定打を許さず、終盤にはカウンターの左フックから李をロープに追い立てました。この試合でジャッジ3人が井岡を支持した初めてのラウンド。

後半に入っても李の前進を井岡は捌ききれません。両者、疲労の色が濃くなり消耗戦の様相を呈します。ジャッジ泣かせのラウンドが続きますが、時間が経過すればするほど、李の前半の貯金が重くのしかかってきます。

下がりっぱなしの井岡をジャッジはどうスコアしているのか?気になりましたが、どう贔屓目に見ても井岡がゲームをコントロールしているようには見えませんでした。

業を煮やした観客からも「先に手を出せ!負けてるぞ!」と発破がかかります。

車椅子でもリングサイドから指示を飛ばしていた、あのエディの姿が見当たらないーーそれが何を意味しているのかをボクシングファンはみんなわかっていました。

井岡がこの試合で負けることは絶対に許されない、と。

オフィシャルでは第7、8ラウンドも井岡が三者一致で支持されていましたが、ボクシングマガジンでも10−10、9−10とスコアしていたように李には気の毒な採点でした。

優勢に試合を進めているように見えた李のコーナーも中途半端な判定で勝てないことはわかっています。「倒すしかないぞ!相手は(日本のエース)井岡だぞ!ここは日本だぞ!」とインタバルでは激しいゲキが飛びます。

その頃…。

搬送先の病院でエディは目を閉じ、昏睡状態に陥っていました。