フェリックス・ベルデホの復帰戦が来週に迫りました。

現地時間1月18日(土)ニューヨーク ベローナ ターニングストーン・カジノで行われるエレイデス・アルバレスvsマイケル・シールズとのダブルヘッダーで、レイ・ロハスとライト級10回戦を戦います。

ベルデホは、長年連れ添ったトレーナー兼マネージャーのリッキー・マルケスと袂を分かち、新たにイスマエル・サラスの指導を仰いでの最初の試合となります。

「多くのボクサーがサラスを絶賛する意味が、ずっと一緒に合宿してよくわかった。過去最高の練習を積めた。ライト級のトップ選手であることを証明したい」と、アントニオ・ロサダ・トーレスに10ラウンドTKO負けから2連勝中のベルデホ。

8年前に内山高志に粉砕されてからパッとしないブライアン・バスケス相手に決定的な場面すら作れなかった昨年4月以来のリングに上がる〝プエルトリコのダイアモンド〟ですが、ライト級のトップ戦線からは完全に置いてけぼりを食らった状態です。

現在のライト級の中心はPFPでも頂点を争うワシル・ロマチェンコ。

ウクライナのハイテク破壊を窺うのはIBF王者テオフィモ・ロペス(22歳)、WBC王者デビン・ハニー(21歳)、2階級制覇を狙うジャーボンティ・デービス(25歳)ら無敗の実力者たちで、ライアン・ガルシアも21歳ながら「カネロの弟分」として人気・実力ともに急上昇中です。

ベルデホもまだ26歳とはいえ、温室で与えられた離乳食すら消化できなかったひ弱い印象が強烈に烙印されてしまいました。

トップランクの中ですら、テオフィモに抜き去られ引き離されているベルデホが、再び輝きを取り戻す日は訪れるのでしょうか?

そもそも、温室の外に出ていないデルベホは「ダイアモンドでなく石コロ。元から輝いてなんかいなかった」という厳しい見方もありますが、雑魚相手のパフォーマンスは出色でした。

2012年のロンドン五輪でもロマチェンコに負けてのベスト8、説得力のある宝石でした。

まだ1敗しただけですが、ベルデホのあとも流行病のようにバタバタ倒れるプエルトリコの無敗選手が続いたこともあり、欠陥商品扱いです。

東海岸のボクシングの支柱であり、メキシコと並ぶ王国だったプエルトリコでしたが、ついに世界王者ゼロの厳冬に突入してしまいました。

カリブのボクシング大国が罹患したホープを蝕む病は一過性のものなのでしょうか?それとも、プエルトリコはこのまま大国の看板を下ろしてしまうのでしょうか?


カルテNo.①フェリックス・デルベホ=病状レベル2(経過観察の必要あり)

ダイアモンドの異名を持つプエルトリコの希望の星でしたが、2018年3月18日に伏兵ロサダにまさかの逆転TKO負け。

トップランクが用意したソフトな線路を踏み外してしまい、評価は急落。以前から、ピンチになると弱気な表情になることも幻滅に拍車をかけてしまいました。

復帰ロードは2連勝中とはいえ、世界戦線に浮上できるかは極めて不透明です。

雑魚相手にまた失態を晒すと、温室から引きづり出されたダイアモンドは強豪の咬ませ犬に落ちてしまう姿を晒してしまうかもしれません。


カルテNo.②アンヘル・アコスタ=病状レベル3(せいぜい並み王者の実力)

2017年5月20日、16戦全勝16KOのパーフェクトレコードをひっさげて田中恒成に挑戦するも12ラウンド判定負け。

復帰戦で世界戦を用意され3連続防衛を果たすものの、昨年6月21日のエルウィン・ソト戦でまさかの逆転KO負け。

根性は見せました。

階級をフライに上げて復帰戦も飾りましたが、恒成との試合でも露呈したガードの甘さと打たれ弱さは、トップを走り続けるには致命的です。

今年30歳になるプエルトリカンにとって、この欠点が不治の病であることは明らかです。


カルテNo.③アルベルト・マチャド=病状レベル3(せいぜい並み王者の実力)

内山高志を破壊してWBA王座を強奪したジェスレル・コラレスが体重超過で秤の上で失ったベルトを、8ラウンドKOで獲得したマチャドは、2度防衛に成功し21戦全勝17KOまでレコードを伸ばします。

昨年2月9日、3度目の防衛戦で迎えたのは、ボクシングが副業のアンドリュー・カンシオ。圧倒的有利と見られていましたが、まさかの4ラウンドKO負け。

まさか、カンシオに負けるわけがないと挑んだダイレクトリマッチも3ラウンドKO負けと、病状はさらに深刻化。

「減量で力が出なかった」という言い訳よりも、劣勢で見せる弱気な表情には幻滅しかありません。

先月、ライト級で再起していますが、近い将来にまた情けない敗北を見せてしまいそうです。


カルテNo.④エマヌエル・ロドリゲス=病状レベル3(せいぜい並み王者の実力)

デルベホ、マチャド以上に試合中に負け犬の態度を取ってしまう幻滅ボクサー。

17戦全勝12KOで迎えたIBFバンタム級王者決定戦で、ポール・バトラーから立ち上がりにダウンを奪うも仕留めきれず。それでも初の世界戦、慎重に戦った結果で決定力はあると好意的に見られていましたが、ジェイソン・マロニー戦の実質敗北で幻想は崩壊。

謙虚な井上尚弥に「気持ちが弱い」と見透かされるほど、精神的な欠点が致命的なボクサー。

世界挑戦者決定試合で1ポンドオーバーのルイス・ネリとの対戦を拒否したのはアスリートとしては正しい判断ですが、ヘビー級のメガファイトのセミファイナルで、Bサイド。

あのヘタレな態度もまた、ファイターとしての弱気から発露したのだとしたら、重症です。


カルテNo.⑤ハビエル・シントロン=病状レベル4(不治の病の可能性あり)

10戦全勝5KOで迎えた江藤光喜との初戦は不運でしたが、再戦での慎重すぎる戦い方は頂けません。

貧弱なシントロンに因縁の相手を叩きのめす強打が欠落しているのは仕方がありませんが、ハートまで縮こまったファイトには幻滅です。

WBOジュニアバンタム級王者・井岡一翔への挑戦では、シントロンの病状が治癒しないレベルである可能性が高まりました。

序盤で完全にペースを掌握しながらも、ツブシにかかってくる井岡を堰き止められなかった引き出しのなさは実力なので仕方がありません。

問題は「終盤は倒さなければ勝てないのはわかっていた」と言いながらの無様な戦いぶりです。

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…そして、ザンダー・ザヤスです。

カルテNo.⑥ザンダー・ザヤス=予備検診中

先ほど、4ラウンド判定勝ちでプロ3勝目を挙げたザヤスです。

まだ17歳の「カリブの宝石」(プエルトリコは宝石の一大産地です、ただし最近は「原石のまま」ばかりなので先物買は慎重に)はトップランクの秘蔵っ子。

会場のハードロック・カジノがあるニュージャージー州は米国で3つしかない「17歳以下でもライセンスを発行する」州の一つです(他はネバダとテキサス)。

今年開催される東京五輪も年齢が出場資格に届かず、あと4年は待てないとプロの世界に飛び込みました。

「ザヤスはトップランクの長い歴史でも最年少の契約選手。小さい頃からミゲール・コット(キャリアの大半をトップランクで活躍)に憧れていたザヤスと我々は運命で結ばれている。そして、ザヤスがコットやメイウェザー、パッキャオらトップランクが育てたスーパースターを超えていくのも運命だ」(ボブ・アラム)。

9月に18歳になるとザヤスはニューヨーク州でもライセンスを取得できます。

プエルトリコのスーパースターがホームにしてきたマディソン・スクエア・ガーデンでの披露宴が、目の前に迫っているのです。

最も階級攻略難易度が高いウェルター級で、まだ17歳プロ3戦目。アマチュア実績も118勝14敗と素晴らしいものの、国内大会の実績しかない…日本の「高校◯冠」というのとあまり変わらない気がします。

とりあえずは「プエルトリコ病」にとりつかれそうな有力候補です。

もちろん「情けない敗北の悪夢から立ち上がる」のは簡単なことではありません。

しかし、重圧に苦しんでいるベルデホや、勇気の拳を持つアコスタらが、予想を覆して復活の道を歩き出すことを期待したいと思います。

この種の底意地の悪い期待を裏切られることが、実は極上の快感であることはマニー・パッキャオが教えてくれました。