Q:世界的に、あるいは狭義的にアメリカでWBOがメジャー4団体目と認められているとしているのは、いつを契機に、何を拠り所としているのでしょうか? 当初WBFやIBO辺りと大して変わらない感じがあったもので。 アメリカの人気ボクサーがWBOを獲ったからとか、著名な専門誌がある時認めたからとか? 

 
A:「IBFとWBOはともにリング誌が『Major Sanctioinng Body宣言』したことで認知されました。その時期はそれぞれ…」なんてことはあるわけもなく、なあなあです。ボクシングの薄汚い承認団体の世界にそんなスポーツライクな線引きなどあるわけもありません。

全ては事後承認、あってはいけない経緯でいつの間にか主要4団体が形成されていました。実際、欧州ではIBOはメジャー5で、なあなあです。

なあなあの果てには、いつかメジャー5とかメジャー6という時代が来てもボクシングファンなら何の驚きもないですよね。

このブログの読者には〝釈迦説〟ですが、ざっとおさらい。

承認団体はNBAは1962年ワシントン州タコマの年次総会で、WBAに改称します。ただし、この時代まででも「承認団体は一つだったか?」という問いにはNOと答えるしかありません。

世界王者、特に人気階級の世界王者はニューヨーク州アスレチック・コミッションが承認することが多く、ジャッジはニューヨークタイムスのスコアがオフィシャルという世界戦も珍しくありませんでした。

NBA(米国ボクシング協会)がWBA(世界ボクシング協会)に改称したのは「私たちこそが世界の承認団体」という意思表示でした。

なんとWBA誕生のわずか1年後の1963年に、欧州ボクシング連合(EBU)、英連邦ボクシング管理委員会(BBBofC)、ラテンアメリカプロボクシング連合(LAPBU)、東洋ボクシング連盟(OBF)が対等の立場で討議する機関として世界ボクシング評議会(WBC)がWBAの内部機関として設立します。

つまり、たった1年後に反乱分子が強固な勢力を形成していたのです。

初代会長に就いたのはメキシコ人のルイス・スポタ。 WBAはもちろん、その前身であるNBAもけして一枚岩ではなく水と油のように、どこかのタイミングで分離するしかない宿命をはらんでいました。

WBCがWBAの多くの下部組織をまとめる形で分離したのに対して、IBFはやはりWBA傘下の全米ボクシング協会(USBA)が中南米に奪われた承認団体の覇権を再び米国に取り戻すべく1983年に独立。

WBOは1988年にメキシコと西海岸に偏ったボクシングを東海岸とカリブ海に取り戻そうと「野蛮な太平洋ではなく上品な大西洋の承認団体」として、やはりWBAから謀反を起こす形で設立されました。

いすれも選手やファンを置き去りにした利権争いが、ただでさえ醜いWBAという病巣からさらに3つの病原菌が産んでしまったのです。

なかなかわかりやすい資料がありませんが「全米」「IBF」は1986年1月発表のランキング、「WBO」は1989年1月のランキングです(いすれもボクシングマガジンから)。
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IBFは設立当初は過半数が韓国選手という時期もあって、その当時のランキングを見ると新設団体の実情がもっと伝わるのですが、あしからず。

それでもIBFを歓迎してくれた韓国選手を受け入れる一方で、ウェルター級のドン・カリーやミドル級のマービン・ハグラー、ヘビー級のマイケル・スピンクスと人気3階級の超ビッグネームを承認、箔を付けるのに躍起になっていることが伺えます。

WBOは設立から1年とあって、まだ空位が目立ちますが、やはりトーマス・ハーンズとマイケル・モーラーを承認、ビッグネームを取り込む姿勢を鮮明にしています。

左端は全米タイトルですが、世界の新設2団体よりも充実した名前が揃っているのは当然かもしれません。

新設団体の世界王者が認められないのは当然ですが、既存団体から鞍替えしたビッグネームが世界戦を行っても認めないのか、となると逡巡してしまいます。

階級最強であるラリー・ホームズやマイケル・スピンクス、アーロン・プライアー(IBF)、そしてオスカー・デラホーヤやナジーム・ハメド(WBO)が新設階級のアドバルーンになった時点で、彼らを認めることがイコール、その怪しい団体までも認めざるをえなくなるのは当然の帰結でした。

というわけで、世界的にはIBF黎明期の金知元や丁起栄、 WBOのマウリツィオ・ステッカ、日本の新垣諭も王者と認められています。

一方で、日本では新垣は世界王者とは認められていません。当時は認めていなかったという理屈です。

しかし、日本ボクシング史上で最も強い相手と世界バンタム級タイトルを争った2位は、井上信者も辰吉信者も認めるしかなく、間違いなく新垣でしょう。

すでに泥酔状態で、この話にも「かまちょチェック」がいくつも入りそうですが、どこかを境にメジャーフォーが認められたなんてことはありません。

もっと極論すると、原理主義的には今でも世界王者はUndisputed Champion かLIneal Champion 以外は認めてはいけないのです。

承認団体は「アルファベットタイトル」「(タイトルの)ピース、ストラップ」と呼ぶのがふさわしく、所詮は「a」 Championでしかないのです。

こういう表現が日本のメディアでもしっかり正しく出来ればいいのですが。

言葉使いは注意しなければならないかもしれませんが「雑魚狩り(チェリーピック)」「穴王者(チュンプ)」も浸透したら、世界的に評価が微妙なアルゼンチン人を「伝説の名王者」とか、引っ越し屋さんやフルタイムの銀行員を「勇気ある挑戦者」と錯乱して報道することもなくなると思います。 

ああいう馬鹿報道は、彼らと戦う選手に対して最も失礼な侮辱行為です。