英国ボクシングニューズ誌3月19日号から…拙訳です。
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1930年代はじめ、ラッキー・ルチアーノを中心とするニューヨークのイタリア系マフィアが「縄張り争いは我々のビジネスを損なう」と考え、殺人行為を規律化するための専門の暗殺執行機関を創設した。

暗殺の対象は恋愛や復讐など個人的な理由は禁じられ、必要最低限のビジネスに限定する掟だった。

しかし、所詮はマフィアである。


「ビジネスのための暗殺」というイクスキューズのもとで、暗殺を伴う縄張り争いは続けられた。

暗殺機関は、メンバー個々の技能や経験に応じて週給50ドル~250ドルが支給されたことから Murder, Inc. あるいは Murder Incorporated と呼ばれた。つまりは「殺人株式会社」である。

=「マフィアが成長させた米国産業〜ボクシングと競馬〜」=


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When the mob ruled boxing


暗殺株式会社の主要メンバーの中にはボクシングビジネスにも積極的に乗り出す者も現れました。

フランキー・カルボです。

カルボは1950年代の米国ボクシングを取り仕切っていたInternational Boxing Club of New York(IBC)の最高責任者ジム・ノリスと結託し、八百長試合を繰り返し大きな収益を上げていきます。
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ロッキー・マルシアノ(前列右)がエザート・チャールズ(前列左)との世界ヘビー級戦にサイン。マルシアノとチャールズの後ろに立っている男がIBCのジム・ノリス。

「古き良き時代」。1940年代から50年代をそう呼ぶボクシングファンが多いのですが、本当にそうでしょうか?

まず、その時代に大人の目線でボクシングを観ていた人はもうこの世に存在しないはずなのですが…。

もちろん、残された資料から当時を窺うことはできます。

まず、現在ほどまで腐敗した承認団体は存在しませんでした。複数の承認団体が好き勝手に世界チャンピオンを承認するような、秩序が欠落した時代ではなかったのです。 

The North American Boxing association はすでに発足していましたが、承認料など発生しませんでした。

それゆえに、リング誌は非常にわかりやすく簡単に世界チャンピオンを認定することが出来ました。


試合会場ではタバコは吸い放題、観客に「テストステロン(代表的な筋肉増強剤)を知ってるか?」と聞いても、誰もがイタリア系の野球選手だと思ったでしょう。

確かに素晴らしい時代に見えます…。しかし、おそらくはそうではありませんでした。

リングの周りにはマフィアが潜み、50年代から60年代初めにかけて米国ボクシングは彼らの手で汚されていたのです。

50年代、ボクシングは米国の独占的な産業でした。

現在では軽量級が日本に、ヘビー級の覇権は英国に、そして米国内でも最大のファンベースはメキシコ系とメキシコに、米国が築いたボクシング帝国は分割されましたが、50年代までは確かに米国が世界のボクシングを独占していたのです。

マディソン・スクエア・ガーデン( MSG)は当時からメッカでした。週に2回、ボクシング中継を全米に放映するテレビの普及はボクシング産業をさらに効率的で高収益のビジネスに発展させました。

1949年、そのMSGは興行権をノリスにわずか10万ドルで売却。
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MSGの他にもヤンキースタジアムやポログラウンズ、シカゴやセントルイスのスタジアムでの興行権を買い占めたノリスは多くのボクサーを雇いました…そう、彼の命じる仕事をさせるために雇ったのです。

IBCは巨額の売上に潤い、それは80%の株を持つノリスが濡れ手で粟の大儲けをしていたということです。そして、その富はマフィアの資金として流れてゆくのです。