階級制スポーツの大前提である減量。

「より弱い相手を求めて自分を弱体化させる」 という倒錯的な行為、減量。

ほぼナチュラルウェイトの村田諒太が世界的な人気階級で戦うのは理解できます。

しかし、井上尚弥に代表されるように多くのボクサーがキャンプインから15kgレベルも減量し、足が痙攣したり骨密度の低下から拳などの怪我も負ってしまうリスクまで犯して肉と骨を削るのはどうしてでしょうか?
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減量は階級制スポーツに付き物で、過酷な自分との戦いです。

だからといって、体重超過が許されるわけがありません。減量が辛いのなら、上のクラスで戦えばいいだけです。

それにしても、21世紀になってから計量でリミットをオーバーする「事件」が目に余るようになっています。 

体重超過はプロフェッショナルであるならあるまじき行為で、不可抗力による「事故」性よりも、醜悪な打算により故意が感じられる、つまり〝犯人〟がいる〝犯罪行為〟「事件」です。

他のスポーツなら試合に臨む条件を満たさなかった時点で、その選手は出場できません。

団体スポーツならチームぐるみの〝犯罪行為〟でない限り代替選手でカバーできますが、プロボクシングは個人競技でメインイベントを核とした興行ビジネスです。

体重超過が起きた場合は、当該選手から報酬の一部を没収・対戦相手に支払う「罰金」形式で試合を敢行してしまうケースが殆どです。

先日のオスカル・バルデス戦のように、前日計量後に対戦相手が見つけることが出来たケース極めてレアす。

体重超過が目立つのは、日本だけでもなく世界的な傾向です。

この原因が、厳しい罰則がないことにあるのは明らかです。もっと正確に言うと「罰則がない」のではなく「罰則を課すことができない」のです。

プロボクシングは各国(米国などでは各州)のコミッションが統括していますが、世界的な統括団体は存在しません。

日本ボクシングコミッションがルイス・ネリを永久追放しても、それは日本限定。WBCも一時は「承認試合には無期限出場停止」としましたが、WBCなどの団体は承認団体に過ぎずライセンスの発行・停止を担っている統括団体ではありません。

2018年3月に日本から追放されたネリは7ヶ月後の10月にWBCシルバーのタイトルマッチに出場、12月にも1試合を何もメキシコで戦いました。JBCから追放された年内で2試合もリングに上がっているのです。

もちろんJBCの処分は間違っていませんが、世界的に追放・罰則の効果は全くないのです。

「体重超過やドーピング、もっと酷いボクサーも数え切れないくらいいるのにどうして日本だけそんなにムキになってるのか理解できない」というネリの動揺にまともな反論を唱えることが出来るでしょうか。

昨年3月の山中慎介との再戦当時は「この試合は中止すべき」という主張はメディアでもファンの間でも少数意見でした。

そして結果論ではなく、もしあの試合が真逆の結果、山中が圧倒するKO勝利だったなら、ネリに対する日本のボクシングファンの憎悪はここまで燃え盛ることはなかったでしょう。

まず、お断りしておきたいのは ①JBCの処置は「効果」はありませんが、日本の立場を鮮明にするという「意味」は十分にある正しい判断でした。

そして ②体重超過の選手はリングに上がらせてはいけません。プロ失格なのですから、プロのリングに上がる資格がありません。罰金を支払うのは当然で、キャリアにも「不戦敗」を付けるべきです。

しかし、少なくとも世界的な潮流はそうはならないでしょう。

そして、もしかしたら体重超過の選手に恩赦を与えて戦い、勝利したボクサーを、私たちは「勇敢な英雄」と見てしまうのではないでしょうか。

そして、前日計量で7ポンドも開きがあったマニー・パッキャオvsアントニオ・マルガリートのような倒錯的な試合は素知らぬ顔で楽しむのでしょう。


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▶︎1974年10月18日、WBA世界フライ級タイトルマッチ。

王者チャチャイ・チオノイが当日計量で1.6kgオーバーで、秤の上で失ったベルトを失います。花形進が6ラウンドKO勝利を収めて悲願の世界タイトル奪取。


▶︎1998年9月22日、WBA世界フェザー級タイトルマッチ。

王者フレディ・ノーウッドが 8kg 体重超過でタイトル剥奪。松本好二が勝てば新王者誕生でしたが、10ラウンドTKOに散ります。


>>>>>>20世紀に日本人が戦った世界戦で起きた「事件」はこの二つだけ(勉強不足な低脳が二日酔いで書いてるもので…他にお識りの方はご教授下さい)でしたが、21世紀になると噴出してしまいます。


パンドラの箱を開けたのは誰なのか。パンドラの箱とは何なのか…。


▶︎▶︎2004年7月3日、WBA世界ストロー級タイトルマッチ。

王者アラン・ノエルブレットが 0.3kg のオーバー。新井田豊が12ラウンド判定勝ちでタイトル奪取、王座返り咲きに成功しました。


▶︎▶︎2006年10月9日、WBC世界ジュニアフライ級タイトルマッチ。

暫定王者ワンディー・シンワンチャーが1.2kgもオーバー。嘉陽宗嗣は0−3の判定負け。


▶︎▶︎2007年3月19日、WBA世界フライ級タイトルマッチ。

王者ロレンソ・パーラが2.1kgもオーバー。

挑戦者・坂田健史とパーラは3度目の対決で、過去2戦はいずれもMDの惜敗だったが、3ラウンドTKOで世界王者に。

そういえば、坂田も所属した協栄ジムが「活動休止か?」というニュースが飛び込んできましたが、ジムの経営が厳しいのはどこも同じ、難しいですね…。


▶︎▶︎2013年12月3日、IBF/WBA世界ジュニアバンタム級タイトルマッチ。

IBF王者・亀田大毅とWBA王者リボリオ・ソリスの2団体統一戦。1.1kgオーバーしたソリスが試合当日までも大きくリバウンド、12ラウンドを支配してUD。

ソリスの体重超過とリバウンドを許した犯罪的な運営に、負けた大毅が「タイトル保持」と表明したIBF。プロボクシングがいかに堕落したスポーツかを日本中に知らしめてしまった唾棄すべき試合でしたが、大毅には一片の罪もありません。この試合に限れば彼は間違いなく被害者でした。


▶︎▶︎2015年5月1日、WBO世界ライト級タイトルマッチ。

テレンス・クロフォードが返上した王座を粟生隆寛がレイムンド・ベルトランと争いましたが、ベルトランは0.2kgの超過。粟生が勝ったときのみ新王者誕生でしたが、2ラウンドKO負け。

ベルトランはドーピングも発覚、試合は無効試合となりました。しかし、ベルトランは今年6月(IBF世界ライト級王者リチャード・コミー戦)でも0.82kgの体重超過を犯しています。試合は8ラウンドKOでコミーが勝ったから良かったものの…いやいや良くはありません、厳格なペナルティを課すべきです。


▶︎▶︎2017年4月23日、 WBO世界バンタム級タイトルマッチ。

王者マーロン・タパレスが 0.8kg オーバーで2時間の猶予を与えれれるも最軽量はまさかの0.9kg。何をしてたんだ?タパレス…。

挑戦者の大森将平は11ラウンドTKOに敗れて、王者獲得ならず。

そういえばタパレス、明日は岩佐亮佑とIBFジュニアフェザー級の暫定王者決定戦に出場。計量は1発クリアしたようで、とりあえず安心…。

WBCミドル級王者ジャーマル・チャーロのイベントでセミファイナル、ニューヨークのバークレイズセンターのリングに岩佐が上がるわけです。素晴らしい!

日本人がバークレイズセンターで世界戦を戦うのは初めてかもしれません。


▶︎▶︎2017年5月20日、 WBC世界フライ級タイトルマッチ。

0.2kg オーバーした王者ファン・エルナンデスを比嘉大吾が6ラウンドで粉砕。この日は比嘉が被害者でした。


▶︎▶︎2018年3月1日、WBC世界バンタム級タイトルマッチ。

ルイス・ネリが1.3 kgも超過。

「ふざけるな!」。計量会場に響いた温厚な山中慎介の怒声は日本のボクシングファンの総意でした。

そして、私たちの多くは「神の左で悪魔のネリを叩きのめしてくれ!」と願ってしまったことも忘れてはなりません。

しかし、あの日、あのときに戻れるとして私たちはあの試合を中止することが出来たでしょうか?


▶︎▶︎2018年4月15日、WBC世界フライ級タイトルマッチ。

比嘉の馬鹿者が!0.9kgオーバーで秤の上でタイトルを失うという最低最悪の姿を晒します。

どんな惨敗をしようが、それが勝負の世界です。精一杯戦ったなら、恥じることなど何もありません。しかし、戦わずして敗れるのは論外です。

新王者クリストファー・ロサスが「減量がキツイのは良く理解できる。比嘉には再起してほしい」という気遣いすら比嘉にはもったいない言葉です。

減量に負けるくらいなら、上の階級で負けろ!